こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
世間では有名人が適応障害になったニュースをたまに見聞きしますね。
✓適応障害って何?
✓他のメンタルの不調とどう違うの?
✓適応ってなんだろう
本記事では適応障害の特徴や対応についてざっくり解説します。
(筆者は適応障害って名前あんま好きじゃない)
適応障害はうつ病や発達障害並みに世間で聞くようになってきた精神疾患です。
心理系大学院進学希望者もそうでない人も、どんな状態か知って早めに対応できるようにしておきましょう。
こんな人におすすめ!
・適応障害を聞いたことある人
・適応障害について知りたい人
・適応って何か疑問な人
※心理系大学院進学予定者は必須
適応障害(adjustment disorder)とは
適応障害とは、はっきりと確認できるストレッサー(ストレス源)から3ヶ月以内に気持ちや行動面に問題が生じる状態を指します。
「ストレス」というと、親が、環境が、人間関係が、出来事が〜など、人は日々いろいろなストレスを感じているので「最早何が原因かわからない」ってことが多いですね。
心の問題の原因は特定しづらいからね
しかし、適応障害の場合は、心身の不調が生じる原因として「明らかにこれがストレスになっているだろう」と特定される必要があります。
・新学期や進級、入退職、転職、引っ越しなど環境の変化
・結婚や離婚、出産などライフイベント
パワハラ上司とかもそうね
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主な症状は気分が落ち込む抑うつ気分や強い不安でこんな感じ。
メインの症状 | 例 |
①抑うつ気分 | 気分の落ち込みや意欲の低下、絶望感 |
②不安 | 過度な不安や緊張、分離不安 |
③ ①+② | |
④年齢不相応の行動 | 怠学や暴力・自己破壊行為(飲酒や自傷など) |
⑤ ③+④ | |
⑥その他特定不能 | 頭痛や発熱など分類されないけど不適応的なこと |
ストレス源から3ヶ月以内に症状が出て、ストレス源から離れてから6ヶ月以上症状が続くことはないと言われていますが、6ヶ月以上症状が続く慢性状態が実際多いです。
「俺には会社勤めが合わないんだよねー。全部1ヶ月以内で辞めてるわww」
それは不適応でも別の問題かもな
「適応」の注意点
「適応障害」というと、周りや環境に適応できないんだとか弱いんだとか勘違いする人もいますがそうではありません。
出来事1つをとってもストレスの感じ方も対応の仕方も人それぞれです。
心が拒絶反応起こしちゃうイメージ
中には「新生活で周りに合わせようとしすぎて疲れてしまった」など過剰に適応しすぎて不調となる人もいます。
また、「たとえば終電まで残業を強いるブラック企業」や「俺のやり方に合わせろと言ってくる人」など無理に合わせなくていいだろうこともあります。
社畜として適応してもいいけど適応できなくてもいいさ
周りに合わせることは大切かつ求められるスキルかもしれませんが、心身壊してまで何にでも適応していくのが良いことかは怪しいです…。
どうしても周りに合わせづらいことは相談したり、無理しすぎずに休んだり。
周りへの適応ばかりを気にするのではなく、自分を大切にする視点も用意しておきましょう。
心身壊してまで適応する必要はないかも
適応障害と他の精神疾患の違い
適応障害は極端なストレスを感じると発症するため、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と混同することもあります。
どちらもストレスフルな出来事に対して心身の不調が表れる点は共通していますが、適応障害は気分の落ち込みや不安がメインで、PTSDはフラッシュバックや回避、過覚醒など精神的によりキツイ症状が多いです。
\ PTSDの復習も /
また、「抑うつ気分と不安って…うつ病と似てない?」と感じる人も多くいます。
違い | 適応障害 | うつ病 |
ストレス源 | 特定可能 | いろんな要因がある |
ストレスへの反応 | ストレス源から離れるとすぐ回復しやすい | ストレス源から離れてもなかなかよくならない |
楽しめるか | 楽しいときは楽しめる | 今まで楽しかったことも楽しめない |
病前性格 | 特にない | 真面目、責任感が強いなど |
薬の効き方 | あまり効かない | 効きやすい |
適応障害はストレスフルなことに対応しきれないイメージ
適応障害とうつ病ではトリガーの明確さや、落ち込みや不安、イライラなどの症状の続き方など違いがあります。
実際見分けるのは難しいためネット情報で断定せず、不安な人は医療機関に相談しましょう
\ うつ病の詳細もチェック /
適応障害への対応
適応障害の場合、不適応となる原因はストレスフルな出来事や環境などはっきりしているため、ストレスを感じることから離れて休むことが有効です。
・仲の悪い子と席を離したり距離を取る
・理不尽な上司や部署から異動させてもらう
・とにかくお休みをとる
ですが「そんな簡単に変われない・休めない」と思って不調が悪化する人もたくさんいます。
まずは、環境調整できるように周りに相談する一歩を踏み出して理解を得られるようにしましょう。
「ちょっと嫌なことがあるから配慮を求める」のではなくて、「明らかにそのせいで気分が落ち込んだり出勤できなくなる」など生活に支障が出るから困ることの共有を…!
(さじ加減が難しいよな)
援助職たるもの休みの大切さは伝えていきたいね!
適応障害だとすると、ストレスフルなことから離れて落ち着けた後に元の部署や生活に戻ると不調が再発する可能性もあります。
なので、「別の上司の下で復職する」「ワンオペ生活に戻らないように子どものお風呂は旦那に手伝ってもらう」など環境を変えたりストレスが減るように工夫したりも必要です。
おわりに:明らかなストレッサーから逃げるも心の適応
適応障害は明確なストレッサー(ストレス源)によって、気分の落ち込みや不安、登校・出勤困難など心身の不調が生じる状態を指します。
原因となる出来事や環境ははっきりしていて、ストレスの原因となっていることから離れて休むと落ち着きやすい特徴があります。
そのため、過度なストレスで抑うつ的になったり問題行動が起きたりするなら、休職や異動など早めにその場から離れて休むのが効果的です。
苦行から離れるのは自分の健康って意味では適応的だね
自分の心身を削ってまで周りに合わせ続ける必要はありません。
しかし、我慢しながら何かを頑張ることもときには大切です。
何が正解とも言えませんが、ただ適応しようと周りの顔色を窺ってばかりでは自分が疲れてしまいます。
困ったり悩んだりしたら、自分が思ったことや状況を他人に相談して客観的な意見を聞いたり考えを整理したりしてみましょう。
定期的に心身休ませようね!
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