こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
今回は多くの大学生および大学院生が通過する卒論・修論の書き方について完全解説していこうと思います。
筆者が心理学関連出身なため心理学専攻のための内容に特化していますが、他学部・専攻・課程の人も参考に流し読んでみてください。
✓どんな形で書けばいいの?
✓論文書いたことないからルール知らない!
✓「考察」何書けばいいの?
✓引用の記載法が分からない
書き方が分からず困っている人へ、論文お決まりのお作法、公開します。
心理学関連の学生および院生の必修ブログ!
こんな人におすすめ!
・(心理学系の)学生・院生
・卒論・修論の書き方が分からない・不安な人
・論文の修正ポイントが知りたい人
・論文作成にあたってガイドライン的な指針が欲しい人
卒論・修論の構成
卒論って学生がおそらく初めて書く論文ですね。
「自分なんかに書けるの…?」と不安な人もいるかもしれませんが、初めての体験なら当然の感覚です。
一旦気を落ち着かせようね
なお、今回は論文の書き方に焦点を当てているため、卒論・修論のテーマの決め方等は記載していません。
テーマ決めの詳細はこちらをどうぞ!
ちなみに筆者は卒論=レポートの長文版と思ってた
論文って形を知るだけでもだいぶ書きやすくなるのでまずは論文の形について知りましょう。
論文のルールを知らずに膨大な量を書き溜めてしまうと、最悪の場合修正の嵐なんてことも…。
これが卒業・修了の分かれ目に…
卒論・修論なうの場合は提出前のチェックとして本記事を利用してみてください!
心理系大学院への進学を考える人向けの『研究計画書の書き方』も構成の参考になります。
また、本ブログの他に本で手軽にお作法を確認したい人は精神安定剤として1冊持ってもいいかもしれません。
\Kindle Unlimtedにもあり/
卒論・修論の構成は以下のようになることが多いので、それぞれ章立てしながら書いていきましょう。
執筆媒体はWordで大丈夫だと思いますが、所属大学(院)での決まりがあればそちらをしっかり守りましょう!
▼論文の構造
①表紙
②要約(+はじめに)
③目次
④問題と目的
⑤方法
⑥結果
⑦考察
⑧引用文献・参考資料
⑨おわりに
⑩資料
小難しいことは大体細かく区切ってみれば意外と太刀打ちできる!
\ USBは必需品 /
表紙
1枚でとにかくシンプルにまとめるページです。
・論文のタイトル
・所属学部学科
・学籍番号
・名前
上記に加えて指導教員名を載せることも多いです。
タイトルは少しフォントサイズを大きくして、見やすさ・分かりやすさを追求しましょう。
論文も映えが大事!
長くとも40字以内にして、タイトルが長くなる場合は副題として「ー〇〇の考察ー」のようにダッシュで囲ってもいいです。
勿論タイトルなので、重要なキーワードは必ず盛り込みましょう!
表紙の作成は簡単だけど、中身に合ったタイトルを決めるのが難題。何度も吟味しよう
要約
本卒論・修論のまとめを大体1~2ページで作成します。
後に書く「問題と目的」「方法」「結果」「考察」をざっくりと紹介しましょう。
具体的な図やグラフ、細かな手続きなどは不要でコンパクトに。「第1章」とか章立てもなしで、段落替えで十分だよ
【卒論・修論特有】はじめに
卒論・修論ではよく見られる前書き部分を指します(普通の論文には見られません)。
本テーマを選ぼうと思った理由など、この段落では「~と思った」など口語的な表現で個人的な記述をしても大丈夫な場合が多いです。
論文というより感想文的なノリ
目次
各章が何ページあるかなどを本文の前に示します。
目次は、論文の体裁を整えるのに重要かつミスをしやすい部分です。
個人的には論文を書き終えてから最後に作成することをおすすめします。
簡単だからと先に作成すると本文修正の度にジ・エンド
目次は自分で1から作成しても、Wordの目次自動作成機能を用いても大丈夫ですが、必ず目視でもページ番号にズレがないか確認しておきましょう。
Word上部の「参考資料」→「目次」で作成可能
「はじめに」から「おわりに」まで下中央にページ番号をつけることが多いです(論文の資料・データにはページ番号をつけない)。
章立ては「第1章、第2章…」が多く見られますが、全体的に統一されていればOKかと。
問題と目的
「問題と目的」は「はじめに」とは違い、以下のようなことを客観的に記述していく必要があります。
✓何故本テーマを選んだのか
✓自身や社会はどんな問題意識を持っているか
✓どんな仮説を持って、論文でどんな研究をしたいか など
いきなり書けと言われても書けないよぅ
そんなときは先人の研究を参考にしよう
本論文のテーマに関連がありそうな先行研究を読み漁り、これまでにどんな研究がされてきたか、どんな結果や課題が残されてきたかを「問題と目的」でまとめていきましょう。
先行研究を無料で探すならこれらがおすすめ!
✓cinii(サイニィ)
✓Google Scholar(グーグルスカラー)
勿論、先行研究の「問題と目的」の書き方も参考になりますし、この章は先行研究をまとめるパートでもあります。
「問題と目的」はボリュームある方が教授ウケが良く、研究につなげやすいです。
あくまで引用なのでコピペは厳禁。
パクリは不正
パターン① 高橋・田中(2000)によると,~~~。
パターン② ~~~とされている(高橋・田中,2000)。
これが基本ノ型!
高橋(2000a)によると~~~。
高橋(2000b)によると~~~。
高橋(2000a,2000b)によると~~~。
弐ノ型!修論とか「問題と目的」がしっかりしている人はこのパターンもありえるよ
初登場時…高橋・田中・渡辺(2000)によると~~~。
2回目以降…高橋他(2000)によると~~~。
外国人なら初登場時「Freud, Jung, Erikson, & Piajet (1900) は~~~。」。
2回目以降は「Freud et al. (1900) は~~~。」で省略してOK!
翻訳書の引用なら「Jung (1900 高橋訳 2000) は~~~。」とか
ちなみに、日本の引用は「 」で外国の引用は“ ”になります
方法
「方法」は、本研究の目的を果たすにあたってどんな手順をとるかについて記載する部分で、論文中でも比較的書き終えやすい部分でもあります。
「卒論・修論書く気起きねー!」って人は方法から書いてみるとちょっと進むかと…!
方法書き終えるだけでも論文書いた感がある!
心理学系の卒論だと質問紙法や実験法が多く、修論では面接法もよくみられます。
・研究日時や場所
・実験材料(用具、装置など)や使用尺度(質問紙について)の詳細
・手続き(調査の進め方など)
「方法」はすべて過去形で記載し、この方法で本研究と似た結果が得られるよう追試ができるくらい細かく記載します(再現性が大事!)。
ICレコーダー使ったらその型番も記載するよ
「方法」はシンプルに書けるためページ量としては少なくなりやすいです。
また、「方法」の最後には結果の処理方法まで記載する場合もあります。
質問紙なら使用する統計手法とか、面接法なら情報整理の方法とか記載すると丁寧
結果
「結果」は、おそらく多くの学生・院生が嫌がる部分で、基本的には「方法」で得られたデータを統計的に記述していく部分です(筆者は統計嫌い)。
と、統計処理しちゃえば後は必要な結果を淡々と載せるだけ…
その統計が山場すぎる
データの群分け(「用いる尺度で+2SD以上を高群、-2SD未満を低群とする」など)や、「方法」に記載していなければ使用する統計手法などもあらかじめ記載しましょう。
記載する統計量(平均や標準偏差など)は小数点第2位まで示すことが多いです。
厳密に言えば統計記号(M,SDなど)はイタリック体
卒論でよく用いられるt検定でも何でも、基本的に平均、標準偏差は記載しましょう。
統計処理についてはExcelでも簡単なことはできますが、無料統計ソフトのjs-STARや有料統計ソフトのSPSSなどを使うと簡単かなと思います。
統計ソフトの手順は本の通りにやってました…!
SPSSは大学PCにあるかも。院生ならRにチャレンジでもいいね
▼統計の記載例
t(10)=3.14, p<.01
*(アスタリスク)で有意差を表すこともあり
分散分析表も卒論であれば掲載が好ましいと思われます。
有意差が認められたかどうかは必ず記載しましょう(有意差なくてもです)!
「結果」では統計処理や面接で整理したデータからただ得られたことを淡々と記載していき、結果の意味付けは「考察」で行います。
「結果」の書き方で困ったら似た先行研究のスタイルを真似てみよう
また、「結果」では図・表が必須で、図は下、表は上に分かりやすいタイトルを書きます。
図1、表1でもFigure.1、Table.1でもいいので論文内で一貫させましょう。
論文は見栄えを大事にするので、図・表は基本的に1ページに1つが望ましいです。
一例はこんな感じ(「0.76」よりも「.76」表記の方が良いです)。
画像手抜いてごめんなざい(((
図は基本的に白黒で示すことが多いと思います。
結果はただ図や表を載せるだけで終えず、きちんと文章でも示しましょうね。
「実験群では~。統制群では~。」と記述が必要
心理統計は圧倒的につまずく人が多いので、図や余白、カラーの多い本で勉強してみても良いと思います。
(当時あれば筆者が読みたかったやつ)
考察
「考察」は今までの「問題と目的」「方法」「結果」の集大成で、ボリュームも求められます。
2、3ページで終わる「考察」は教授からのダメ出しにつながりやすいので、可能な限りページを使って以下のようなことを書いていきましょう。
✓「問題と目的」で示した仮説の確認
✓本結果、研究からどのような改善点が考えられるか など
有意差が認められなかったり仮説が立証されなかった場合でも、その結果についての考察を書きましょう。
有意差が出なかった場合は如何に論述的にこう言うか
有意差でないとちょっと萎えるね
ですが、目的ある研究を行えば何かしら結果は出ます。
それが仮説通りにいくかはともかく、本研究を通してどんな知見を得られたのかは必ず書けますよ。
有意差が認められないということは、どんなことが言えるのかや、有意差が認められなかった反省点を考察に盛り込むことも大切(仮説採択できないからって結果捻じ曲げるのは一番アカンぞ!)
「問題と目的」でしっかり問題点を書けていると考察で触れやすくなるかと思います。
どうしても書くのが難しければ、先行研究との比較もあり。
仮説を強く支持する場合や解釈を広げるにあたって新たな引用文献を「考察」で持ち出すことも可能ですが、「考察」ではあまり引用しない方がいいです。
後だしじゃんけん多用すると突っ込みが増えやすい
研究への理解を深めて、考察を書きやすくするためにも、問題と目的は丁寧に書き得…!
引用文献・参考資料
「引用文献・参考資料」では、シンプルに、先行研究を真似して引用文献等を列挙していきます。
並べる順番は著者をABC順で、ピリオドやコンマ、スペース、イタリック体(外国の論文や書籍名、巻数)など全体を統制する必要があります。
論文内で文献リストの書き方に統一性を持たせようね
先行研究から書き方コピペすると記載はバラバラに…!修正大変だから自分でちゃんと書こうな!
下記の『研究計画書の書き方』に引用文献例も記載してありますので参考にご覧ください!
Webページの引用についても紹介したので見てね
おわりに
「おわりに」は「はじめに」と同じで、また主観で感想文のように書ける部分です。
よくあるのは研究に協力してくれた友人や教授への謝辞ですかね。
数行でさらっと書き終わっても大丈夫です。
筆者は謝辞で「and you」ってふざけたくて我慢した
(この筆者大丈夫かな)
資料
「資料」は、調査や実験で使用した同意書や質問紙、面接で得られたローデータなどを添付する部分です。
ページ番号はつけませんが本論文の厚みをしれっと増やせるため、学生にとってはおいしいコーナーですかね。
ばえ~(白目)
校正※見直しも論文執筆作業の1つ!
卒論・修論は必ず何度も読み返したり、声に出して読んでみたりチェックをしましょう。
誤字脱字なんてかわいいもので、通し番号のミスや引用文献での書き方ミスなど修正点はいくらでも出てくると思います。
目次の番号と各見出しが合うかは絶対チェックな!
論文内容は完成していても、形が整っていないから提出日の期限1時間前に修正するなんてこともありえます。
提出日の学内パソコンとプリンタは争奪戦
余裕をもち、何度も見返すことが当たり前ですが大事ということ。
考えることはみな同じ
参考資料2冊紹介
書き方の具体例をもっと知りたい人や、手元にバイブルを1冊持っておきたい人用に書籍も紹介しておきます。
筆者も本持っていましたが、些細な疑問もすぐに調べられるので手元に1冊あるだけでも精神安定剤になります。
1冊目は心理学系の論文に限らず、いろいろな論文の書き方に通ずるものがあるやつ。
これ1冊でそれっぽい形に書けます。
2冊目はその名の通り心理学系の論文の書き方が簡単に書かれています。
卒論を書く前に読むと執筆イメージがしやすくなると思います。
なお、2冊とも電子書籍サービスのKindle Unlimtedで手軽に確認できます。30日なら無料登録で利用できるので、電子版で見てから好きな方を買うのもありかと◎
先行研究+本記事+上記参考書に目を通せば論文の体裁は絶対良くなるよ
▼論文の構造
①表紙
②要約(+はじめに)
③目次
④問題と目的
⑤方法
⑥結果
⑦考察
⑧引用文献・参考資料
⑨おわりに
⑩資料
これらに沿って章立てして、今から書いてみたりチェックしてみましょう。
主要内容の書きやすさは上から順でこんな感じかと。
方法
(問題と目的)
結果
考察
問題と目的
とにかく全文一気に書こうとせずに、章ごとに書けるところから書くのが執筆のコツです。
ファイト!
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