こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
私たちは家、学校、職場、友人、恋人などいろんな場所でいろんな人との人間関係の中で日々生きています。
そして悩みもまた多いもの。
✓人間関係がうまくいかない
✓内気な性格でいつも我慢しちゃう
✓断れない性格な自分が嫌 など
人間関係に消極的になるとなんとなく生きづらさを感じやすくなりますね…。
今回は、人間関係を今より少しでも良くするためのソーシャルスキルについて解説します。
人間関係に悩む人は是非ご覧ください。
また、心理系大学院を受験予定の人にとっても必須の知識です。
来たれコミュ障
こんな人におすすめ!
・人間関係でよく悩む人
・自分が変わりたいと思う人
・「うまくいかないのは性格のせい?」と感じている人
・ソーシャルスキル(SST)に興味がある人
・対人職の人
・発達障害の人の関係者など
※心理系大学院受験生
【大前提】すべての人間関係がうまくいくのは難しい
友人関係や職場関係、家族関係などで「人間関係がうまくいかない」と感じたことは誰もがあるはず。
・友だちとそりが合わない
・先輩がどうも苦手
・いつもぶつかっちゃう
・言いたいことが言えない
・家族の干渉が鬱陶しい など
考え方や環境などは人それぞれなので、正直生きていれば人間関係がうまくいかない場合があってもおかしくありません。
そんなこと言われても…
人間関係がうまくいかないのは確かにつらいことですが、大前提としてコミュニティの人全員とうまくやろうとしなくていいことは覚えておきましょう。
人間関係がうまくいかない2大要因
人間関係がうまくいかない要因は大きく2つに分けられます。
①他人や環境(自分以外)
②自分自身
「自分がミスをした」「自分が価値観を押しつけ過ぎた」など自分に原因があることもあれば、「相手が突っかかってくる」「自分1人だけ異性で馴染みづらい」など他人や環境的にどうしてもうまくいかないこともあります。
お互い様もあるし原因は1つじゃないと思っとく方がいいぞ
なので、「自分が悪いんだ…」と責めすぎることも、関係を良くしようと自分だけが頑張ってご奉仕しまくる必要もありません。
無理に八方美人を演じたり人に良く思ってもらおうと過剰に振る舞ったりし続けると、うつ病や適応障害などにかかってさらに苦しんでしまうことも…。
戦略的撤退もコツ
原因探しをしても誰かを悪者にしやすいだけであまりいい気はしないのでおすすめしませんが、人とうまくいかないときは自分と他人の両方のことを冷静に振り返るようにしましょう。
いつも自分を責める人は自分以外の要因を、いつも周りが悪いと思う人は自分の考え方とか振り返るのがミソ
決めつけとか偏見減らして相手を思いやれればうまくいきそうなんだがなぁ…
苦手な人、どうも関係がうまくいかない人は多少いるものですが、人間関係がうまくいかない場合が明らかに多い人は自分自身にその原因があるかもしれません。
自分自身といってももちろんいろんな要因が考えられます。
・考え方(自分が正しいと思い込むとか)
・話し方(威圧的、一方的に話しすぎるとか)
・相手の主張を聞かない
・距離感(過度なお節介とか)
・人の顔色を窺いすぎる など
よく振り返ってみると、性格の問題で直せないと決めつけるには早くて、社交性を身に着けていくことで人間関係を良くすることも十分可能です。
人間関係を良くするソーシャルスキル
ソーシャルスキルとは、円滑な人間関係を築くための技能・スキルのことです。
スキルと言っても特別なことではなく、コミュニケーションの基本と言えば基本ばかり。
・挨拶ができる
・人の話を聞ける
・自分の意見や感情を表現できる
・謝れる
・ルールを守れる
・助けを求められる など
【必見】これをやれば~みたいな小手先テクより大事
些細だけど意外とできない人も多いね
対人関係がいつもうまくいかない人や発達障害の傾向がある人は、今までに人間関係を十分にもてていなかったり、好ましくない対応を覚えてしまっていたりして、ソーシャルスキルが不足しているとも考えられます。
基本的なソーシャルスキルをGET・レベルアップさせることでも、対人関係を良好に保つことが可能です。
ソーシャルスキルを訓練することをソーシャルスキルトレーニング(SST:Social Skills Training)と言う。R. P. リバーマンが来日して前田ケイが広めた。
「こんな基本…」ってバカにせず我が身を振り返るのが一番大事
ソーシャルスキルトレーニング(SST)の内容
SSTの内容は以下のようなステップを踏みます。
①目標となるソーシャルスキルを設定し、スモールステップでGETできるように計画立てる
②モデリング(やり方を見て)で学習
③ロールプレイで実践してみる
④実践に対して即強化(褒めたり修正したり)
⑤日常に活かせるように課題を決めて実践していく
ソーシャルスキルは、「学校行って友だちとたくさん関われば分かるだろ」「人間関係に慣れればそのうちできる」などGETへの誤解が多いです。
『②モデリング』とあるように見て学ぶことも大切な過程ですが、発達障害で相手の表情を読み取れないなど非言語要素への弱さがある人もいるので実際は難しい…。
「見ろ」「経験しろ」でできるなら困らんよな
人間関係がうまくいかなくて困る人ほど、ソーシャルスキルを丁寧に習得していくことが大切になります。
SSTは人間関係に悩む子ども~大人まで、発達障害で人間関係が苦手な人も誰がやっても効果的なので、誰かに協力してもらったり医療や療育機関で受けてみてください。
①課題設定
まず、自分にとってどんなソーシャルスキルが不足しているのかを振り返り、身につけたいスキルを決めて計画立てましょう。
▼例:
・いつも言いたいことが言えずにイエスマンで断れず、友人関係がぎくしゃくしているように感じる
→自分の気持ちを言えるようにしたい
→気持ちを言いやすい人から練習してみる、小さなことから断ってみる、「私は…」と気持ちの伝え方を身に着けてみる など
振り返りが苦手な人やソーシャルスキルの必要性を感じていない人もいるので、誰かと一緒に考えたりスキルを獲得するとどんなメリットがあるかを話したりしてもOK。
「ごめんね」が言えたら仲直りしやすくなるねとか
自分の関わり方や癖を自分で冷静に振り返るのは難しいので、人から客観的に見てもらってフィードバック受けるのも大切です(手伝ってくれる支援者がいる方が良し)。
②モデリング
モデリングは、身につけたいソーシャルスキルのお手本を見る段階です。
▼例:
・協力者が自分の気持ちを相手に伝える場面を見せる
・ビデオ、ドラマ、マンガなどで言いたいことを言っている場面を見る など
観察学習なので、言葉だけでなく表情や身振りなどの言い方も見てもらい吸収できるとさらに良き。
「見て覚えろ」じゃなくて説明も加えてあげると丁寧だね
本人にとって不足しているソーシャルスキルの練習なので、
▼例:
気持ちを伝える「実は~な理由で無理なんだ」
謝る「だからごめんね」
フォロー「~ならできるよ」「他の日はどう?」など
ソーシャルスキルを教える側はなるべく細かく行動を示します。
③ロールプレイ
ロールプレイは、『②モデリング』で見た様子を実際に真似してみる段階です。
▼例:
何か頼まれたシチュエーションでお手本と同じように「あの、聞いてもらいたいことがあるんだけど~」と言ってみる
実際にお手本を見せてもらった場合は、まず同じシチュエーションで真似してみましょう。
1回じゃなく是非何度も!
④即強化
『③ロールプレイ』が終わったら、うまくいったことを即褒めたり、うまくいかなかった点はどうすればより良くなるかを即フィードバックするのが肝(ダメ出しじゃないよ)。
▼例:
・お手本のようにロールプレイ出来たら「よくできたね!」など褒める
・ロールプレイでもじもじしたり言いたいことが言えなかったら、すぐにまたお手本を見せたり「まずは『あの…』って言ってみようか」など伝える
即レスは行動心理の基本
ロールプレイした人が「これで良かったんだ!」と思えることが大切です。
SSTはあくまで練習なので、本人が成功体験を感じられるように「怒らず言えたのも良かった!」など良いフィードバックは沢山伝えられると◎
⑤日常へ般化
SSTをやる中で目標行動ができるようになってきたら、日常の人間関係でも実践してみましょう。
▼例:
・友だちや先輩から頼まれ事をされたら、自分の気持ちを言ってみる
・ロールプレイで試したような「あの…」を試してみる
スキル身に着けて発動出来たらコミュ力Lv.上がるね!
【番外】ゲームで学ぶソーシャルスキル
ちなみに、遊びながらソーシャルスキルを身に着けていくゲームもあります。
たとえば子ども向け。
学校での困り事をテーマにしたすごろくなので、例が身近で現実にも応用しやすいです。
中学生版もあるので子どもの年代に合わせやすく、すごろくなので他のゲームよりも分かりやすい&普通に楽しい。
(ただしいいお値段…)
大人でも使える怒りのコントロールゲームもあります。
怒りの度合いを予想するゲームで、同じ出来事でも人によって怒る度合いが違うことを知れたり、意外と冷静になれます。
正直子どもがやるには内容が難しく大人向けだと思いますが、子どもでも家族でやったら楽しめることも。
ルールを覚えながら遊べるってやっぱゲーム最高
おわりに:ソーシャルスキルを身に着けて人間関係のトラブルを減らそう
人は生活するうえで誰かとの関わりは避けられないし、中にはどうしてもそりが合わない人もいるのですべての人とうまくやるのは難しいもの。
人間関係がうまくいかない要因として他人や環境もありますが、毎回人間関係がうまくいかない人はもしかしたらソーシャルスキルが足りないかもしれません。
スキルなかったら発動できんもんな
・相手の話を聞けなくて周りから煙たがられる
・自己主張できないから我慢ばかりしちゃう
・意見を押し通す癖で人間関係に溝を感じる
・声のかけ方が分からなくて人に馴染めない
・友だち関係の保ち方が分からなくて近寄りすぎては疎遠になる
ソーシャルスキルの不足であれば、SSTで好ましいスキルを身につければ人間関係を今より良くすることも可能です。
SSTの大まかな流れは下記の通りで、やってみるならとにかく細かく・丁寧に教えて即レスするのがカギ。
ちなみに苦手な人から距離を置くことも立派な避けるスキル
自分にどんなスキルが必要なのか、自分にはどんなスキルが足りないのか。
まずはきちんと自分と向き合って欲しいスキルを決めて、ゲットできるように練習してみましょう。
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