こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
最近子どもも大人も『発達障害』の懸念が増えていますが、あなたは発達障害ってどんな障害か知っていますか?
身近な障害として認知度は上がっていますが「実はよく知らない」って人はまだまだ多いです。
今回は発達障害の種類や原因、対処法についてざっくり説明していきます。
✓「発達障害って最近増えたの?」
✓「大人の発達障害って聞いたこともあるけど何?」
✓発達障害ってどんなもの?
これらの疑問も解消していこう!
こんな人におすすめ!
・発達障害について大まかに知りたい人
・心理職や教育・保育関係者or目指している人
・子育てで発達障害の心配がある人
・発達障害の考え方を身に着けて、振り回されないようにしたい人
※心理系大学院受験生は必須科目!
発達障害はいろんな障害の総称
発達障害(Developmental Disorder)とは、幼い頃から認知機能や行動面で発達の遅れがみられることで、いくつかの障害の総称です。
・自閉スペクトラム症(ASD)
・注意欠如・多動症(ADHD)
・知的障害
・学習障害(LD)
見聞きしたことあるのでは?
ASDは「えーえすでぃー」呼び
発達遅れの他にも、個人の能力がアンバランスになることも発達障害の特徴です。
・相手の気持ちを想像できない
・話がかみ合わない
・コミュニケーションをとりづらい
・物の見方が限定的で客観視できない など
ゲームのたとえでステータス振りや元々の能力数値がありますね。
イメージとしては、能力に凹凸がないオールラウンダーは定型発達(健常者)、ステ振りが極端なタイプは発達障害。
もともとある発達の個性が極端に表れて、日常生活上困り感を感じやすくなるのが発達障害のつらいところです…。
得手・不得手がはっきりしてるイメージ
キャラ的には尖っている方が魅力的だったりする(ポケモンは人生)
発達障害の原因
発達障害は、遺伝や生まれもった(先天的な)脳機能の障害が原因と考えられます。
環境要因も無視できないけど基本的には先天性
昔は発達障害を「ちょっとやばい子」「親のしつけが悪いからこうなった」という考え方があったようですが、虐待や親のしつけの悪さではありません。
親心つらいですよね。子どもの発達障害で親は自分を責めないでね
子どもの本ですが発達障害についてイラスト図解している本もあるので参考にどうぞ。
目で見て分かりやすいの大事!
では、発達障害の種類についてざっくり紹介します。
自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)
自閉スペクトラム症は、幼い頃から主に3つの特性がみられる状態で、診断数もかなり多いメジャーな発達障害です。
発達障害の傾向は3歳頃には色濃くなると言われています。
①社交性の障害
②コミュニケーションの障害
③想像力の障害
✓①社交性の障害
社交性の障害は人との相互的な交流がうまくいかない特性です。
・目線を合わせられない
・1人遊びが好きで集団になじめない
・表情固く、表現が苦手 など
陰キャと呼ばないでえええ
②コミュニケーションの障害
コミュニケーションの障害は、言葉や非言語での意思疎通がうまくいかない特性です。
・話し言葉の遅れやかみ合わなさ
・表情の読み取りが苦手で、相手が笑っていても「…?」となる
・会話を続けられない(「何言えばいいんだろう?」と困りやすい) など
まんま『コミュ障』
③想像力の障害
想像力の障害はイメージする力が乏しく、同じことを繰り返すなどこだわりの強い特性です。
・何度も同じ行動を繰り返す
・細かいことにこだわる
・図鑑を見るなど限られたことへ集中しすぎる など
ごっこ遊びできない子が多いかも
ちなみに「自閉スペクトラム症」の「スペクトラム」とは「連続体」という意味(by L. ウィング)で、診断名・捉え方が変わったために診断がつきやすくなってしまった弊害も…。
どこまでが定型発達、どこからが発達障害といった境目はなく、グレーゾーンという概念も幸か不幸か生まれました。
ウィング「程度の差はあれ同じ特徴あればみんな発達障害だわ!」
人の心身の発達には個人差がつきもので、多少の能力のアンバランスさは全員がもっているので、スペクトラムだからと安易に医師が診断すれば、人類みな発達障害と言われる可能性もありますね…。
特性あっても困らず過ごせればOK
ASDの詳細はこちらをどうぞ。
注意欠如・多動症(ADHD:Attention Deficit Hyperactivity Disorder)
注意欠如・多動症(ADHD)とは、同年代の子と比べて不注意・多動・衝動性の3つの特性が際立つ状態で、日常的に困ることが多いです。
✓不注意…注意力散漫で忘れものばかりする
✓多動…落ち着いて座っていられない
✓衝動性…我慢できず大勢の場で大声を出してしまう など
3つ際立つ人もいれば1つだけ目立つ人もいるよ
学校生活で「じっと座る」「先生の話をちゃんと聞く」などできて当然と思われやすいことが困難な特性で、叱られやすかったり劣等感を抱きやすいマイナス面があります…。
集団に入っていたはずが特性を指摘されて集団からはみ出されてしまうケースが多いため、障害児の過ごしやすい環境づくりはやはり大切です。
はみ出し者扱いが本人に一番きついんだぞ
ADHDの詳細記事は下記を参考にどうぞ!
知的障害
知的障害は全般的な知的レベルが明らかに平均以下の状態で、IQの出る知能検査でIQ=70未満だと診断されます。
軽度…IQ50~69
中程度…IQ35~49
重度…IQ20~34
最重度…IQ20未満
発達不全の障害と理解しようね
知的レベルや精神年齢が低いことで、年齢に応じた適応行動はできないことが多く、療育手帳(愛護手帳)や障害者手帳を取得して社会的な援助を受けるのが望ましいです。
IQの程度によりますが、「おしゃべりやルールの理解ができない」「買い物など手続きが出分からない」など困りやすいので、環境を整え周りからのサポートがあると助けになりやすいかと。
努力とか気合で脳機能の障害は治らないのよ…
学習障害(LD:Learning Disorder)
学習障害は、全般的な知的能力に遅れはなく平均的なIQであるのに読む・書く・聞く・話す・計算するなど特定の学習能力に目立った困難を示す状態です。
「他のことはできるのにこれだけできない」と見られやすいので、「努力が足りない」など誤解を受けやすい特性と言えます…。
本人も「なんでこれだけできないの?」ってつらいやつ…
学習障害から「周囲になじめない」「落ち込む」など2次的な不適応が生じる可能性が高いので、周りの理解は特に大事。
人って苦手なこと『なんでできんの!』って言われたら誰でも嫌やで!
学習障害の詳細はこちら!
素朴な疑問2つ
発達障害の言葉の認知度は上がってもいまいち分からない人が多いのが現状です。
そこで、筆者が現場でよく耳にした2つの質問について答えます。
質問あれば記事に追加するかも
Q:「発達障害って最近増えたの?」
A:診断数が増えて、発達障害が浮き彫りになってきたといえます
発達障害が増えているというより、診断基準の変更や病院が身近に感じられて診断しやすくなったため目立つようになったと考えられます。
DSM-5という精神疾患の診断基準があり、自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)の重複診断が可能になったのも影響しているかと。
\ 専門家目指すなら持つべし /
今まで片方のみ診断されていた人が2つ診断される機会も急増
話聞かずに決めつける医師って実在するよ!!(怒)
メンタルにかかる際はちゃんと話を聴いてくれる医師選びが大事
Q:「大人の発達障害って何?子どもと違うの?」
大人の発達障害は、幼い頃や小学校時代などは周りのサポートで何とか困らずにやってこれたおかげで障害特性が目立たないケースが多いです。
就労とか自分の力が試される環境下でもともとの障害特性が目立って困るパターンね
子どもと大人の発達障害の内容に違いがあるわけではありません。
「大人の発達障害」呼びは医療界のマネタイズ臭がして好きじゃない
対処:療育と周りの理解が大事
発達障害は基本的には脳機能の障害なので、完治を目指すというより暮らしやすい環境づくりや本人の適応力を育てて困り感を減らしていく療育が基本です。
・本人の特性上苦手な部分を補う
(例:書く障害がある子にプリント活用)
・本人にとって不快な刺激を取り除く
(例:物音に敏感すぎる子に耳栓使用許可)
・環境を分かりやすくする
(例:クラスのルールを言っても理解できない子にリスト化して見せる) など
本人の適応力を育てるのも大事なことだよ!(2回目)
学校に配慮求めるだけってのは違うんですよ
子どもの場合、特別支援学級や適応指導教室など利用して環境を整えるもよし。
大人の場合、病院・クリニックへの通院やデイケア、就労移行支援(作業所)など利用して社会適応力を向上させていくもよし。
特に、社会進出して特性が目立つようになった大人の発達障害の場合は「まさか自分が…」と事前知識がなく困る人が多いので、就労移行支援の存在は知っておくと安心かも。
障害特性を理解して就活や就労維持をサポートしてくれるところだよ
発達障害って障害者雇用も使えるからそれも覚え得
療育だけでなく家族への理解を促すこともかなり大切な対処です(心理教育)。
「怠け者」と誤解されて自信をなくしていくのと、特性を理解してもらえてなんとかやっていけるのは予後が違います。
家族側も「障害特性なんだ」と分かれば少しは心穏やかになれるかも。
誰も何も悪くないから平和に対処してこう
おわりに:特性を知ってうまく付き合っていく方法を探そう
発達障害は脳機能の障害で、多くの障害名の総称です。
・自閉スペクトラム症(ASD)…社交性・コミュニケーション・想像力の障害
・注意欠如・多動症(ADHD)…不注意・多動・衝動性の障害
・知的障害…全般的なIQが著しく低下
・学習障害(LD)…IQ問題く読み・書き・聞く・話す・計算に難あり
定型発達(健常者)と発達障害に明確な境界線はなく、各障害特性を程度の差の問題(スペクトラム)として考えるようになったため、診断数が急増している可能性は高いです。
グレーゾーンといえば人類ほぼ発達障害にもなりうるから暴論チック
治る・治らないの観点や診断名に捉われないで、個人の特性を理解することが重要。
①療育
②家族への心理教育
対処は、どうにもならないことは周りができる範囲でカバーしたり、得意なことを伸ばしてあげたり、身の回りのことや本人ができそうなことは自分でやる力を育ててあげるなど療育が基本です。
特性によるけどルールや状況が分かりやすいようにイラストとか『見える化』が効果的
発達障害の特性は「怠け」と勘違いされることも多く、周りの理解のなさから気分の落ち込みなど2次障害も起きやすいので、障害について周りは知識をつけましょう。
障害理解のある環境を整えることも有効です。
▼障害理解のある環境例
・特別支援学級
・適応指導教室
・精神科や心療内科の病院・クリニック
・デイケア
・就労移行支援(A型・B型事業所) など
地域の保健センターとか公共機関とつながっていこう!
\ 発達・精神障害のためのサポート /
その他、苦手ばかりに目を向けず、得意なことを伸ばして自信もったり苦手をカバーするのも大事なことです。
一番は個人で違う特性を知り、付き合っていこうと向き合うことだよ
コメント
はじめまして。
私の一人娘が最近ASDと診断されて、療育に関することメインでブログを書いています。大変興味深く、記事拝見させていただきました。
分かりやすくて、読みやすかったです。ありがとうございます。
はたはた さん
はじめまして。
コメントありがとうございます。
ASDの捉え方は人によってかなり幅広いので難しいかもしれませんが、少しでもはたはたさんのヒントになっていれば幸いです。
娘さんと共に療育に向き合えることを応援しております。