こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
今回はタイトルにある通り「性的」な心理の理論を真面目に話す回です。
ま?
子どもの心の発達段階を性に着目して唱えたフロイトの心理性的発達理論。
・性的な発達過程って気になるけど勉強しにくい…
・心理学の発達理論って複数あって混ざっちゃう など
気になるけれどよく分からないという人や、心理学を勉強する学生や心理系大学院受験生に分かりやすく説明していきます。
性的でも(?)知的ぶるからgoogleに引っかからないいい
そういうこと言わないでっ
こんな人におすすめ!
・フロイトの心理性的発達理論を勉強したい人
・子どもの性的な欲求の発達過程に興味がある人
・人格形成について興味がある人
※心理系大学院受験生は必須科目!
フロイトの心理性的発達理論
心理性的発達理論とは、精神分析学者のS. フロイトが提唱した性的エネルギー・リビドーの在りかをもとにした発達段階理論です。
子どもは成長に伴い、身体の特定部位への関心が高まり性的な快感を得ようとします。
その正常な過程を経ることで人格形成されていくという考え方。
フロイトの脳内メーカーが「性」なのはよく分かった
フロイトと精神分析についてはこちらも参考にどうぞ!
心理性的発達理論では5つの発達段階に分けて説明します。
① 口唇期(oral stage)
② 肛門期(anal stage)
③ 男根期(phallic stage)/ エディプス期(oedipus stage)
④ 潜伏期(latency stage)
⑤ 性器期(genital stage)
初めて見聞きしたとき固まったなぁ
思春期男子になったつもりでみていくと分かりやすいかもしれません…!
5段階でリビドー(性的欲求)が十分に発揮されず、特定の段階で止まって次に進めないことを固着と言います。
また、心理療法で乳幼児期の心性が刺激されて、固着した発達段階に精神が戻って、その時期特有の行動をとることを治療的退行と言います。
フロイト「性的欲求最高!」
①口唇期(oral stage):0歳~1歳半頃
口唇期は、授乳のため口唇(くちびる)にリビドーが集中し性的欲求を得ようとする時期です。
赤ちゃんって何でも口にしたがるよね
その行為さえも性的欲求に結び付けるフロイトすげぇ
赤ちゃんは授乳で母親から栄養を得たり、母親に限らず父親や祖父母など養育者に甘え、受け入れてもらえることで口唇欲求が満たされて次の段階へ移るとか。
授乳による快感や、甘え、受け入れが満たされないと人に依存的なパーソナリティ傾向が生まれると考えられます。
▼口唇期
・リビドーの所在…口唇(くちびる)
・固着すると…依存的、甘えん坊なパーソナリティ など
・退行すると…飲食へのこだわり(飲酒・喫煙など)、お喋り・黙るなど口に関すること など
何でも安心して咥えられる感覚は大事なんだろうね
②肛門期(anal stage):1歳半~3歳頃
肛門期は、一定期間我慢して適切なタイミングで排泄するため肛門にリビドーが集中し、性的欲求を満たそうとする時期です。
トイレットトレーニングの時期だよ
親からのしつけをしっかり受け、排泄コントロールもうまくいくことで欲求が満たされ、次の段階へ移れます。
親のしつけが過剰・放任だったり、排泄コントロールがうまくいかないと、頑固、几帳面、けちなどのパーソナリティ傾向が生まれると考えられます。
▼肛門期
・リビドーの所在…肛門
・固着すると…頑固、几帳面、ケチ など
・退行すると…こだわる、頑張る、執着的になる など
フロイト「トイレ恥じらうことなかれ!」
③男根期(phallic stage)/ エディプス期(oedipus stage):3歳~6歳頃
男根期は小学校入学前までと言われ、男女に性差があることに気づき、性器にリビドーが集中します。
フロイト「男児のバナナに全集中の呼吸」
この時期はエディプス・コンプレックスといって、
ざっくり言うと性を意識し始めた子ども(男)は異性親(母親)に関心をもって、同性親(父親)を敵視。
しかし同性親(父親)の復讐で子どものペニスがとられてしまう去勢不安を感じる葛藤が生じます。
男の子が想像したらめっちゃ怖いね…
(幼稚園時代にいじってる子いたなぁ)
親への関心と敵視を抑え込むことで子どもは性役割をはっきりさせ、超自我(道徳心のようなもの)も作られ、次の発達段階に進むと考えられます。
\ フロイトは院試頻出 /
エディプス・コンプレックスを乗り越えられないと、道徳性が足りなくなったり攻撃的なパーソナリティ傾向が生まれると考えられます。
▼男根期(エディプス期)
・リビドーの所在…性器(ペニス or クリトリス)
・固着すると…道徳心の欠如、攻撃的、権威性への敵視 など
・退行すると…不安や過敏、不適応など神経症症状、劣等感の強さ など
性と家族関係は結構関係ありそうかも
④潜伏期(latency stage):6歳~12歳頃
潜伏期は、エディプス・コンプレックスを乗り越えた後なのでリビドーは一旦落ち着く時期です。
小学生って男女関係なく仲良くできるよね~
リビドーを満たすよりそれ以外の勉強や交友関係などに集中する時期で、パーソナリティの指摘は特になし。
①口唇期~④潜伏期を前性器期とも言う。退行すると現実逃避的に。
真面目な発言もしてくれるんだねΣ
性器期(genital stage):12歳(中学生)以降
性器期は身体的にも第2次性徴を迎え、成熟した性器に関心を持つようになり、恋愛したり、他者にも性的関わりをもち始めます。
真面目に言ってて恥ずかしくなるわ
性器期も特に固着の指摘はありませんが、人を愛して受け入れられる人格形成が理想とされます。
退行すると、大人になり切れないモラトリアム的な行動が目立ちやすいです。
フロイト理論は乳幼児期のリビドーがメインで、他者性愛はあんまり…?
おわりに:自分の欲求→他者へ関心を向けられることが大切
今回紹介したS. フロイトの発達理論は心理学的な考えを発展させるためのベースであって、完全に正しい訳ではありません。
男児目線すぎ、リビドーの証明難しすぎとか指摘は多いよ
この考え方を元にいろいろな発達理論が生まれたため、心理学を学ぶ上では外せない理論です。
5つの発達段階に分けることができ、
② 肛門期(1歳半~3歳)…肛門で性的欲求を。
③ 男根期 / エディプス期(3歳~6歳)…性器で。
④ 潜伏期(6歳~12歳)…性的欲求以外の欲求で満たす。
⑤ 性器期(12歳以降)…成熟した性器で欲求を満たす。
心理士目線ではクライエントの退行レベルの参照にはなるかと
特に、性役割や道徳心のような超自我を獲得するための過程であるエディプス・コンプレックスの考え方は心理学を学ぶ上では抑えておきたいポイントです。
・どんなことが満たされていないのか
・その人のパーソナリティ形成にどんなことが必要か
こんなことを考える手掛かりになれば十分かと思います。
あくまで人への理解を深めるヒントになればOK
その他の発達理論もあるので参考にどうぞ。
参考資料
心理性的発達理論の参考書というより、フロイト(精神分析)に関する参考書を挙げておきます。
心理学に興味があるなら、正直フロイト関連の本を最低1冊は読むことを推奨します(とにかく有名ですし基礎中の基礎理論なので)。
\ フロイト著 /
古さと読みにくさがありますが、フロイトの名著です(どうせ読むなら本人の本読みましょう)。
フロイト批判する人はまず本読めええ
フロイトの理論、考え方を話し言葉で語ってあるので他の精神分析系の入門書より絶対内容濃いです。
また、新しめで読みやすいのはこちら。
特に前半部分で精神分析について易しく解説してあります(後半も読み進めていくと初学者にはよく分からなくなる印象)。
1冊目のようなthe 精神分析って感じではなく、心理職を目指す上での視点を紹介していくイメージです。
割と分厚め((
どちらもKindle版があるので、ペーパーレス派の人は利用してみてください。
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