こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
心理学に興味のある人なら『マズローの欲求階層説』を聞いたことあるのではと思います。
心理系大学院受験でも、自己啓発や経営本でもよく見かける動機づけ(モチベーション)理論です。
今回はこの欲求階層説を説明していきます。
✓心理学に興味がある人
✓心理系大学院受験を考えている人
✓人の欲求について知識を深めたい人
マズローの欲求階層説って?
人間の欲求を低次から高次なものまで分類したA.H.マズローの説です。
※心理系大学院進学希望者は、この説をきちんと説明できるようインプットしましょう
「生理的」→「自己実現」まで基本的には低次の欲求が満たされてから1つ上の欲求を満たそうとする説ですが、必ずしもこの順は固定ではなく、無理だと悟ったら上の欲求に上がるなど個人差はあります。
マズローの手紙めっちゃ意訳すると「病んでる人ばっか診るの飽きたから健康な人も診たい」ってさ
生理的欲求
人の生命維持活動のための基本的な欲求です。
・睡眠
・性行動
・排泄 など
生きるための最低限の欲求で、いわゆる3大欲求(食欲・睡眠欲・性欲)が減るときは身体の立派なSOSということ。
一応人の身体は体内環境を一定に保とうとするリバランス機能(ホメオスタシス)が備わっています。
株にも欲しい機能やな
野菜不足を身体が感じたら野菜を採ろうとするなど、欲求で欠乏を感じたら生物は補充しようとするはずなんです。
「食欲ない、寝ようとも思わない…」、そう思うことが続く場合は医療機関に行ったり周りに相談してくださいね。
安全の欲求
危険を避けて安心を得たい欲求で、生理的欲求と同じくらい強いと言われています。
・清潔でいたい(汚いのは嫌だ)
・ルールのある学校や職場に就きたい(突然の仲間外れやリストラは嫌だ) など
身の安全を確保したうえで生きたいという自然な欲求ですね。
「死にたい…」って人は安全の欲求が減ってそうなので「大丈夫だよ」って身の安全を確保してあげるのも大事かも
所属と愛の欲求
集団に属して仲間を得たいという欲求で、個の生命維持の欲求というより社会的な側面が強いです。
・恋人や家族など密な関係をつくりたい
・友だちやサークルなどコミュニティに属したい など
まずは人の輪に入りたいという欲求ですが、恐ろしいことに人間心理は異質を排除したがる特性もあるのでこの段階で苦しむ人は多いと言えますね…。
しあんもいじめでハブられてマインドクラッシュしたなぁ
マジョリティ(大多数)が優勢な風潮もありますが、マイノリティ(少数派)でも所属も愛も満たすことはできることを覚えておきましょう。
承認欲求
他人から認められたいという欲求で、聞いたことある人が多いと思います。
・自分ことを認めてもらいたい など
所属と愛の欲求のように社会的な側面が強く、人間社会で自分の存在を見出したい気持ちからきています。
承認欲求までの下4つは足りないものを補おうとする欠乏欲求と言われ、十分に満たされないと病的な状態に陥る場合が考えられるので要注意。
メンヘラは承認欲求高いね
自己実現の欲求
理想とする自分に近づきたい、成長したいという欲求(成長欲求)で4つの欠乏欲求がある程度満たされると生まれてきやすいです。
細かく言えば超越的かそうでないかで分けられます。
・超越的な自己実現…悟りを開いた自己実現
「超越している」は悟りを開いたとか「あっ!!」と閃くような感覚(至高体験)。
出産時の感動とか…何とも言い表せない感覚で得られる至福的な人としての成長…(一生懸命なキレイごと)
イッちゃった感じね
自分の欲求レベルはどこに位置づけられるか~『ジャングルで暮らす5人』
マズローの説で『ジャングルに暮らす5人』というたとえ話があります。
ここに、ジャングル暮らす人物が5名います。
まずAは危険なジャングルで数週間暮らし、時々食べ物や飲み水を見つけては飢えをしのいでいます。
次にBです。この人はただ生きているだけでなく、ライフル銃を持ち、中から閉められる扉のついた洞窟の隠れ家で暮らしています。
3番目のCは上記のものをすべて持つとともに、一緒に暮らす2人の男がいました。
更に4番目のDは食べ物や隠れ家のほかに、親友と一緒に暮らしています。
そして最後のEです。この人物は上記に掲げたものすべてを持ち、しかも彼は集団のリーダーとして皆から広く尊敬されています。
(引用 中野明(2016)『マズロー心理学入門: 人間性心理学の源流を求めて』)
5人の欲求はこんな感じで
B…安全の欲求
C…所属と愛の欲求
D…承認欲求
E…自己実現の欲求
Eに向かうほど心身の豊かさが感じられますが、個人によって欲求が違うので満たし方が違うのもポイントですね。
「恋人が欲しい!」が欲求だとしても「恋人ができた結果どうなりたいか」を考えてみると
「人と一緒に食事したい」なら生理的欲求、
「気軽に頼れる相手が欲しい」なら安全の欲求、
「家庭をもちたい」なら所属と愛の欲求、
「美形な恋人侍らせてマウントとりたい」なら承認欲求、
「切磋琢磨し合える相手が欲しい」なら自己実現の欲求とか。
当初の「恋人が欲しい!」で自分が本当に望んでいることが手に入るかを考えてみましょう。
頼れる相手が欲しいのに要介護な恋人つくっても「こんなはずじゃ…」ってなるもんね
引用書籍はこちら。
マズロー心理学に興味のある人はよければどうぞ。
おわりに:外堀ができてから自分の成長に焦点が向きやすい!
マズローが唱えた欲求説は基本的に下から満たされていくと考えられていますが、人なのである程度前後したりずれることはあります。
・安全の欲求…危険を避けて安全を得たい欲求
・所属と愛の欲求…集団に属して仲間を得たい欲求
・承認欲求…他者から認められたい欲求
・自己実現の欲求…理想な自分へと成長したい欲求
自己実現以外の4つは欠乏欲求と言って満たそうと必死になりやすく、満たされない状態が続くと心身の不調をきたしやすいので要注意です。
特に、人の3大欲求は心身の健康の重要なサインなのでしっかり満たしていきましょう。
大切なのは、今の自分が何を欲していて、そのために何が必要かを考えることです。
欲求が出てくることは悪いことではないですが、言うだけ言って何もしないではこころの健康にはよろしくないかもですね。
欲しい何かを得るためにはどんな行動が必要かを考えようね
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