こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
心理士の仕事の中でもスクールカウンセラー(SC:school counselor)は世間的に有名であり、(若い)心理士界隈で人気な仕事です。
(筆者的には院卒ピチピチでSCやるのはあまりおすすめしないけど…)
今回は、スクールカウンセラーとしての1日の仕事の流れについて筆者の体験談を元に紹介します。
✓スクールカウンセラーって実際何するの?
✓スクールカウンセラーってどうやってなるの?
(✓筆者が院卒ピチピチにおすすめしないのは何でだコラ)
これら1つでも気になる人は是非最後までご覧ください。
ちなみに、筆者の体験談のメンタルクリニック編はこちら。
心理士を目指している人やスクールカウンセラーになりたい人、興味のある人の参考になれば幸いです。
スクールカウンセラーとは
スクールカウンセラーは、小・中学校や高校(昼・夜間)、専門学校などの各学校に配置されるカウンセラーで、児童生徒や保護者たちへのカウンセリングや教師への心理的サポートをする人です。
その実態は臨床心理士・公認心理師の有資格者がほとんどで、学校内部の先生ではなく外部の専門家という位置づけになります。
私立学校は学校がスクールカウンセラーを採用することもあり。都道府県によって市採用の職員など立場はバラバラ
(組織としては分かりにくいぞ)
\臨床心理士・公認心理師を目指す人はこちらをチェック/
都道府県によって時給や配置人数、条件などは異なりますが、非常勤や他の仕事と掛け持ちするパターンが多いです。
また、心理職の中では時給が高く、2、300円~5000円程度とされています。
時給だけでくいつく人は実際多いけど…
もともとは、平成6年にあった大河内くんのいじめ自殺の問題を機にいじめや不登校の問題対策として、平成7年から配置が始まった歴史があります…。
スクールカウンセラーの歴史はまだ30年も経っておらず、子どもたちのいじめや不登校をはじめとした問題を防ぐために年々改善を続けています。
この歴史については「子育てカウンセリングリソースポート」を運営している半田一郎さん(公認心理師・臨床心理士・学校心理士スーパーバイザー)が詳しくまとめています。
SCのスペシャリストが分かりやすく解説してるぞ!
スクールカウンセラーになりたいと考えている人は一度は目を通しておきましょう。
SCの歴史は大学院でも学ぶから予習になるよ
スクールカウンセラーの仕事
スクールカウンセラーの仕事は、児童生徒のメンタルケアやその学校の健康度を高める活動になります。
・カウンセリング(困っている児童生徒や保護者)
・教師へのコンサルテーション(心理的サポート)
・児童生徒の観察
・現職教育(教師に心理学的な仮授業)
・スクールカウンセラー便りの発行
・学内会議への参加(いじめ防止関連など)
・外部研修参加
・心理検査(必要・設備に応じて)
・ストレスチェック など
非常勤だと特に時間が限られているので、配置される学校の管理職と応相談で仕事内容は変わってきます。
コロナ流行ってからはコロナのストレスチェックあったなぁ
大体の学校でメインはカウンセリングだと思いますが、対象は子どもより保護者の方が多かったり、教師のメンタルケア優先だったり…。
先生の私的な相談は業務外です
教師に対して心理学の視点・知識を授業形式で伝えたり、お便りを発行したりも。
お便り書くと子どもに結構覚えてもらえるし、意外と保護者も見てくれてる
キッズ「なぞなぞの人!」大人「確かゲームが好きなカウンセラーさんって…」筆者「便りは真面目に書こうな」
スクールカウンセラーになる方法
スクールカウンセラーになるには、都道府県の臨床心理士・公認心理師のSC会に所属し応募、面接で採用の流れが主流です。
原則資格が必要だよ!(教員免許は要らないよ)
\資格取得の流れはこちら/
地域によっては心理系大学院生や資格取得見込み者も準スクールカウンセラーとして勤務可能な場合もあります。
準ずるSCなので時給下がったり条件変更ありやで
常勤スクールカウンセラーの場合は筆記試験などハードルは高くなりますが、非常勤であれば面接をパスすれば問題ないと思われます。
※資格取ればなれるけど業務難易度は思ってるよりずっと高いよ
スクールカウンセラーの1日
では、筆者の場合のスクールカウンセラーの1日をざっくり紹介するので、イメージの参考になれば幸いです。
勤務日時などの条件は学校の管理職と応相談で決めますが、筆者はこんな感じでした。
✓週1回、半日(4時間程度)
✓小学校配置(1校)
✓子ども・保護者のカウンセリング中心
✓時給5000円
筆者の地域は年間で勤務時間が決まってたよ
13時:出勤&予定確認
正確には10~15分前くらいには出勤しております。
週1勤務で、変化の多い学校の内部事情を把握するのは正直ハードル高すぎるので、1日の予定確認は必須です。
自分がいない間に学校でどんなイベント・トラブル・気になることがあったかを管理職を中心に共有します。
一専門家として臆せず話しかけるべし
自分がいないうちにたくさんカウンセリングの予定を入れられていることはザラ。
先生から『このクラスの○○さんを見て欲しい』と言われたり、急な相談も日常茶飯事。
スクールカウンセラーは自分の勤務時間をどう扱うか自己管理する力が必要になります。
指示待ち人間にはおすすめできないかも
13時~15時頃まで:児童との時間
子どもが学校にいるうちはとにかく子どもとの時間を重視するので、カウンセリングや校内巡回をします。
✓授業の様子を観察
✓お昼休みに学内徘徊でいろんな子と雑談
・元気そうな子から元気をもらえる
・気になる子の様子をチェック
・騒がしい子から学校の噂、友だち関係を教えてもらう
・ノーマークの子から井戸端カウンセリング など
悩みや問題のある子どもだけじゃなくて、健康な子どもの様子を見るのも仕事です。
子どもから元気さを分けてもらえるのはスクールカウンセラーの仕事のやりがいの1つですね。
校内徘徊にも意味はある!
授業での子どもの様子を見に行くときは事前に先生から許可を得て、観察後は思ったことを先生にフィードバックすると関係性も出来て一石二鳥。
カウンセリングがある場合は時間を決めて話したり遊んだり。
学校現場は、他の現場以上にカウンセリング枠をコントロールする個人の力が求められるので、個人カウンセリングの基礎を身に着けてから挑戦する方が自分や学校のためになれるかと。
・子どもが時間通りにカウンセリングに来ない
・プレイセラピーをしようにも制限は多い
・病院臨床のように守られていない枠をどう扱うか
・1人職場故の孤立(連携の難しさ)
・子どもや学校を見立てる力がいる など
学校は割と無法地帯だから自分がしっかりしないとセラピーにならない
空き時間は先生と情報共有でとにかくコミュニケーションをとります。
隙あらば養護教諭に捕まるのでSCにゆっくりする時間はない
15時~17時:大人との時間
筆者の場合はなるべく、子どもが下校した後に保護者とのカウンセリングや先生方との共有、カウンセリング記録や書類作成を行いました。
記録も大切な仕事の一環!なるべく簡潔に書きましょう。。
内容の詳細は書きませんが、相談内容は以下が多かったです。
【保護者】
・不登校の子どもへの対応について
・子どもの特性や発達障害の理解、関わりについて
・子育ての悩み
・不安になりすぎる親自身の相談
【先生】
・クラスの子どもとうまく関われない悩み
・気難しい保護者への対応について
・「問題児」の愚痴(障害理解のない先生への心理教育) など
個別対応だけでなく、たとえば不登校の子どもに対して担任、養護教諭、管理職とチームを組んで話し合ったり、いじめ対策会議などに参加して先生方に意見することも。
子どもの自由さに合わせて集団面接したり、先生方に心理的な視点を伝える仮授業(現職教育)もしたり。
スクールカウンセラーって子ども対象なイメージあるじゃん?保護者・先生との関わりの方がワンチャン多いぞ!!!!!!!(泣)
ぴええ(ガクブル)
おわりに:スクールカウンセラーの1日は臨機応変な対応
スクールカウンセラーは教師ではなく、あくまで学外の心の専門家というポジションです。
学校や教育に染まりすぎると心理士ではなく「教育者」になってしまうので、心の専門家としての線引きはしつつ、子どもや保護者、先生方の心のサポートを図ります。
1日の仕事は学校のニーズによりますが、カウンセリングがメインの場合が多いです。
空き時間は子どもの観察や記録、書類作成、先生方との共有、緊急対応など地味にやることは盛りだくさん。
スクールカウンセラーを目指す場合は、タイムマネジメントの力と問題を(早めに)見立てる力、臨機応変に対応できる力を養っておくことをおすすめします。
現場で培っていくことも大切だけどちゃんと覚悟して臨もうね
教育現場で働く前に、先生や周りの人を味方にするための知恵としておすすめの本はこちら。
これ読んでおくだけで、学校で困ったときの対応がしやすくなりました。
専門知識や精神疾患に関する知識が乏しいままスクールカウンセラーになっても対応できない可能性が高いので、しっかり勉強してから望臨むと楽しい仕事だと思います。
時給高いのは魅力だけどその分求められる専門性も高いよ。勉強ファイト!
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