こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
「心」に興味がある厨二のみなさんなら「脳」にも興味がありますよね?
当然だよなぁ?!
脳は記憶や情動、感覚、意思決定など多くの機能をもっており、心とも関連が深いものです。
✓脳の働きをぶっちゃけよく知らない
✓右脳・左脳以外に分けられるの?
✓心理学かじってるけど脳構造カヲス
今回は、脳の部位や各領域の代表的な機能についてざっくり解説します。
用語説明系はどうしても漢字が多い=初見でもういいと拒否反応を起こしがちですが(筆者だけ?)、図を多めに挟んで分かりやすく解説するので、是非最後までご覧ください。
一度に全部覚えるのは無理ゲーだから確認用にどうぞ
心理系大学院を目指す人にとって、脳構造や各領域の役割を抑えることは基本のきなので要チェック。
そうでない人は、ぜひ知的好奇心を満たしてみてください。
こんな人におすすめ!
・脳に興味がある人
・脳構造を勉強したい(がさっぱりな)人
・リハビリ職など医療系に関心がある人
※心理系大学院進学希望者と厨二の人は必須
大脳とは?-表面編
脳と言ってもその領域は細かく分けられていますが、脳の多くを占めているのが大脳です。
ちなみに…脳は神経系の一部。脳と脊髄のことを中枢神経系と言い、中枢神経系から派生する神経系は末梢神経系という
大脳の断面を見ると、大きく3つに分けられます。
レントゲンで見たときに断面が白っぽくなる内側部分は白質といって、神経細胞の繊維が集まっています。
断面が灰色っぽくなる外側部分は灰白質といい神経細胞が多く集まっており、灰白質の表面を大脳皮質といいます。
この大脳皮質がしっかり機能することで、考えたり知覚したりなどが可能になります。
\ 他の神経系覚えてる? /
脳の左右差
大脳は、いわゆる右脳と左脳に分けられ、2つを繋ぐ大きな神経線維は脳梁といいます。
右脳と左脳は一見対称的な見た目ですが左右で機能は違い、特定の機能が片方で優先されることが脳の側性化です。
たとえば右利きであれば、右脳には形や距離、空間の理解や音楽能力、左脳には言語全般の機能が優位に見ら得ることが多いです。
右利きなら右脳は直感的、左脳は理論的とかいう
ちなみにこういった左右差が何故分かってきているかというと…。
離断脳(分離脳)といって、脳梁を切断した結果それぞれの機能差が分かってきた経緯があります。
?!(アラヤダ怖い)
離断脳はもともとてんかん治療の目的で行われたぞ!R. W. スぺリーらによる実験が有名
また、たとえば右利きの人の右半球に異常が生じてしまうと、左側に見えるものに注意を向けられず無視してしまう左半側無視が生じてしまいます。
・左側にある文字が読めない
・食器の左側が欠けていても気づけない
→とにかく左側を認識できない
左右で本当に機能差あるんだね
眼では見えていても脳の右半球に異常があれば認識ができないため、左半側無視そのものの認識が難しい特徴があります。
脳みそ大事にな
ブロードマンの脳地図
ブロードマンの脳地図とは、大脳皮質の細胞を染色して、各層を成す細胞の形や厚さが違う(=それぞれ機能が異なると考えた)ことから、大脳皮質を52程度のエリアに分けた考えを指します。
(脳を染色…怖い…)
ブロードマンの脳地図で大脳をエリアごとに番号づけることで、脳機能の局在論(特定の精神機能は特定の脳部位の働きによるという考え)を助けた点で役立っています。
大脳とは?-各領域編
大脳皮質は、前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉の4領域に分けることができます。
前、後ろ、てっぺん、側面でまだ分かりやすいね
ちなみに、大脳の外見上見られるシワは溝(「みぞ」読みじゃないんかーい)、溝と溝の間の表面をは回という。中心溝(大きな溝)が前頭葉と頭頂葉の境目、外側溝(横にある大きな溝)が前頭葉と側頭葉の境目
それぞれの代表的な特徴はこんな感じ。
前頭葉 | 意思決定、思考、遂行機能など。発話に関するブローカ野あり |
頭頂葉 | 体性感覚、空間知覚など |
側頭葉 | 聴覚機能、顔の認知機能など。聴覚情報の理解に関するウェルニッケ野あり(基本左半球) |
後頭葉 | ほぼ視覚機能 |
ぷすぷす…(心理系大学院目指す人は暗記推奨★)
前頭葉は、他の動物と比べて人のはかなり発達して大きい領域です。
人として考え事をしたり、目標をもって計画立てて行動したりすること(遂行機能)ができるのは前頭葉の発達のおかげですね。
ちなみに、前頭葉が損傷してしまうと、これまでの性格とは一変してしまった事例も多いです…。
▼前頭葉の損傷-フィネアス・ゲージの例
元々は理性的だった人の前頭葉がパイプで打ち抜かれてしまう事故…。事故後は気まぐれ・傲慢に。
▼前頭葉のロボトミー手術
あえて前頭葉をいじったところ、人の積極性が失われてしまった…(現代ではこんな実験しません)。
前頭葉は人に必要な領域だね…
頭頂葉が代表する体性感覚は、熱い・冷たい、痛い、圧迫される、胃がむかむかするなど身体が感じ取る感覚を指します。
また、空間を知覚できるからこそ、自分が今どこにいるかなどが理解できます。
頭頂葉も傷ついたら大変そう…
側頭葉は大脳の横側の領域なので、聴覚(耳)に関するイメージはしやすいかもしれませんね。
また、聴覚機能のほか、側頭葉では言語や記憶を司るとも言われています。
心理の勉強上有名なウェルニッケ野もざっくり言えば側頭葉の領域にあり(別途記事化予定)
後頭葉は目で見た情報を読み取る領域で、眼に異常がなくても後頭葉に異常があれば、物を見ているのに認識できなくなることが考えられます…。
後頭部強打すると目がちかちかする
大脳以外とは?
主に発達しているのは大脳ですが、大脳以外にも間脳、小脳、脳幹(中脳、橋、延髄)があります。
間脳 | 視床・視床下部あり |
小脳 | 不随意運動(姿勢を保つなど無意識に行う運動) |
脳幹(中脳・橋・延髄) | 生命維持活動を担当 |
特に、脳幹(延髄)は問題が発生すると昏睡してしまう可能性が高い要注意領域です。
(脳=大脳だけかと思ってた)
【重要】大脳辺縁系とは
大脳辺縁系とは、情動や記憶などに関連した脳部位をまとめて指したものです。
代表的な部位として、記憶に関する海馬や情動に関する扁桃体が挙げられます。
海馬
ふぅん…
海馬は記憶の生成に関係しており、側頭葉の奥深くに位置しています。
タツノオトシゴみたいな形
過去にはてんかん治療のために海馬を切除したH. M. の事例が有名。
▼H. M. の事例
・てんかん症状は改善された
・自分の名前や昔の記憶は保たれていても、新しいことは覚えられなくなった(順向性健忘)
現在から未来に向かうほど忘れていくことを順向性健忘、現在から過去に向かうほど忘れていくことを逆向性健忘という
海馬は主に短期記憶に関わっていることが分かっています。
扁桃体
扁桃体は、快・不快や恐怖など情動の生成に関係しており、海馬の尖端付近にあるアーモンド状のものです。
動物実験では、ヘビが怖いサルの扁桃体を除去したところ、恐怖心がなくなりヘビを食べようとしたのが有名。
サル「ヘビには噛まれました」
人でも同様に、偏桃体に損傷があると、顔認識はできても喜怒哀楽などの感情を読み取ることができなくなると言われています。
海馬では過去に嫌なことがあったという記憶を生み、偏桃体がその記憶を参照して、今後同じことが起こらないように恐怖などの情動を生んで警戒させると考えられます。
\ 情動のお話はこちら /
おわりに:事例やイメージをセットに覚えよう
脳に関する基本情報や領域、特徴などをこれでもざっくり解説しました。
一見難しそうに見えますが、事例やイメージも合わせてインプットすると多少は覚えやすくなると思います。
頭パンクする場合は、大脳の4領域と海馬・扁桃体は最低限優先して覚えてください!
また、生理心理学全般に興味があって勉強したい人は、これ1冊読みこめばかなり力になるので参考にどうぞ!
生理心理学系の本は比較的小難しい印象なので、図が多い本がおすすめです(図がリアルだと筆者はきついですが…)。
\ 筆者の初めてはこっち /
厨二心があればイケる
たくさん勉強お疲れ様~
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