こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
大学院生は何となく忙しいイメージがありますが、具体的にどんなスケジュールで2年を過ごすのか分かりにくい人が多いのではないでしょうか。
(院のホームページにたまに載ってるぞ)
✓大学院での生活が想像できない
✓具体的にどう過ごすの?
✓大まかな年間スケジュールが知りたい
今回は、大学院での年間スケジュールを筆者の経験をもとに紹介します。
筆者の院特定はやめてな
心理系大学院に興味のある人は、大学院生活の1つのモデルとして参考にどうぞ!
ハードだけど充実する2年!
心理系大学院での生活特徴は下記記事でも紹介しているので合わせてご覧ください。
心理系大学院での1日
まず、大学院の在籍期間は基本的に2年間です。
大学院生は修士(Master)課程なので頭文字をとって「M」表記します。
(バイト仲間とfateごっこしたクソガキ筆者)
ますたー…
大学院は入るよりも出る方が難しいと言われることも。
たまにM3の人がいますが休学者や2年での修了を諦めた人など事情が…(主に修論関連かと)。
ここでは主にM1とM2の大まかなスケジュールを紹介します。
筆者のうろ覚えであること、大学院によってスケジュールやイベントなどが異なることはご了承ください
M1(大学院1年目)
M1の大まかな流れはこんな感じでした。
月 | 大きなイベント |
4月~7月下旬(前期) | 入院・ゼミ決め・倫理審査・講義・修論構想発表会 |
7月下旬~9月中旬(夏休み) | 集 中 講 義・夏の課題・学会など |
9月中旬~12月下旬(後期) | カウンセリング開始・病院実習・講義 |
12月下旬~1月上旬(冬休み) | 集 中 講 義 |
1月上旬~3月(後期) | 外部実習(単発)・講義・修論中間発表会 |
入院=大学院に入る通称(?)
1年を通して講義・修論活動・課題(指定の文献・書籍・ビデオの視聴)がデフォで、週末はたまに勉強会がありました。
正直課題すべては(膨大過ぎて)無理だと前期のうちに悟りました。
退院後に読みます…(白目)
M1の前期は講義やロールプレイでカウンセリングの準備、夏・後期頃からカウンセリングや病院実習がスタートするところが多いと思います。
▼M1紹介内容
講義
修論活動
長期休暇
カウンセリング・実習
講義
筆者の場合は10時頃から始まることが多く、1日2~4コマありました。
基本的には1つの本を院生で章ごとに担当し、レジュメを作ってきて発表したり議論したりするのがほとんど。
少人数だったから基本毎日レジュメ地獄
講義によっては学部生と同じものを受講することもあるためなんとなくプレッシャー…!
また、英語の資料を訳して発表することもあります。
修論のためにも英語からは逃げられない…!
その他、自分が専門機関で心理検査(ロールシャッハなど)を受けに行くことも。
後期の講義ではいろいろな心理検査を実施したり勉強したりしました。
毎日インプット→アウトプットの連続なので、講義数は多くなくても時間に追われる印象です。
人数分レジュメ用意するのが地味に負担
\ まじで院生必須 /
講義用のレジュメはもちろん、後述しますが修論などPC作業はかなりあるので、USBメモリは必ず用意するようにしましょう!
修論活動
院試の時点で研究計画書(修論の予定)を提出するのもあってか、入院後早々にゼミ(研究室)を決めて修論に取り掛かります。
\ 研究計画書の詳細 /
▼修論活動の一例
・改めて修論テーマを決める
・倫理審査をクリアする
・関連文献を読み漁る
・「問題と目的」を書き進める
研究計画書通りに進める人もいれば、入院後に修論テーマが変わる人もいます。
心理学の研究の多くは人を対象にするため、自分の研究が倫理的に妥当なのかを示し、倫理審査委員会(だいたい大学院に設置)で承認される必要があります。
院によるけど筆者は倫理審査5〜6月には済ませたような
倫理審査をクリアしない=研究として問題があるとみなされて修論活動を進めなくなるので、大学院の指示に従ってきちんと申請しましょう。
前期の終わりには修論構想発表会、後期の終わりには中間発表があり、学部生・院生の前で修論の発表をします。
(白目)
指導教官によって、放任だったり厳しく課題を言い渡されたり修論の進め方は様々です(M1の時点で修論の研究1を終える人もいます)。
正直言うと、院生生活は進むほど実習で余裕がなくなるため、M1の頃から着々と修論を進めることをおすすめします。
by 残留させられそうになった筆者
長期休暇
大学院でも長い夏休みと短めの冬休みがあります…が、個人的には1,2を争う忙しい時期でした。
遊ぶ時間も作れたけどね!
筆者の大学院の場合だと長期休暇(主に夏休み)はこんな感じ。
・1日8~9時間、5日程度の集中講義が5,6コマ
・怒涛の飲み会ラッシュ
・夏の課題
・学会、研修、事例検討会への参加
・合宿合宿
休、み…??
平日は朝~夜まで学外の先生による集中講義、夜は多いと週3日ペースの飲み会。
週末は学会や勉強会へ、お盆は他大学院との交流や有名な先生をお招きして勉強・事例検討などの合宿、スキマ時間(なくね?)は夏の課題。
これ見て進学したがる人いないんじゃ(白目)
勉強頑張りたい人にとっては最高な時間ですね!(n回目の白目)。
飲み会や学会などの参加・遠征費などとにかくお金もかかったので、進学希望者はしっかり貯金したりバイトなどで収入を得たりしましょう!
週1~2日、半日とかならなんとか…!
夏の課題は、未翻訳の心理系洋書の和訳や心理検査(ロールシャッハなど)の実施、自分の生育歴を振り返るレポートなどをしました(大学院による)。
学会参加は結構遠出になるので疲れますが、観光で楽しみつつ行くと気が楽です。
院生生活はお金の余裕がないかもしれないので、遠出の際は楽天トラベルなどを使ってポイントバックしちゃいましょう。
楽しみつつ頑張ろ~
カウンセリング・実習
M1の夏・後期頃からカウンセリングを担当し始めたり、精神科の病院実習や教育・福祉・産業領域の施設見学・実習をしたり院外活動が増えます。
カウンセリングを担当したら、話した内容の逐語録の作成やスーパービジョン(SV)、カンファレンスでの発表などやることが一気に増加。
(カンファ発表者はほぼ泣かされた)
講義内容も専門性上がるし修論もあるから大変!
逐語録はカウンセリング内容をなるべく詳細に思い出してor録音を聞いて文字起こしするため、慣れないと2時間かかったことも…(筆者がタイピング遅いのもある)。
カンファレンスで発表してケースの検討をするためにも、カウンセリング記録をまとめて資料を用意する必要があるため、PC作業はかなりあります。
\ 目のケアマジで推奨 /
修論でも長時間パソコン作業するので、ブルーライトカット眼鏡やパソコン画面の保護シートは個人的に大助かりアイテムでした。
Windowsなら「設定」→「ディスプレイ」の「夜間モード(明るさ40程度)」を利用すれば疲れ目に多少効くようなので変更もあり
目薬んぎもっぢぃいい
病院実習では初診の陪席や症例検討への参加、(閉鎖)病棟で患者さんと関わったり、各実習先で仕事内容を伺ったり。
大変だけど心理シっぽくなって楽しい(?)!
M2(大学院2年目)
M2の大まかな流れはこんな感じです。
月 | 大きなイベント |
4月~7月下旬(前期) | 外部実習(通年)開始・講義・修論中間発表会 |
7月下旬~9月中旬(夏休み) | 集 中 講 義・夏の課題・学会など |
9月中旬~12月下旬(後期) | 講義 |
12月下旬~1月上旬(冬休み) | 集 中 講 義 |
1月上旬~3月(後期) | 修論提出・口頭試問・論文提出・修論最終発表会・退院 |
通年で課題があり、講義や集中講義・夏の課題はM1に比べて減少、修論活動とカウンセリングなどの実習は爆増、個人のペースで就活も並行しました(筆者は修論+もう1本論文あり)。
ひぇぇ…
修了するにはとにかく修論をクリアする必要があるためしっかり研究しましょう!
諦めると…開け、M3の扉♪(白目)
修論活動
修論はだいたい1月上旬~中旬には提出する必要があり、卒論とは比べ物にならないくらい質も求められるため、早く・本気で取り掛かりましょう。
・研究目的や先行研究を充実させる
・研究のための質問紙や面接の実施
・統計処理などデータの整理、解析
・しっかり考察
・論文として整える
・見直しや加筆修正 など
M2の年末は年末にあらず(白目)
指導教官からの鋭利な突っ込みに答え、海外の参考文献も含めてまとめるのでかなりの時間を要します。
卒論なら200人とかで許されただろうデータ量も、修論ならもっととるのでこれもまた大変。
修論は年内提出後、2月頃には修論について教授陣から口頭で試験されて応じる口頭試問、3月頃には修論発表があり怒涛の年度末です。
とっくに院生のライフはゼロよ!
講義や実習と向き合いつつ並行するのはもちろん忙しいですが、修論作業はゼミで苦しくなるほど追いつめられる場合もあれば、あまり関与されない場合もあるので、しっかり計画立てて進めましょう。
2年ってかなりあっという間
就活
院生生活を楽しみながら(ヒィヒィ言いながら)、修了後の進路も考える必要があります。
大学院・教授によっては就職先を紹介してくれる場合も(筆者の場合は基本各自で探しました)。
\ 就活方法 /
修了時点では臨床心理士(公認心理師)は未取得なので、就活の際は資格取得見込みで探すことになります。
就活といっても常勤職を目指す以外に、以下のような進路を選ぶ院生もいます。
・就職先決まらないからM3突入する…
・資格試験まで勉強したいからアルバイトにする
・大学院付属相談室に残留して経験積む
・実習先で雇ってもらう など
教授や先輩から紹介してもらえる可能性もあるので、進路の相談はなるべくいろんな人にし得です。
一般企業のように何度も面接するスタイルではなく、1回の面接やペーパーテストなど職場によって選考方法は様々。
当たり前だけど履歴書は用意しようね!
院卒の学歴は地味に長くて書くの疲れる…
都道府県採用の求人は4月には募集を締め切ることもあり、医療や教育機関は秋頃からの求人が多い印象です。
M2になった時点で求人情報をチェックすることをおすすめします。
勉強も修論も就活も、周りが手厚く気にかけてくれるわけではないので、各自でアンテナ張って職場のホームページや求人サイト、閲覧できるなら各都道府県の心理士会の情報に目を通しましょう!
おわりに:院生生活はハードだけど実りが多い!
大学院生活では講義こそさほど多くありませんが、その分カウンセリングなどの実習や修論活動など専門的な研鑽と研究が多くを占めます。
大学院は自己成長の場
「忙しそうだから進学やめとこうかな…」と思った人はその気持ちに従っても良いかもしれません(まだ社会出たくないしとりあえず院行ってみようかなで進学するとキッツいと思います)。
実際は余暇もある程度ありますが、あくまで学びの場だと心得ておきましょう
筆者は移動時間の音楽がかなり息抜きだったらしい
個人的にはイヤホンして音楽に浸るのが良い息抜きでした!(Amazonはすぐ解約しても1ヶ月無料体験できるので嬉しい)
心理系大学院の場合、大学院への進学・修了が目標ではありません。
多くの場合はその後に臨床心理士や公認心理師資格を取得する人が多いと思われます。
「心理の資格が取りたい」「心理学をもっと勉強して自己理解を深めたい」など自分なりの目標や気持ちをもって進学すると意外と何とかなるかと…!
本記事では少しハードめな印象を受けたかもしれませんが、実際は毎日めちゃくちゃ充実するので心理の沼に興味がある人はファイトです!
院だから大変っていうか社会人も院も大変なのよ
2年間楽しくがんばろまい
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