【心理学】誰でもわかるユングの無意識と元型

こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。

心理学というとフロイトの精神分析が有名かもしれませんが、ユングも有名ですね。

心理学を学ぶ上では外せない超重要人物ですが

・フロイトもユングも無意識と夢分析って同じじゃないの？
・ユングって何者か正直よく分かんない

心理学生でも一般の人でもよく分かっていない人は多いです！

今回はユングとフロイトの違いや、ユングがどんな人か分かるように1つずつ用語を説明していきます。

こんな人におすすめ！
・ユングとフロイトのちがいが分からない人
・心理学に興味がある人
・哲学めいた話が好きな人
・中二病な人
※心理系大学院受験生は必須科目！

ユングは分析心理学の人

C, G, ユングはスイスの精神科医でフロイトの弟子の1人です。

フロイトの精神分析学の考え方に賛成して発展の手伝いをしましたが、意識・無意識の捉え方のちがいでフロイトの元から去り、分析心理学を独自に展開しました。

フロイトの意識・無意識の考え方についてはこちらをチェック！

意識・無意識の扱いについて、フロイトの精神分析学の考え方はざっくりこう。

一方、フロイトを支持していたユングの意識・無意識の考え方はざっくりこう。

無意識への扱いと、リビドーに固執するフロイトの考え方に疑問をもったのです。

ユングの2つの無意識

ユングは、人の精神は意識と無意識の2領域に分けられるとし、さらに無意識は個人的無意識と集合的無意識の2つに分けられると考えました。

例：
自覚ある意識化では真面目な優等生くんだけど、無意識のうちに万引きや深夜徘徊などする自分がいて本当の自分がどうしたいのか分からなくなってしまう

個人的無意識（individual unconscious）：自分だけの無意識

個人的無意識とは個人のもつ無意識で、人が自覚できない領域をさします。

・教育熱心な親もとで真面目に勉強してきたけど、心の奥底では「遊びたい思い」が秘められている
・「暗い部屋にいるとなぜか怖くなる」背景には、幼い頃暗がりで虐待を受けていたからかもしれない　など

人が忘れたことだったり、意識するとつらい出来事などがしまわれる場所のイメージ。

ただ、ユングは無意識を2つに分けており個人的無意識は無意識の表面にすぎないと捉えています。

集合的無意識（collective unconscious）：人類共通の無意識

集合的無意識とは人類や時代、文化が普遍的にもつ無意識のことで、世界の神話に共通する内容があると考えられます。

個人的無意識のさらに内側にあるイメージで、フロイトは集合的無意識を認めていません。

集合的無意識には元型（アーキタイプ）というイメージがあります。

元型（アーキタイプ）：人類共通のイメージ

元型（アーキタイプ）は、集合的無意識に含まれる人類がもつ心的なイメージのことです。

多くの人が似たようなイメージをもっているとして分類され、夢分析でも利用されます。

・キリストの聖母・マリアや日本列島を生み出した女神・イザナミなど、人類にとって共通で「命を生み出す母親像」がある　など

フロイトの無意識の扱いに対して、ユングの無意識の扱いの方が可能性を感じますね。

▼元型（アーキタイプ）の例
・アニマ・アニムス
・グレートマザーと老賢人
・ペルソナとシャドウ

アニマ・アニムス

アニマは男性の中に存在する女性的性質で、アニムスはその逆で女性の中に存在する男性的性質のことです。

すべての人の中にある男らしさや女らしさというイメージ。

例：男だけど面倒見のいい母性的な性質、女だけど逞しく男らしい心構え　など

たとえば、女性が夢でみた男性はアニムスで、その人が男性らしさをどう捉えているか気づくきっかけにもなります。

グレートマザーと老賢人

グレートマザー（太母）は、母なるイメージで愛情、成長、豊穣などを表す慈悲の存在とされます。

老賢人は父なるイメージで、権威、倫理、秩序などを表す偉大な存在です。

母＝グレートマザー、父＝老賢人ではなくて、母らしい安心感や父らしい強さのイメージ。

ペルソナとシャドウ

ペルソナは人が社会に見せる適応的な側面で、いわゆる仮面です。

・相手に良い印象を与えようと振る舞う
・話し合いを円滑にするためにいい人を演じる　など

誰にでも経験がありますね。

シャドウは、社会に表していない否定的な側面（影）です。

ペルソナがあれば「いい人ぶったけど実際の自分って素行悪かったりするんだよね…」ともやもやすることがあるはず。

ペルソナがいい側面、シャドウが悪い側面にみえるかもしれませんが、どちらも人間の心のバランスをとるうえでは欠かせない側面です。

おわりに：自己理解は自分のいろいろな側面を認めることから！

精神分析学者のフロイトは

このような主張に対し弟子だったユングは疑問をもち、独立して分析心理学を唱えました。

ユングが特に重要視したのは人類が共通したイメージを持つと考えた集合的無意識で、元型（アーキタイプ）を見出し無意識への肯定的な理解を図りました。

ユングはフロイトのもとを去りましたが、意識も無意識もどちらも人の精神を構成する大事な要素として2人とも理解しています。

元型などのイメージは人の精神の成熟具合を理解するために役立つので、自分が見た夢はできるだけ詳しくメモしてそこからイメージを連想させてみると、「あっ、これってこんな意味があるのかもしれない」など自己理解につながることも。

参考文献

ユング心理学に手を出しやすい内容はこちら。

＼　ユング派夢分析の解説　／

古い本ですが入門らしく読みやすいです。

普段よく夢をみる人は、ユング派夢分析でいろんな連想をしてみると楽しく夢と向き合えるかと。

心理学を少しかじっていたり、心理系大学院への進学を考える人にはこちらがおすすめ。

＼　名著　／

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