こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
みなさんは課題や仕事など活動する中で「もう何をやっても無駄だ…意味ない…」と思ったことありますか?
あるある!!
もしかしたらその体験は『学習性無力感』かもしれません。
今回はこの無力な感覚について心理学的観点からゆるっと解説します。
無力感は誰もが感じうる感覚ですが「どうせ何やっても無駄だよ…」と思って何もできなくなってしまうと、学業や仕事を続けることが難しくなってしまいます…。
無力感を感じている人は、今までに頑張りすぎて疲れちゃっているかもしれません。
対処についても軽くふれるので、ゆるーく読んでみてください。
こんな人におすすめ!
・学習性無力感について知りたい人
・今まさに無気力な人
・心理学的知識に興味がある人
学習性無力感とは…やる気切れの状態
『学習性無力感』とは、自分ではどうにも回避できない苦痛な体験を重ねることでやる気をなくしていき動けなくなる状態を指します。
この犬の実験はどう努力しても電気ショックから逃れられなくて、
・逃げても電気ショックを受ける
・別な逃げ方をしても電気ショックを受ける…
・逃げなくても電気ショックを受ける……
犬「あぁ…(察し)」
このように、自分の行動が無駄に終わる、何をしても結果が変わらないという感覚が無力感をもたらしてしまいます。
「何しても無駄だ…」とやる気が削がれていくこの無力感は、うつ病の要因の1つとも考えられています。
学習性無力感は「何しても無駄だ…」ということを学習してしまったわけであって、本当はいろいろと努力した結果であっても周りからは「怠けている」と見られやすいため、なかなか複雑な無力感ですね…。
かなC
また、大学生に多い無力感に『スチューデントアパシー』があります。
スチューデントアパシーとは
主に大学生に多い学習された無力感のことで、学業や進路選択などに対してうまく向き合えないままに気力がなくなる状態です。
講義に出席できずに落単したり、卒業できずに休学や退学したりする人もいます…。
意外といるんです…!
親や周囲から「〇〇大学に行くんだよ」など期待やプレッシャーを感じ取ったりして、ある日ふっと勉強に無関心になるような体験です。
がむしゃらに頑張ってきたものの、目標を見失ったり、挫折を経験したり、期待に応え続けることに疲れてしまったり、原因は様々です。
「何やってんだろう」「なんか身が入らない」そんな迷える青年たちはアパシーなうかも…
学習性無力感に陥りやすい人の特徴と対処
人は無気力になっていくと、
・気分が落ち込む
・趣味を楽しめなくなる
・引きこもって友人関係が希薄になる
・「何のために生きてるんだろう…」と虚しくて死にたくなる など
とにかくよろしくない!悪循環!!
なので、自分がやる気をなくしていないかチェックするといいです。
しかし、学習性無力感って自覚しづらいことが多いので、セルフチェックよりも周りから見て友人をチェックしてあげることをおすすめします。
知人同士でチェックし合えると見抜きやすいかも
友人いない人は家族にみてもらうでもOK
特に気をつける方がいいだろう特徴と対処は以下の3つ。
①何でも自分のせいだと思いやすい人
失敗に対して本当は自分以外に非があることでも「もっと自分がこうしていれば…」など過剰に自分を責めてしまうとそれは自滅です。
出来事を紙に書いたり客観的に振り返って、失敗の原因を自分以外で1つ挙げてみる。
例:「テストの問題難しすぎたよな?」「上司が仕事の説明不足だったのも悪くない?」
自分以外の失敗の可能性を考えられるようにするのが目的。
(責任転嫁しようというわけではありません)
②また同じことが起こるだろうといつも不安が強い人
厄介な考え方の癖の1つです。
「テスト勉強してもまた赤点で追試かも…」などいつも同じような結果になるだろうと不安症な方は気をつけましょう。
状況の整理をしっかりしてみる。
例:前回の中間テストと今回の期末テストは科目数、試験範囲、やる気、勉強法などが違う
まったく同じ条件ではないと認識することが大事。
「絶対ダメ」って思考より「どう転ぶかは分からん」って考える方がメンタル的にもやさしいよ
③完璧主義な人
何でもきちんとやろうとしすぎたり、高い目標を掲げすぎる方は特に気をつけましょう。
些細なミスをしたから「もうだめだ…」、大きな目標を掲げても「達成できなければ意味がない」。
ムリな目標設定ほど馬鹿らしくなるものはありません。
目標を掲げるときは細分化して、『スモールステップ』で着実に達成してみる。
「これをやったらこの目標を達成できた!」など、行動によってちゃんといい結果がもたらされたという感覚を持つように心がけてみましょう。
おわりに:無力感に囚われたら他人を頼ろう
『学習性無力感=自分の行動+良くない結果』
こんな公式で考えるとメカニズムとしては分かりやすいかもしれません。
『自分の行動』と『良くない結果』を結びつけないこと、『自分の行動』が『良い結果』につながると思うことが大切です。
「もう何をやっても無駄だ…」という思い込みから逃れるために、
・無理な目標設定でなくスモールステップで達成感を得る
・どうしても自分の力不足で難しいことなら、一旦努力を止めて息抜きする
まずは冷静に振り返ってみましょう。
勉強、課題、仕事など真面目に向き合い続けられる人ほど学習性無力感に囚われやすいと思います。
無力感を学習してきてしまったからこそ「どうせ無理だよ…」と悪循環しがちです。
自分で自分の考え方を変えたり、つらい状況から抜け出したりするのはかなり難しいので、無力感を感じたら信頼できる友人や家族、心理の専門家に話してみてください。
みんなあんまりストイックになりすぎずにね!
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