こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
今回は、人が現状維持をしたくなる心理である「現状維持バイアス」について、恋愛に焦点を当てて解説していきます。
名前そのまんますぎんか?
・新しいことはエネルギーいるから今のままでいい
・良い変化でも「変化」が苦手 など
現状維持バイアスは、変わる意思があってもなかなか打ち克てない状態です。
仕事や日常生活でもあらゆることに生じ、恋愛などの人間関係で起こると不毛な関係をズルズル続けたり、自分の本音を言い出せずに関係が壊れてしまう原因にもなります。
こういう心理はまずあることを知ろう
・現状維持ばかりでなかなか変われない
・新しい挑戦が面倒くさい
・人のあるあるに共感したい
・恋愛心理学に興味がある
現状維持バイアスとは
現状維持バイアスは、人が変化を避けて現状を維持したくなる心理を指し、R. ハートマンが提唱しました。
人は、自分が知らないことや体験に不安を覚えやすく、新たな何かを得るよりも現在の何かを失う方が苦痛に感じやすく(損失回避)、無意識に自分を守ろうと思考をバグらせることが多いです。
▼恋愛以外での現状維持バイアス例
・転職したいけど次の職場のことが分からず現職を続けている
・副業したいと思いつつ面倒で早5年
・昼夜逆転直す力はあるけど生活変わるの嫌だし動かない など
読者刺す系ブログ
もうやめてぇ!
\ 恋愛バイアスシリーズ /
たとえ良い変化を望むにしても、
・「失敗するかもしれない」
・「今より状況が悪くなるかもしれない」
・「後悔したくない」など
リスクが伴うため、人は無意識に自分が変わらなくていい理由を探し、非合理的な思考・判断をしがちです。
転職で人生良くなる可能性だってあるのに、転職しないは安心と思うのはどうなんだろうね
微バグ・面倒
現状維持バイアスもまた誰にでも起こることですが、ネガティブ思考や諦め癖がある人は特に生じやすいかもしれません。
やらなきゃいけないことほどズルズル後回しにします
恋愛での現状維持バイアス
日常あるあるな現状維持バイアスですが、恋愛場面でもがっつり生じます。
恋愛とは狂うこと
恋愛などの対人関係で現状維持バイアスが働いてしまうと、実は自分にとって苦痛であることが多いのでしっかり自覚しておきましょう。
(グサァッ)はい…
①実は好きなのに言い訳をしてしまうパターン
気になる相手と元々仲が良い場合や、親友、幼馴染など特定の関係にある場合は、相手に好感をもっていても現在の関係性を無意識に言い訳にしてしまうことが多いです。
・「大切な友だちだから」
・友だち以上恋人未満もこのパターンあり
恋愛かはともかく好印象を向けているのは間違いないよね
『四月は君の嘘』のヒロイン・澤部椿にも現状維持バイアスが生じていたので例に挙げます。
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面白かった…
主人公・有馬公生の幼馴染で、椿は公生を「弟のような存在」に思い込んでいました。
椿は憧れの先輩との交際や、もう1人のヒロイン・宮園かをりと公生との間に絆が生まれていく過程、公生が進路を決めた瞬間を経て、公生への恋愛感情に気づくという子でした。
本当は幼い頃から公生に恋愛感情を抱いていたようですが、「幼馴染」であることや、公生をダメダメな「弟」(椿自身は姉)のように思うことで、現在の関係を維持し続けていましたね。
端から見ればバレバレでも、思い込みって怖いんだよなぁ
残念ながら気持ちに気づいた頃には時既に遅し、「私と恋をするしかないの」と公生に遠回りな告白をしても本気に受け止めてもらえたかは怪しい…。
恋愛はタイミングゲーでもある
元々関係がある人との恋愛という変化や片思いは、相手を好きだと認めにくいうえに、関係が崩れることを恐れて認めることが苦痛になりやすいです。
『今までの関係が崩れるくらいなら今の関係を続けるのが正解だ』と、現状維持バイアスが働くと言えます。
思考のバグに気づけば現状維持=良いとは言い難いね
余談ですが、椿の好き嫌いは結構別れるみたいですが、椿を嫌う人の中には「椿自身」が嫌いというより、「椿のリアルな黒い感情に自分を重ねて」嫌っている人も一定数いると思われます。
また刺しにきたね。同一視かな
\心の防衛の癖とは/
もちろん本当に「幼馴染」など現状の関係性をはっきりさせている人もいますが、あまり関係性に固執しすぎず見直してみることも大切ですね。
②別れたいのになかなか別れられないパターン
恋人との別れを考える時点で何かしらの問題はあるため、現状維持バイアスがすべてではありませんがあるあるパターンの1つです。
・彼女がメンヘラで別れたいけど別れたら彼女が悪化しそうで…
・DV彼氏と別れたいけど別れを切り出したら何されるか分からなくて…
・恋人がだらしなくて見切りをつけたいけど次の出会いがないと思って…
(筆者も該当ありけり…)
本当恋愛偏差値低いよな
「別れたい」が本音のはずなのに、「相手の状況が悪くなるかもしれない」ため相手の変化を恐れる場合(付き合い続ければ悪化しない=現状維持)や、「今後もう出会いがないかもしれない」という不安から交際を続けることを選ぶ思考のバグが多いです。
人間関係は複雑で、他人を思いやる気持ちももちろん大切ですが、あれこれ考えすぎて自分の本音がどこかにいきやすいですね。
別れる変化は正直大変な作業だし、別れなくていい理由を探しやすいね
現状維持の結果、自分が良いと思える状態であればいいのですが、そうでない場合はやはり客観的に考え直す必要があります。
自分のためを考えよう
③恋愛したい一方でズルズルお一人様パターン
「今後もう出会いがないかもしれない」という不安にも該当しますが、新しい恋愛をしたい一方でなかなか踏み出せない人も現状維持バイアスが生じている可能性が高いです。
・ずっと1人暮らししてきたから同居で生活変化はちょっと…
・彼氏欲しいけど1人は気楽だし…
・また彼女できたらプレゼントとか面倒だし…
お一人様の正当化…
恋人ができるという変化に対し、誰かと過ごすことに面倒くささや不安を抱いてしまい、今のまま1人の方が楽という考えに現状維持バイアスが生じています。
1人のままの今は確かに楽かもしれませんが、「恋人が欲しい」という自分の気持ちは叶わずモヤモヤしやすいですね。
現状維持バイアスの回避法
現状維持バイアスもまた無意識に生じてしまう思考のバグなので止めることは難しいです。
ましてや人間関係はその場で冷静な思考・判断を下すことが難しいため、現状維持バイアスを回避するには恋人など対象と物理的に離れた場で振り返ってみましょう。
1人でも第三者に相談でもOK
①ポジティブなイメージをもつ
付き合う、別れるなどの変化は自分が求めていても、一方で「うまくいかなかったら?」「今の関係が壊れちゃったら?」など先へのネガティブなイメージが強まることで、「現状維持の方がいい」という結論になりやすいです。
消去法っぽいね
ネガティブ寄りに思考が偏ってしまうことが厄介ポイントなので、変化に対してポジティブなイメージももち、どちらの考えも考慮するとバイアスを回避しやすくなります。
②現状を捉え直す
気になる幼馴染や親友、別れたい恋人など、目の前にいると情がわいたり思考のバグが加速したりするので、対象からは一旦離れて現在の関係性を捉え直す作業も大切です。
・今は幼馴染や親友だけど、もし付き合ったらどうだろうか
・ダラダラ付き合い続けているけど、自分は今幸せか など
もしかしたら「親友」だから恋愛は無理など、言葉で関係性をごまかしたり思い込んだりしている可能性もあります。
「親友」「恋人」などのラベルを一旦取っ払い、「この人のことを自分はどう思っているんだろう」と考えてみるのがコツです。
なぁなぁにしている現状は本当に自分にとって良いのか、安全なのかなど、考えることを止めて蓋をしたのであればきちんと向き合ってみてください。
1人で向き合うのが心配なら第三者を使ってみてね
おわりに:変化は怖いことではない!
人はいろいろな思考をし、他人を気遣う力もあり、不安や恐怖を想像する力もあり、複雑な生き物です。
現状維持バイアスに限らず、思考の偏りは誰しもに生じます。
完全になくすことは難しいからこそ、大切なのはこういうことがあると知ることと、現状を振り返ってみることと言えます。
不変であることは確かに楽ですが、現状維持は同時に新しい良い変化のチャンスを放棄することにもなるので、「今のままで本当に良いのか」を考えて自分が幸せになる恋愛をしましょう。
応援してます
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