こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
心理学専攻の学生や心理系大学院への進学を考えている人にとって、卒論・修論、研究計画書などの研究はほぼ必須です。
ですが、研究テーマってなかなか決まらず困る人が多いもの。
筆者も決められなかった!
今回は失敗しないテーマの決め方を紹介していきます。
こんな人におすすめ!
・卒論・修論・研究計画書のテーマが決まらない人
・研究テーマの決め方に不安がある人
・研究計画書のテーマに自信がない人
テーマ決めの前に
まず、卒論・修論、研究計画書で完璧な論文を書こうとせず、力んでいる人は落ち着きましょう。
✓卒論は初めての論文だから…
✓研究計画書は院試にも関わるから…
✓修論は学部生とは違うから…
意気込みは確かに大切ですが、完璧を求めすぎるとテーマ決めは難航しがちです。
試行錯誤するから完璧じゃなくていいの!
特に研究計画書や修論は、後述しますが2年で完成させられる程度のテーマが求められます。
教授から論文を書くように迫られるかもしれませんが、壮大なテーマやトリッキーなテーマを選ぶ必要はありません。
完璧よりも丁寧な論文を書く意気込みの方が大事ということを覚えておきましょう。
出鼻くじくようだけど評価されるのは丁寧な論文だよ
意気込みすぎて鬱々する人もいるからまずはリラックス
卒論や修論の書き方についてはこちらをご覧ください!
\ 一読の価値あり /
また、卒論・修論、研究計画書は調査・研究論文が基本で、事例研究は原則認められないことが多いです。
実験とか調査で何かを明らかにするのが基本で、研究のまとめはNGが多いね
統計からは逃げられない
みんな大嫌い統計では、男女差などAとBの違いをみるような処理が必要になります。
\ 大体みんなt検定 /
統計はPCソフトでやれるとはいえ、数字を扱う覚悟は多少もっておきましょう。
数学嫌いで文系選んでも心理学は数字から逃げられんよ(ゲス顔)
う、うわああああっ
\ 易しめな統計本 /
大きめサイズでボリュームも十分。
他の心理学統計本よりもずっと細かく書かれているので、根気よく読めれば心理統計の基礎はばっちりになれます!
結構持っている受験生は多かったなぁ
統計ソフト(SPSS・Rなど)の使い方のおすすめはこちら。
SPSSは心理統計で使われやすく、他の統計ソフトよりも操作が簡単なソフトです。
卒論御用達のt検定や因子分析の手順が画像付きで書かれているため、これ1冊見ながらで基本的な統計処理ができます!
また、最近はRというフリーソフトの使用も増えています。
Rはフリーソフトなので個人のPCにもインストール可能、一通りの統計処理が可能と言う優れものですが、プログラミングの知識が必要になるという最大のデメリット(?)があります!(でも使えたら最強!院試の面接のアピールにも!)
\使えるとカッコいい/
この本読みながら、Rのインストール方法から使い方まで真似することができます!
統計の詳細よりもRの使い方を重視しているため、ソフトの使い方を知るならおすすめ。
一応、Rをもう少し易しく使うための『R Studio』という統計ソフトもあるので気になる方はチェックしてみてください。
SPSSなど他の統計ソフトは基本有料かつ高いので、無料で使える点がRの最大のメリットですね。
あとR使える民かっこいい(語彙力)
研究テーマの決め方
前置きが長くなりましたが、研究テーマの決め方を紹介します。
原則として心理学に関連するだろうテーマ選びが望ましいです。
ざっくり言うと「人」に関連するテーマ
対人関係や不安に焦点をあてたり、〇〇心理学に関連したテーマを選ぶことが多いです。
心理学の領域は主に医療、教育、産業、司法、福祉の5つあります。
たとえば教育関連としていじめや不登校に焦点をあてるなど、領域を参考に決めるのもありです。
既にやりたいことが決まっている人はゼミの教授に相談に行きましょう。
決まってなくても相談行ってもOKだよ
▼テーマ決めの参考
①興味・関心のあるキーワードを2、3個見つける【主に卒論】
②気になるキーワードの先行研究を読む【研究計画書・修論向け】
③キーワードから自分が再度関心あるものを組み合わせてみる
テーマ決めの際にいくつかキーワードをあげますが、盛り込みすぎないように注意してくださいね!
盛り込みすぎると収集つかなくなるよ
魔法少女で名探偵でヒーローな2浪JKとか設定お腹いっぱいィ!
①興味・関心のあるキーワードを2、3個見つける【主に卒論】
キーワードを決める際に一番おすすめなのは、自分は何故心理学専攻に進んだのか、何故心理士になりたいと思うのかなど、心理学に対する自分の動機を振り返ってみることです。
特に「自分が心理学専攻に進んだ理由」は振り返る価値ありです。
・人の気持ちに興味があるから
・過去に自分が傷ついた経験があるから
・身近で思い悩んでいる人が多くて力になりたいから など
心理学に興味を持った時点で、卒論テーマのきっかけはあります。
ちなみに筆者が心理学に興味をもったのは「人の気持ちが分からなくて知りたかった」「病んでいる自分をどうにかできると思ったから」でした。
(なんだ厨二か)
これらの動機をもう少し掘り下げてみましょう。
「どうしてそう思ったんだろう」ってね
・楽観的な人にどんな性格特徴があるのか気になったから
・不登校歴があり、人が怖い気持ちを克服したいから
・不安が強い人とそうでない人の違いがあるなら知って、不安対処を知りたいから など
掘り下げてみると自然とキーワードが浮かび上がってきますね。
・「楽観」「ポジティブ」「性格特徴」
・「不登校」「対人恐怖」「克服」
・「不安」「対処」「相違」 など
卒論であれば正直このままテーマにしても問題ないと思います。
・「楽観主義者の性格特徴に関する研究-就職率に着目して-」
・「不登校経験の有無と対人恐怖について」
・「高不安群と低不安群の認知の違いと不安対処に関する研究」 など
あとはゼミの教授と煮詰めるだけでも研究テーマは暫定できるかと!
対象を大学生に絞るとか微調整
自分の動機を振り返って決めたテーマは自分の根幹に関わる内容なため、長時間取り組むモチベーションにもなります。
自分の中のしこりと向き合い、克服する機会と思うと、研究のやりがいもありますね。
ただし主観が強くなりすぎないよう心はクールに
②気になるキーワードの先行研究を読む【研究計画書・修論向け】
卒論テーマをもう少し煮詰めたい人や、研究計画書・修論に取り組む人は②にも進みましょう。
たとえば「不安」がテーマなら、先行研究を読んで類似キーワードを見つける。
先行研究とは、過去にいろいろな人が書いた研究のことです。
これらで過去の論文をチェックしてみましょう!
特に「cinii」と「google scholar」は論文を無料でネット検索できるので、「心理学 不安」など検索すれば関連論文をすぐに見つけられます!
ありがて~~~
論文のほか「集団同調」などキーワードが決まってきたら関連書籍を読んで引き出しを増やしておくのもアリ。
書籍を読むならKindle Unlimitedだと参考文献がコンパクトになっておすすめ。
30日無料体験とかあるよね!
気になる論文から関連しそうなキーワードをピックアップしてみると、研究テーマを決めるバリエーションが広がります。
③キーワードから自分が再度関心あるものを組み合わせてみる
最初は「不安」「対処」だけだったのが、先行研究など調べると「大学生」「予期不安」「パニック」などキーワードの幅が広がります。
ですが、すべてのキーワードを盛り込むのはやりすぎなので、1つか2つの目的に絞り込めるようにキーワードを組み合わせてみましょう。
「不安」だと定義づけでざっくりしすぎかも?
じゃあ「予期不安」に限定してみよう
「大学生が感じる予期不安とその対処について」にしてみようか
こんな具合に、定義づけがしやすい概念を選ぶのも手です。
テーマ決めが難しい場合
どうしてもテーマが決まらず困る場合のちょっとした2つのヒントも紹介します。
また、卒論のほか、研究計画書や修論のテーマ・キーワードを決めるにあたっての注意点も合わせて紹介。
テーマ決めの2ヒント
①気になる先行研究の模倣
②気になる先行研究の今後の課題をテーマ化
【研究計画書の場合】
指導教官が指導可能なテーマか
【研究計画書・修論の場合】
2年で実現可能か
①気になる先行研究の模倣
どうしてもテーマが決まらない人は、気になる先行研究の内容を少し変えてみる奥の手があります。
小学生対象の研究を大学生に変えるとか…
この奥の手を使うとテーマが決まりやすい他、調査方法や統計手法も真似できるメリットがあります。
ですが!あまりに似た研究はパクリになってしまうため、変更点はきちんと考えましょう(やるなら卒論の奥の手で)。
②気になる先行研究の今後の課題をテーマ化
ほとんどの先行研究の『考察』には、その研究の問題点や今後の課題・改善点が示されています。
その課題・改善点をそのまま研究テーマに持ち込む奥の手もあります。
これならパクリじゃない!
ただし!先行研究を参考にする論文を書く場合、しっかり他の論文も読んで『問題と目的』を充実させて新たな視点を盛り込めるようにしましょう。
自分の視点というオリジナリティは欲しい
【研究計画書の場合】指導教官が指導可能なテーマか
大学院入試を考えている人は研究計画書を書く必要があります。
\ 一読推奨 /
大学院選びのポイントにもなりますが、教授の専門に関連するテーマかを確認しましょう。
いくら素敵な研究計画を立てても、教授の専門とあまりにかけ離れていては指導が難しいです…。
どうしても行きたい院があればある程度教授の専門に寄せる必要がありますし、自分のテーマに合う教授・院探しをすれば解決します。
後者のがメジャーな選び方説
教授と専門一致させる必要はなくて、あくまで関連でOK
【研究計画書+修論の場合】2年で実現可能か
テーマ決めというよりテーマの調整の話になりますが、実現可能な計画・論文なのかもポイントです。
・不登校歴のある人300名対象は集められるのか
・現在小学生の子を高校生まで成長する過程を見れるのか など
研究計画書の場合は現実的なテーマ選定ができているかもチェックされるので、「この研究は実現可能か?」という視点を常に持ちましょう。
もっと研究したい人はこれからいくらでもできる
おわりに:研究テーマは己の背景にあり!
みなさんが心理学に興味をもった動機そのものが卒論や修論、研究計画書のテーマに結びつきます。
心に関すれば何でもいいかと
研究テーマは卒論→研究計画書+修論と延長線上にくることが多いです。
研究テーマを決める過程はこう。
✓心理学関連のテーマを選ぶ
✓先行研究を調べてキーワードを出す
✓出そろったキーワードを組み合わせる
どうしてもテーマを決められない人への奥の手はこう!
論文にオリジナリティは必要ですが、力を抜いて丁寧な論文作りの方を心がけましょう。
参考資料
本記事以外にも研究テーマ決めや論文の書き方での参考資料を3冊ほど紹介するので、関心のある方はチェックしてみてください。
\ ①研究法から勉強 /
タイトルの通りです。
研究法に関する話が重点的にあり、論文の書き方やテーマ決めだけでなく、研究の考え方も参考になります。
文庫本サイズなのでスキマ時間で読みやすいのも高評価。
論文執筆に役立ち手元にあると安心な参考資料はこちら。
\ ②易しめ /
\ ③テーマ決めより書き方 /
どちらも章立てが細かく丁寧に書かれていて分かりやすいです!
筆者は③持ってた
個人的意見ですが、1冊目の方がより初心者向きで、2冊目は質問紙などの扱いもしっかり書かれていて、かゆいところに手が届く内容です。
※3冊とも電子書籍のサブスクKindle Unlimtedにあります。30日無料で利用できるので、読んでみて気に入ったものを買ってみるのもアリ◎
あとがきになりますが、余裕をもつ目安としては卒論なら大学3年生の1月頃、研究計画書なら大学4年生の5・6月(理想)くらいには決めておきましょう(え、遅い?)。
健闘を祈るッ!
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