こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
心理学を学んでいる人や心理系大学院への進学を考えている人には『統計』という大きな壁があります。
心理って文系なのに統計?!√(ルート)?!SD(標準偏差)?!
統計という言葉だけ聞くとブラウザバックしたくなるかもしれませんが、実際の複雑な演算をする力はなくても大丈夫です(講義では多少計算しますが)。
統計理解の第一歩として用語など基本的な知識を抑えることを目標にしましょう!
院試で問われるのも知識!
まずは記述統計と推測統計のおおまかなちがいからみていきます。
ブログというよりお勉強回やで~!
こんな人におすすめ!
・統計ガチ初心者
・文系や心理学を学んでいて統計さっぱりな人
・記述統計と推測統計について理解したい人
・統計に興味のある人
・統計の基礎から知りたい人
※心理系大学院進学希望者は必須!
そもそも統計(statistic)とは
まずは基本の用語について。
統計とは、社会やコミュニティなど集団の現象を数量で把握すること・手法です。
研究・調査で得られるデータのことは統計量と言い、集団を数値化することでどんな情報が得られるかを研究する学問をさします。
心理統計で扱うのは記述統計と推測統計の2つに大きく分けられます(後述あり)。
この辺は考え方として「ふーん」でOK
心理学と統計の関係
そもそも心理学とは心という曖昧な概念を扱っており、主観的な意見や経験をもとにする哲学の一種でした。
ですが、主観だけでは一般化できません。
『自らの意識を客観的に観察・報告しよう!』とW. ヴントが考えたことで、心理学は客観的なデータに基づく学問になりました。
心理学は客観的なデータを根拠にヒトの心を科学的に説明する学問なんだよ
そう、心理学は科学です
心や感情という目に見えない概念に客観的な根拠を持たせるためには、統計を用いて客観的データを集める必要があるというわけです。
アンケートや心理検査などの量的研究は統計必須だよ
記述統計(descriptive statistics):手元にあるデータの整理
記述統計というと難しく聞こえるかもしれませんが、手元にあるデータ(観測データ)を元に表やグラフを作って特徴を捉える手法です。
▼記述統計の例
・学年や全国模試での平均や偏差値
・国勢調査
・職場の1月の収支報告 など
数字の羅列を如何に見やすく・分かりやすくするかだよ
心理統計だと平均、分散、標準偏差などの数値化や度数分布表、ヒストグラムなどの図表化で整理していきます。
今回はあくまで大大大前提の考え方のお話ね!
\ 各詳細はこちら!/
推測統計(inferential statistics):手元のデータから一般化へ
推測統計は一部のデータ(標本/サンプル)から全体(母集団)の特徴を捉える手法です。
記述統計で得られたデータは一般化できるのか調べるといったニュアンス。
▼推測統計の例
・治験した結果、新薬として世に出す
・アンケート結果から「多くの中学生は中二病を発症する」など知見を得る
・選挙速報 など
たとえば選挙に参加した人(一部)のうち6割がZさんを支持したら、国民(全体)の6割がZさんを支持しているだろうとする考えです。
でもたとえば100人に調査した結果を国レベルに一般化したら流石にやりすぎでは?
それはやりすぎ
一部データとはいっても全体(母集団)が大きければ、それなりの統計量を用意しないと誤差(標本誤差)が生まれやすいので注意。
この誤差は推測統計である限りゼロにはできません。
あくまで全体の推測だもんね
そこで、心理統計でよく言う5%などの有意水準が活躍します。
有意水準という基準を設けることで、「100万人のデータから1000万人に言える特徴を述べるとき、5%以下の誤差はあるけどそれ以外にはまず言える特徴です!」って根拠をもたせられます。
5%以下の例外はよっぽどないだろって考え方
推測統計では全体(母集団)から如何に一部のデータ(標本/サンプル)を抽出するかがポイント。
抽出することをサンプリングと言い、全体(母集団)から適当にデータを抽出するランダムサンプリングが望ましいです。
偏ったデータを抽出して、そこから一般化しても信頼できませんね。
たとえばお小遣い1万円オーバーな特殊な小学1年生数名を見つけてきて
『今どきの小学1年生は!お小遣い1万円なんだよ!ちょうだい!』
なんて言っても
寝言は寝て言え!友だちの例が極端!サンプリングやり直し!
ってなりますよね。
ランダムにデータを集めてそこから得られる結果を一般化する方が妥当です。
クラスのお小遣い平均500円だった…
妥当
心理統計ではt検定や分散分析といった統計手法を使うことが多いです。
\ ※全員必読※ /
おわりに:手元のデータ分析と一般化できるか検証の違いあり
心理学を学んだり心理系大学院へ進学するためには統計は必要ですが、複雑な演算や式をマスターする必要はありません。
統計に関するそもそもの考え方や用語の意味を抑えるだけでもかなり立ち向かえるようになります。
受験生は特に基本用語をきちんと押さえよう
心理学は『客観的なデータを根拠にヒトの心を科学的に説明する学問』で、心理統計では記述統計と推測統計の考え方がメジャーです。
手元にあるデータ(観測値)を元に表やグラフを作って特徴を捉える手法。
・学年や全国模試での平均や偏差値
・国勢調査
・職場の1月の収支報告 など
記述統計は手元のデータ全部使って整理するのに特化してるね
一部のデータ(標本/サンプル)から全体(母集団)の特徴を捉える手法。
・治験した結果、新薬として世に出す
・アンケート結果から「多くの中学生は中二病を発症する」など知見を得る
・選挙速報 など
推測統計だと2つ以上のデータの比較ができるから分かることも多いよ
推測統計の場合は推測の偏りを防止するために、全体(母集団)から無作為にデータを抽出(ランダムサンプリング)することが望ましい。
心理統計では記述統計も大切ですが推測統計の考え方を使うことが多いです。
論文で使う統計はほぼ推測統計!
また、推測統計で生まれる誤差は5%などの有意水準を使って誤差が小さくなるように検証することが大切です。
参考資料
ちなみに統計の基礎的な考え方を知る読み物ではこれがおすすめ。
薄くて小さい文庫本サイズなのでとっつきやすいです!
統計ちんぷんかんぷんな筆者でもほぼ読めて「なるほどね!」と思えました。
心理でもほかの文系の人でも誰でも手に取れる基礎のお話です。
お世話になりすぎて本棚から追放できない
マンガで読みたい人にはこちらがおすすめ。
マンガでわかるシリーズは他にもたくさんありますが、基本的にはシンプルな説明で、たまに真面目な説明もあるけど流し読みでOK!
図解やマンガの読みやすさで比較的抵抗なく統計と向き合えます。
ストーリーべただけど漫画として面白かったわ
ひとまずここで終わりっ!
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