こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
心理学といえば心に焦点を当てがちですが、人の気持ちの変化を測る指標として脳や神経系など生理的な変化を知ることも大切です。
心理は計算も生物の知識も必要
当ブログでは、心理学を勉強する上で最低限必要な生物的な解説もざっくりします。
まずは神経細胞(ニューロン)の解説と、私たちの脳細胞を刺激する神経伝達物質について。
心理系大学院進学希望者はもちろん、人の情緒や意欲、精神症状が起こるメカニズムに興味がある人はご覧ください。
漢字多いけどワクワクすっぞ!
こんな人におすすめ!
・生理心理学に興味がある人
・脳について知ってみたい人
・人体の仕組みが気になる人
・神経伝達物質を理解したい人
・心理職や看護職などを目指す人
※心理系大学院進学希望者は推奨(院によって出題減ることもあり)
生理心理学とは
生理心理学は、動悸や冷や汗など人の生理的な行動と心の関連を研究する領域で、脳と心が同一という仮説をもっています。
心の状態を知るための科学的根拠として、脳や神経系、ホルモンなどの生理学的な特徴や動きを知る必要もあります。
心と脳の関係を知り隊!
感情や認知というと測りづらいものですが、たとえば普段と違う心拍数や発汗で嘘を見抜くなど。
生理心理学の観点でいえば心をより測りやすいかもしれません。
生物の話にもなりますが、人の心を科学的に測る一環として最低限の勉強をしましょう。
脳ってわくわくするよね(?)by中二病
脳の構成要素-ニューロン
脳は、主には神経細胞(ニューロン)、グリア細胞、血管で構成されています。
多くの神経細胞が脳内でネットワークを作って、いろんな情報を伝達し合っているイメージです。
グリア細胞…主に神経細胞を助ける働きの細胞。栄養物は補給し、不要な物質はグリア細胞が取り込む。ニューロンが主役ならグリア細胞は黒子的なイメージ。
ここでは、心理学の基礎として頻出な神経細胞について解説します。
神経細胞の形は、核を持つ細胞体から木の枝のような樹状突起が伸びています。
中でもやたら長い1本の突起を軸索といい、軸索の末端部は次の神経細胞と接続しており、その接続部分をシナプスと呼びます。
用語多いけど見た目と合わせてふーんって分かればおけ!
樹状突起は他の細胞から刺激を受け取ったり、他の細胞の軸索末端部から情報を受け取ったりする部位。
シナプスは厳密にいうと完全には接続しておらず、わずかに隙間があります(シナプス間隙)。
神経細胞は電気信号として情報の伝達をしますが、シナプスには隙間があり電気信号を送ることができないため、神経伝達物質という化学物質を放出して次の細胞に情報を伝えていきます。
ムム…神経伝達物質をうまく送れないと送信ミス?
君のような勘のいいガキは嫌いだよ
【※読み飛ばし可】神経伝達物質を送るメカニズム(ざっくり)
神経細胞がやり取りする電気信号(情報)についてもう少しメカニズム的なことを補足。
専門家志望は流し読んで、一般の方は飛ばしOK
神経細胞の内側と外側は細胞膜で分けられており、外側の電圧をゼロとしたとき、内側の電圧(膜電位という)は約-60mVに分極した状態にあります。
神経細胞の内側の電圧がマイナスで興奮していないことを静止膜電位といい、神経細胞を刺激するカリウム(K)やナトリウム(Na)が送られると膜電位がプラスに変わります。
寝てた(-)のが急に起こされた(+)感じだね
静止膜電位からプラスに転じることは脱分極(分極状態から脱したというニュアンス)、神経細胞内の電圧がプラスの一定値まで脱分極した電位を活動電位といい、電圧がいよいよ活発になると神経伝達物質が放出。
ストレス一定値まで溜まったら爆発するイメージ
活動電位が生じるまでの時間やその頻度などによって、気持ちの興奮や落ち込みなどが生じるようです。
神経伝達物質について
神経細胞から別の神経細胞へ情報伝達する際、シナプスで放出される神経伝達物質に異常がみられると精神面へ影響すると考えられています。
神経伝達物質は、たとえば以下のようなものがあります。
・セロトニン
・ノルアドレナリン
・ドーパミン など
ほかにも有名な神経伝達物質はたくさんあるので、興味ある人は少しずつ覚えましょう。
セロトニン
セロトニンは気分を安定させる神経伝達物質で、ドーパミンとノルアドレナリンの調整をします。
幸せホルモン!
セロトニンが低下すると気分が落ち込んだり攻撃的になることからうつ病との関連が指摘されており、SSRI(セロトニン再取込阻害薬)という抗うつ剤で脳内のセロトニン量を調整することも。
日光浴でセロトニンを増やせるらしいので、気分がうつうつするときは太陽光浴びましょう…!
ノルアドレナリン
ノルアドレナリンも気分に関する神経伝達物質で、アドレナリン(ストレス状況下で興奮するときの脳汁)と一緒に分泌されます。
プレッシャーやストレスを強く感じるときに怒りや覚醒作用が生じ、ノルアドレナリンが過剰だと気分の高揚や血圧の上昇が生じるとか。
納期に追われると頑張れちゃうみたいな?
不快なことにも立ち向かえるようになれますが、ノルアドレナリンを放出し続けること(頑張り続けること)はできません。
不足すると燃え尽きたように意欲が低下し気分が落ち込むことも考えられるため、寝たり息抜きをしたり心身を休めるメリハリ推奨です。
ドーパミン
ドーパミンは、脳を興奮も抑制もさせる神経伝達物質で、情緒や意欲、幻覚・妄想などの精神症状にも関連があると言われています。
やる気!元気!ドーパミン!
適度に分泌されれば気分よく元気にいられるものの、過剰だと統合失調症や依存症、不足するとパーキンソン病に関連するとも…。
パーキンソン病…手の震えや身体の動かしにくさ、言葉の出づらさなど。高齢者に多い。
ノルアドレナリンが不快なときに生じるなら、ドーパミンは快適なときに生じる物質です(「勉強できるようになって楽しいいい!」とかワクワクできるときに出る脳汁)。
ドーパミンは活動時にも出ますが、タンパク質や乳製品からも摂取できるので、どうにもやる気が出ない人は摂取してみてください。
\ 普通にんまい /
筋トレマンはやっぱ健康かも?
いろんなところで「筋トレは良いぞ~」と見かけますが、精神安定のために筋トレを強いている訳ではありません。気分が落ち込みすぎていると身体を動かすのも億劫です。無理せず、やれそうなときにできることを◎
おわりに:心を学ぶには脳の側面も最低限知ろう
脳の働きは、私たちの感情や意欲などいわゆる心の働きともいえます。
心理学を学ぶ上では脳や神経系、ホルモンなども最低限知ることで、心の動きをより科学的に捉えることが可能です。
今回ざっくり解説した神経細胞(ニューロン)は、脳内で多くの情報を伝達し合う大切な存在です。
▼神経細胞について
・細胞体は核を持っている
・いろんな情報を受ける樹状突起がある
・特に長い突起は軸索という
・軸索の末端部は別の神経細胞と接合する(シナプス)
・シナプスは厳密に見ると隙間がある
・シナプス間隙を乗り越えるために神経伝達物質を放出する
神経伝達物質にはセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなどがあります。
いずれも過剰・不足すると十分に情報伝達ができない=情緒や意欲、精神症状の影響が見られるように…!
うつ病や統合失調症などの心の病気の一要因でもあり、神経伝達物質をアシストする薬が治療の1つにもなります。
なんで過剰・不足するか分からないけど頑張り過ぎにはやっぱり注意だね
心も脳も、身体症状みたいに目には見えませんが確実に疲弊するので、今よりも意識的に休む時間もとって心と脳を労わりましょう。
生物の授業のガイダンス終わり~
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