こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
当『サイコロブログ』は心理系大学院や心理学に興味のある人に向けた内容が多いですが、
そもそも心理士って何するの?心理学初心者すぎて分からないんだが
こんな疑問を持つ人に向けて、もっとざっくりと心理士が何者であるかを説明していこうと思います!
こんな人におすすめ!
・臨床心理士や公認心理師について知りたい人
・試験によく出る心理士の4つの責務を覚え直したい人
・「心理カウンセラー=カウンセリング」のみと思っている人
臨床心理士・公認心理師のお仕事
当ブログでは、臨床心理士と公認心理師の2つをまとめて『心理士』と記載します。
こちらの記事でも心理士についてや両者の違いについて解説していますが、心理士を目指す人向けな内容ですので「そもそも心理士って何するの?」って人は本記事をご覧ください!
立ち位置としては『心の専門家』です。
個人の悩みや相談から、うつ病・発達障害など精神的な病気・障害を抱える人の話まで、いろいろな内容を取り扱います。
・対人関係がうまくいかない
・不登校をどうにかしたい
・発達障害で家事・育児が全然できない
・仕事を続けられない
・うつ病が再発してどうにかしたい など
深刻な話だけじゃなくて、割と身近な相談も多いと思うよ
心理士の生息地ですが、精神科や心療内科の病院・クリニックや市役所、民間の職場、児童相談所、警察署などさまざまで、開業心理士もいます。
業務としては以下の3つ(4つ)です。
① アセスメント…人の様子や行動を見たり、心理検査を使って状態・病態をみる
② カウンセリング…いわゆる相談
③ 地域援助…学校や職場など世間に心理学的知識を広めたりする
④ 研究…専門性の質を維持・向上したり新しい尺度を作る
ちなみに、相談対象者のことをCl.(クライエント)と呼びます。
臨床心理士・公認心理師はTh.(セラピスト)やカウンセラーとよく呼ばれます。
それでは1つずつ具体的にみていきましょう。
①アセスメント
Cl.のことをなるべく多くの視点から見て、理解を深める作業です。
たとえば「うつ病」といっても発症の原因はさまざまあります。
・職場環境など外的な要因
・親もうつ病を患っていて遺伝的
・落ち込みやすい性格など本人の要因 など
もちろん病状も人それぞれ。
・気分の落ち込みがとにかく目立つ
・気分の落ち込みはないけど眠れなかったり食欲がない
・気分の落ち込みはあるし寝すぎ食べ過ぎ など
たとえば同じ「うつ病」でも、人によって悩みや病状などは異なるため、より適切な援助方法を見極める必要があります。
また、アセスメントの際はCl.の問題点だけでなく健康的な側面も把握していきます。
うつで落ち込んでるし気力もない人だけど、身だしなみはきちんと保てているなぁとか
アセスメントの方法としては観察や心理検査、カウンセリングがあります(カウンセリングは②を参照)。
観察
Cl.の外見や非言語的な側面から理解しようとする方法です。
表情、態度、声のトーン、視線、身だしなみなどを見て、Cl.の主張とどれだけ合っているか・食い違っているかを見ていきます。
「うつで気分落ち込むし何にも手につかない…」って人がめっちゃオシャレしてにこにこ喋ってたら怪しすぎるじゃろ?
観察は友人関係とかでみなさんも案外やっていることかも
\コミュニケーションの心理/
心理検査
知能検査や性格検査を用いてCl.への理解を深めようとする方法です。
IQ出したりうつ病の質問紙(チェックリスト)でうつの程度を客観的に見たりするよ
ネット上にある心理テストとは大概違うぞ
観察よりも病状やパーソナリティ(性格)の把握に役立ちますが、多くを試してもCl.が疲れてしまうだけなので、なるべく少ない検査で全体的な理解を目指すのがベストです。
②カウンセリング
主に言語的なやりとりを通してCl.の悩みを理解したり、解決に向かうようにしていく作業です。
小さな子どもや喋ることが苦手な人には、プレイセラピー(遊びながら理解を深める)や描画法(絵などを描いて理解を深める)を用いることもあります。
話すだけがコミュニケーションではないね
基本的には担当のTh.が毎回話をきいていきます。
カウンセリングの回数は人によって違うので、数回のセッションで終わる人もいれば何年も続ける人もいます。
カウンセリングの目的も悩みも人によって違うからね。流派によってはセッション数が決まっていることもあるよ
Th.と共に約束事を決めていきますが以下の約束事が多いです。
▼よく重要視される3つの枠組み
・時間…1回30分や50分など固定
・場所…毎回同じ場所。シンプルな部屋が多い
・料金…1回3000円など固定(保険適応外!)
他にも、話したことは原則守秘や加害行為をしないなど約束事もあります。
\カウンセリングの枠の話/
このような約束事を設定することで『カウンセリング=非日常』を演出し、Cl.が守られた空間で自由に自己表現できるようになることを狙います。
きちんとルールが決まっている場だからこそ安心して話せたりCl.を守る側面でもあり、最低限の制限があるからこそきちんと話をきけるようにTh.を守る側面もあります。
カウンセリング=何でも許されて願いが叶う場ではないぞ
Th.の流派についてはかなりざっくり説明するとこんな感じ。
精神分析療法…無意識にある過去のトラウマ体験が今の問題の根源と考えて、それについて振り返りCl.の自我の強化を目指していく。
クライエント(来談者)中心療法…人は誰もが自己実現していく力を持っていると信じ、Cl.の話を傾聴し、共感や受容をしていく。
(認知)行動療法…問題の原因は間違った行動と考える。物事の認知を変えていくことでその人の問題行動を変えていく。
他にもありますがオーソドックスな考え方はこれらが多いですね。
話をしていてどうしても合わないと感じる場合は担当を代えることもできますよ。
③地域援助
家庭、学校、職場など地域社会に向けて、うつ病など心理的な病気や障害への予防や対応などのために心理的な知識の提供活動をすることです。
Cl.だけでなく、家族や友人、職場の上司などそのCl.を取り巻く環境にも知識を伝えることで、心理的に過ごしやすい環境を整えていくことも心理士の業務と言えます。
産業カウンセラーとか心理士もだいぶ民間企業に進出してるよ
イメージとしては、悩みのあるCl.個人にカウンセリングするのでなく、コミュニティに対して働きかける感じですかね。
その一環で心理職以外の専門職(教師、警察、医者、看護師、弁護士など)と連携することも重要です。
④研究
新しい心理検査を作成したり、心理学的な援助について研究してそのエビデンスを立証していく作業です。
臨床心理士(・公認心理師)を『心の専門家』として他の民間心理カウンセラー資格と差別化する重要ポイントで、専門性を維持・向上させていくのに必要不可欠な業務です。
おろそかにしている心理士も多い…
経験則とか感覚でカウンセリングするんじゃなくて、ちゃんとエビデンスのある援助をしてるのが我ら心理士だよ!(通信のカウンセラーとは質が違う)
心という目に見えない概念を扱う仕事だからこそないがしろにできない業務です。
おわりに:心理士は科学的根拠に基づいてセラピーを行う
臨床心理士や公認心理師は『心の専門家』で、個人レベルの悩み~うつ病や発達障害などの心理的な病気や障害を抱える人の困りごとなどをきいて、より良い方向に向かっていく援助をする者です。
▼心理士の仕事
・アセスメント
・カウンセリング
・地域援助
・研究
これらが主な仕事で、最低限の約束をした上でCl.の健康的な面も問題な面も全体的に理解を深めていきます。
基本的には人の話を丁寧にきく姿勢を持っているので、困ることがあれば近くの精神科・心療内科の病院・クリニックなどに行ってみてください。
医療機関などに抵抗のある人でも、悩みや困りごとはひとりで抱え込まずに、心理士や周りの友人、家族など誰かに相談してみてくださいね。
最近では電話相談もあるそうですし、話をできる存在の確保はしてみてください。
臨床心理士・公認心理師がどんな仕事をするか少しでもイメージがついていたらいいな
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