こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
今回は心と身体のお話で「自律神経」についてざっくり解説します。
自律神経失調症って最近よく聞くね
✓自律神経がよく分からない
✓自律神経失調症って何だっけ?
✓神経が活性・抑制でどうなるの?
✓神経系と心って関係あるの?
本記事では自律神経の2種類(交感神経系・副交感神経系)の特徴と、それに関する闘争か逃走反応について分かります。
カッコいい(?)反応キター!
心理系大学院を目指す人にとって、院試での出題は大学院によってムラがあるものの、今後も必要な知識になるので今のうちにしっかり覚えておきましょう!(資格試験の方が出題されやすいかも)
そうでない人も、頭痛やめまい、頻尿などの症状は自律神経の乱れからきている可能性もあるので、本記事を読んで生活を振りかえるきっかけになれば幸いです。
こんな人におすすめ!
・交感神経と副交感神経の特徴を覚えたい人
・闘争か逃走反応が気になる人
・自律神経の乱れによる影響に興味がある人
・頭痛やめまい、痺れなど気になる症状がある人
・自律神経を整えたい人
※心理職目指す人は必須
自律神経系とは
自律神経系(autonomic nervous system)とは、体内の臓器の活動を調整する神経系を指します。
呼吸を整えたり体温を調整したりなど、人が意識していなくてもある程度自律的に身体は機能してくれます。
体内環境を一定に保ってくれる身体の働きはホメオスタシス(homeostasis)という
助かる~
自律神経系は交感神経系(sympathetic nervous system)と副交感神経系(parasympathetic nervous system)に分けられます。
この2つの神経系が乱れると、動悸や発汗、鳥肌が立つなどの身体症状にもつながり、体調不良や感情の表れに関係するとか。
なお、ホメオスタシスの機能が備わっているとはいえ、それだけで健康を保ったり環境に適応するには無理があります。
自律神経にシラフで動いてもらわねば
まずは2つの神経系の特徴を確認しましょう!
交感神経系
交感神経系は、危機的な状況で身体を活性化させようと働く神経系です。
何かに興奮したり、強いストレスを感じたり、プレッシャーで押しつぶされそうなときなど緊張感ある状況では、立ち向かうにも逃げるにも相応の身体づくりが必要になります。
このように、交感神経系が優位になることを闘争か逃走反応(fight or flight response)とも言います。
(うまいこと言ったと思ってるんだろうな…)
▼交感神経系優位での特徴
・血圧が上がる
・黒目が大きくなる
・唾液の分泌が減る
・心拍や呼吸数が増える
・汗をかきやすくなる
・身の毛が立つ
・頻尿になる
・消化を抑える など
闘争か逃走反応では、万が一の危機に備えて身体に血液や栄養を送り、いざというときに素早く活動できるよう臨戦態勢を整えるイメージです。
発表前に緊張して動悸がしたり、消化不良でお腹が痛くなったり、やたら汗をかいてしまうのは交感神経系がやたら優位な結果と言えます。
筆者は交感神経アゲアゲ
副交感神経系
副交感神経系は、身体を休める状況でリラックスさせようと働く神経系です。
身体を休める神経系ですが、もちろん臓器の活動が止まるわけではなく、全体的に落ち着きます。
省エネモード
▼副交感神経系優位での特徴
・黒目が小さくなる
・唾液が増える
・心拍数が落ち着く
・汗が引く
・消化が良くなる
・排泄しやすくなる など
基本的に、交感神経系と副交感神経系の役割は逆と覚えましょう。
身体がリラックスしていると食欲が出たり眠くなったり、心穏やかになれるのは副交感神経系が有意な結果と言えます。
自律神経が乱れると?
交感神経系も副交感神経系もどちらかが優れているのではなく、どちらも心身の健康には必要な神経系です。
バランスが大事って言うよね
自律神経が狂って、休むときに交感神経系が、エネルギッシュに動きたいときに副交感神経系が働くと体内はアンバランスに…。
心身に影響が出る場合は自律神経失調症の可能性もあります(他の病気や原因も考えられるので断定には要注意!)。
▼自律神経失調症の一例
・何もないときに突然動悸がする
・いつも吐き気や便秘、腹痛など不快感がある
・休んでいても頭が重い感じがする
・目や口がやたら乾く
・元気なのに耳鳴りやめまいがする
・何故か痺れや震え、冷えが起きる
・緊張していなくても汗が多い
・頻尿になりやすい
・微熱や怠さ、疲れが続く
・情緒が不安定になりやすい など
夜寝つけないとかもあるけど…
自律神経の前に生活振り返る方がいいかも
上記のような症状がある=自律神経が乱れているとは一概に言えず、不安障害やうつ病、内科的な問題などの場合もあります。
また、交感神経系が働き続けてしまうというのはストレスフルな状態で、腹痛や吐き気などの身体化が起きてもおかしくありません。
最早何が原因か分からなくなるね…
何にしろ不調が続く場合は何かしらの身体のSOSなので、断定や軽視をせず医療機関に相談してみてください。
自律神経を整えるには
自律神経系は、生活リズムが乱れや転職や引っ越しなどでの環境の変化、季節の変わり目、ストレスを多く感じたりすると乱れやすいと言われています。
近年では何でもハラスメントになり、過敏な人も増えてきており、交感神経系が優位になることは多めです…。
(常に気ィ張ったら疲れるよな)
常時臨戦態勢ィ
自律神経は日常の些細な変化から乱れやすいですが、同様に些細な工夫で整えることも可能と思われます。
●規則正しい生活をする
・起床や就寝時間を決める
・寝る前のスマホを控える
・朝起きたら日光を浴びる
・煙草やお酒を乱用しない など
●食事バランスを整える
・朝昼晩食べる
・ビタミンB群(魚介など)やセロトニンの材料になるトリプトファンの多い大豆系や乳製品などを摂る(※これらばかり食べて偏ってもNGなのでなるべく幅広く栄養を)
●普段全く運動しない人はストレッチや散歩など
特別な何かをするというより、自分の生活をなるべく正してあげることが大切です。
心がどうのと疑う前に我が身を振り返ろう
自律神経については漫画で読みやすい本もあるので、何となく体調を崩しやすい人は読んでみてもいいかも。
↑特別なことは書いてないけど漫画で読むと理解しやすいのなんでだろ?
視覚的で共感しやすいからじゃね?
また、自律神経を整える方法として、J. H. シュルツの自律訓練法もあります。
自律訓練法…「気持ちが落ち着いている」などの言葉とイメージで自己暗示をして、リラックスした状態にする方法(別途記事化するかも)。
自律神経系の働きは身体のオート機能ですが、意識を向けることである程度のコントロールは可能なので試してみる価値はあり。
血圧とか心拍数とか落ち着けって思うと多少落ち着くね
おわりに:動くときは動いて休むときは休むメリハリを!
自律神経系とは体内臓器をオートで調整する神経系で、身体を活性化させる交感神経系と省エネモードにさせる副交感神経系に分けられます。
それぞれの働きはこんな感じ。
交感神経系 | 副交感神経系 | |
目的 | 危機に備えた身体の活性化 | 休息に備えた身体のリラックス |
内臓機能 | 向上・促進↑ | 低下・抑制↓ |
消化器機能 | 低下↓ | 向上↑ |
特徴 | 血圧や心拍数の増加、発汗、消化不良など | 血圧や心拍数の低下、食欲増加など |
具体的な症状 | 動悸、腹痛、頻尿、パニックなど | 空腹、眠気、気持ちが落ち着くなど |
特に、交感神経が優位になることは、闘争か逃走反応というので心理職を目指す人は覚えておきましょう。
戦うでも逃げるでも選べるようにスタンバイ!
交感神経系はあくまで危機を乗り切ったり逃れたりするために働き、副交感神経系は身体を休めるために働きます。
休憩時や就寝時に交感神経系が優位になれば、休みたくても休めません…。
でも現代人あるある
いつも気が張っていたりなんとなく心身の不調を感じる人は、生活リズムを整えたり「今は休んでいいんだ」と決めてみたり、「落ち着こう…」と自己暗示して深呼吸したりしてみてください。
ストレスフルな状況には立ち向かっても逃げてもいいし、なんなら休んだっていいんです。
現代人は交感神経系が優位になりやすい(闘争か逃走反応が出やすい)なら、あえてリラックスすることを意識するのが大切かもしれません。
神経質になり過ぎずゆるっといこ~
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