こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
世間では何でもかんでも「ストレス!」と言いますが、ストレスについてやその対処法についてみなさんはどれだけ知っていますか?
「ストレス」で片づけてないか?
ぎくっ?!
学校、仕事、家事、人間関係など、人にとっては何でもストレスになりえるので、対策を考えずにイライラするだけの人もいるかもしれません。
今回は、ストレスの考え方やコーピング(対処)について心理学的観点から説明します。
心理系大学院受験を考えている人はしっかり説明できるようにインプットしましょう。
そうでない人も、ストレスの考え方を知り、ストレスへの対処法を身に着ける機会に読んでみてください。
(何でもかんでも「ストレスですね」で終わる医者や心理士は個人的に信用ならん)
こんな人におすすめ!
・「ストレス」が口癖な人
・ストレスについて改めて知っておきたい人
・ストレスコーピング(対処)に興味がある人
ストレス=緊張状態の持続
ストレスは、もともと機械工学で「物体に圧力を加えたときに生じる反発力」と用いられ、H.セリエが「心的負担となる出来事や状況によって、その人に生じる緊張状態」として人間に用いました。
嫌な出来事・状況が続いて、イライラやピリピリした感じが続くことね
ちなみに結婚などポジティブな出来事でも緊張を伴えばストレスになりえます。
ストレスって悪い言葉じゃないんだよ
ストレスがたまると身体症状の不調として表れる場合もあり、心身症など診断がつくこともあります。
・学校行かなきゃだけどおなかが痛い
・今度の職場会議で緊張するからか眠れない など
何でもストレスのせいにする人もいますが、出来事や状況をきちんと振り返ると不調の心当たりがあることもあります。
・学校行く前におなか痛くなるけど、毎朝ドカ食いしておなか下してた
・職場会議に向けて張り切りすぎてエナジードリンク過剰摂取で眠れなかった など
ストレスを疑うのは最後にして、先に他の原因行動がないかは考えるようにしましょう。
心理的な問題なのか、何かしらの行動の結果なのかによって対処は変わるんやで
ストレスと時間経過【汎適応症候群】
ストレスで起こる身体症状を、H.セリエは汎適応症候群と呼んで3段階に分けました(図はこちら参照)。
② 抵抗期…緊張状態(ストレス)が続いて、腹痛など不調が現れる時期
③ 疲労期(疲弊期)…緊張状態(ストレス)に耐えられず、抵抗力ガタ落ちな時期
生活上、嫌な出来事をはじめからすべてなくすことはできないため、①の警告反応期(凹むけど踏ん張る時期)は誰もが経験します。
例①転校生の嫌な奴が現れた!隣の席だって?どうなっちゃうの~?!
確かに避けようがないね。嫌なこと回避よりも対処考える方が現実的だな
②の抵抗期に嫌な出来事が弱まるか取り除けるかすればストレスから解放されると考えられ、③の疲労期はいわゆる緊張の糸がプツンと切れた状態で、一番危険な時期に…。
例②嫌な奴と席離れた!喋ってみたら嫌じゃなかった!
例③嫌な奴と離れられないし意地悪ばっかり…もうまぢ無理消えたい…
緊張状態(ストレス)を我慢して続けるのではなくて、どうにか楽になれるための方法を考えることが大切ですね。
「ストレスは人生のスパイスである」by H.セリエ
「からいのは苦手」by 筆者
ラザルスの認知的評価モデル
H.セリエのストレスの考え方を引き継いで、R.S.ラザルスがストレスへの対処(コーピング)について考えたのが認知的評価モデルです。
考え方はこんな感じ。
② 1次評価(ストレッサーが有害かどうか判断)
③ 2次評価(ストレッサーにうち勝てるかどうか判断)
すべて無理ならストレス反応(体調不良など)発生…!
たとえば、『パワハラ上司(ストレッサー)が 現れた!』とします。
例① ストレッサーを除外できるか
→自分が別部署に異動できた=除外成功
→異動は1年後までムリ=除外失敗…例②へ
例② 1次評価(ストレッサーが有害かどうか判断)
→パワハラ上司かと思ったけど細かいだけで理解できる=無害判定可
→言ってること理不尽すぎて老害=有害判定…例③へ
例③ 2次評価(ストレッサーにうち勝てるかどうか判断)
→適当に聞き流してあしらおうと思える=うち勝てそうでOK
→毎回言われたことに凹むから無理=you lose!…ストレス反応で腹痛など
対処のタイミングや方法ってけっこういろいろあるね
身近な誰かが亡くなるなどストレッサーは除外できない場合もあるため、ストレッサーに対する認識を変えてみたり(1次・2次評価)、ストレス反応そのものへの対症療法も有効です。
ストレスコーピング(対処)について有名なのはこの2つ。
問題焦点型コーピング
問題焦点型コーピングとは、問題となるストレッサーを直接解決するコーピングです。
自力でも人の手を借りても、逃げてもOK!
時には逃げてもいいんだよ!!!!!
・宿題や課題量が多くつらいため、減らせないか交渉する
・どうしてもそりの合わない上司がいるため異動を願う
・面倒くさいママ友の相手を1人でせず、みんなで協力してあしらう など
直接的な解決を図るため手っ取り早いですが、人間関係や不慮の事故など現実的に対応が難しいことも多いので問題焦点型はやれたらやるがおすすめです。
情緒焦点型コーピング
情緒焦点型コーピングとは、気晴らしをしたりや嫌なことを減らすコーピングです。
嫌なことを直接なくすことはできない代わりに気晴らしや、自分の認識を変えてストレッサーを軽減しようとするので、現実的に対処が難しいことに有効。
・テストは避けられないけれど、終わったら長期休暇や楽しみがあると思う
・口うるさい上司はきっと友だちがいない可哀そうな人なんだと思ってみる
・保護者会が憂鬱だから、その後憂さ晴らしに女子会で愚痴りまくる など
ストレッサーを除外することはできませんが、ストレッサーとうまく付き合いながらのコーピングになるので情緒焦点型の方が適応的で今後に役立ちやすいと思われます。
困難を乗り越える力は身に着けて損なし
個人での対処が難しい場合は、心理士など専門家の助けを借りても良いと思います。
おわりに:ストレスからは逃げてもOK!どう認知するかも重要
ストレスとは、心的に負担となる出来事や状況によって緊張が続くことで、ネガティブなことだけでなくポジティブなこともストレスになりえます。
頭・おなかが痛いや、眠れない、動悸がするなど「何でもストレスのせい」だと早合点するのではなく、まずは出来事や状況を振り返って心的以外の原因がないかを考えるのが大切です!
ストレスでおなか痛いのか、食あたりでおなか痛いのかによって対処が変わるからね
ストレスの考え方はこんな感じ。
・1次評価(ストレッサーが有害かどうか判断)
・2次評価(ストレッサーにうち勝てるかどうか判断)
→すべて無理ならストレス反応(体調不良など)発生…!
ストレスコーピング(対処)はストレッサーの除外かストレッサーへの認識を変えるがベターで、問題焦点型コーピングと情緒焦点型コーピングが有名です。
・問題焦点型コーピング…問題となるストレッサーを直接解決する
例:どうしてもそりの合わない上司がいるため異動を願う
・情緒焦点型コーピング…気晴らしをしたり嫌なことを減らす
例:口うるさい上司はきっと友だちがいない可哀そうな人なんだと思ってみる
人間社会で生きるにあたってストレスは避けきれませんし「適度なストレス」であれば人の作業効率を高めるメリットもあるため、個人的には問題焦点型<情緒焦点型コーピングで多少のストレスに立ち向かえる抵抗力を高められると今後に活かしやすいと思います。
でも逃げるも大事なコーピングだから逃げれるときは逃げてね!小さなことには立ち向かってみよう
ストレスコーピングや気持ちの回復の手立てとしてワークブックもあるので興味ある人はどうぞ。
単行本で、自分でできるコーピングのヒントが多く載っています。
心理学関連は小難しい本が多いですが、章立てが分かりやすく読みやすいですよ。
気晴らしで読書や現実逃避も時には大事だね
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