こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
心理学を学ぶ上で外せない発達理論って、実は心理に限らず人の発達や教育にも役立つ知識でもあります。
たくさんの理論がありますが、あなたはどれだけ聞いたことありますか?
✓ピアジェの認知発達理論
✓エリクソンのライフサイクル
✓ユングのライフサイクル など
心理の民なら聞いたことあるよね?
一般ピーポー「わからん」
今回は誰もが聞き馴染みのある「アイデンティティ」や「モラトリアム」と関連あるエリクソンのライフサイクルについて紹介していきます!
・発達段階ってそもそも何?
・発達って大人になってからも関係あるの? など
「小難しい話はよく分からない」人に向けてかみ砕くので安心してください。
※用語はそのまま表記するけどね!
心理・教育系の資格試験では頻出内容なので、関連領域の人は最後まで読んでしっかり理解しましょう。
そうでない人も、人生の各タイミングでの大きなテーマを知ることでこころの成長につながります。
人類全員に関係あるお話だよ
・人の精神発達について知っておきたい
・自分が今どんな課題を乗り越える時期か興味ある
・ライフサイクルの課題と危機を勉強したい
※心理系大学院受験生は必須科目!
※保育士や教員採用試験を受ける人も要チェック!
エリクソンとライフサイクル理論(心理社会的発達理論)
ライフサイクルとは、人が生まれてから死ぬまでの一連の流れを指します。
エリクソンは人生を段階分けして、人のこころの発達において各段階で乗り越えるべき発達課題と、乗り越えられなかったときに感じるコンプレックス(心理社会的危機)を提唱しました。
こころの成長という人生に定期的に中ボスがいる感じ
M(ミルトン). H. エリクソンだと催眠療法の人になるので受験生は要注意
エリクソンのライフサイクルは、フロイトの心理性的発達理論から展開した理論です。
心理性的発達理論についての詳細は下記をチェック!
両者の大きな違いはこの2点。
✓ フロイトは乳幼児がメイン、エリクソンは青年をメイン
フロイトみたいに性に捉われていないんだね
エリクソンには迫害とか社会的な背景があったからかもな
各発達段階と課題&危機を表にするとこう(表記はものによって違います!)。
▼発達段階
①乳児期(0歳~1歳半)
②幼児前期(1歳半~3歳)
③幼児後期 / 遊戯期(3歳~6歳)
④学童期(6歳~12歳)
⑤青年期(12歳~22歳)
⑥成人期(22歳~35歳)
⑦中年期(35歳~60歳)
⑧老年期(60歳以降)
▼発達課題と心理社会的危機
①基本的信頼 vs 基本的不信
②自律性 vs 恥・疑惑
③積極性 vs 罪悪感
④勤勉性 vs 劣等感
⑤アイデンティティの達成 vs 拡散
⑥親密性 vs 孤立
⑦生殖 vs 停滞
⑧統合 vs 絶望
心理系大学院受験生は全部覚えてね☆
院試でまじで出るよ
文字の羅列ではやる気激減だと思うので、1つずつ流れを確認していきましょう!
実は大したこと言ってない
乳児期:周りを信頼できるようになろう
0歳~1歳半の時期で、フロイト理論では口唇期。
まだ赤ちゃんで自分では何もできず、パパやママなど周りから愛情を受けてお世話してもらう必要がありますね。
乗り越える課題は基本的信頼で、信頼感を得られないと対人での不信感が強まると考えられます。
基本的信頼はミルクもらったりおむつ変えてもらったり愛情あるお世話から生まれるよ
生まれて早々放置されたら人間界に不信もつわな
赤ちゃん本人が頑張るというより、パパママや周りが一生懸命お世話してあげる大切な時期です。
パパママなどの養育者から十分なお世話と情緒的な関わりを受けることで、今後の人間関係に影響する愛着形成も行われます。
幼児前期:しつけでトイレマスターになろう
1歳半~3歳の時期で、フロイト理論では肛門期。
立ち、歩き、少しずつ自分で行動できるようになり、短い言葉でのやりとりも可能になってきますね。
今度はしつけで社会のルールを身に着けられるようになります。
トイレットトレーニングで排泄をコントロールするのが目標!
自分の意思で行動をコントロールできるようになる(自律性)のが課題で、うまく行動できないと恥ずかしさや自分の能力を疑うようになると考えられます。
キッズにとってトイレは恥の象徴なこの文化は日本の危機
トイレットトレーニングなど成功も失敗もつきものなので、過干渉や頭ごなしのしつけでなくなるべくできたことを即褒めてあげる関わりが、子どもの自信になる大切な時期ですね。
幼児後期 / 遊戯期:チャレンジ精神を身に着けよう
3歳~6歳の時期で、フロイト理論では男根期。
幼稚園に入園するなど家族以外の集団社会に入っていき、積極的に遊びや友人関係に参加していくのが課題です。
おままごとやごっこ遊びの段階
(社会的な)ルールを守って楽しく遊戯!
おてんばでいろいろなことに挑戦しますが、失敗したときに「怒られる?!」など罪悪感を感じやすくなるので、結果はともかく挑戦できたことを重視してあげるといい時期かも。
学童期:真面目に取り組む力を育てよう
6歳~12歳の時期で、フロイト理論では潜伏期。
小学生時代に該当し、学校での勉強や宿題など社会での勤勉さを培っていくのが課題です。
勉強だけでなく集団生活や友人関係も大事な時期だね!
いわゆる学校生活でうまくいかないことが多いと劣等感を抱えやすくなると考えられます。
ドロップアウト感は今後に響くからケアしてあげたいところ…
子どもが課題を乗り越えられるように周りからの褒めや叱り、アドバイスは大切ですが、「子どもが自信をもてるように」を考えてサポートしていきたいですね。
ただ怒られるだけじゃ劣等感強まるし、どうしても勉強苦手なら友だち関係とか他でカバーして自信つけたい
青年期:己に打ち克て!
12歳~22歳の時期で、フロイト理論では性器期。
いわゆる思春期でエリクソンが一番重視した段階で、「自分とは何者であるか」というアイデンティティを確立させていくことが大きな課題です。
他人の目を気にするようになり、自分の存在を考えるようになりませんでしたか?
ウッ
青年期の課題を達成するためにも、この時期は社会的な義務や責任が免除されるモラトリアム期間といえます。
モラトリアムって自分が何をしたいのか、将来を見据えたりする時期なんだよね
「働かなくて学生できるウェーイww」って思考停止してたら真のモラトリアムは終わるわな
自分が何者なのか、今後どうしていきたいのかが見つからずアイデンティティが拡散されると無力感や自己嫌悪に陥りやすいと考えられます。
アイデンティティの確立のために価値観を話し合える仲間関係を大切にしましょう。
成人期:ぼっちを回避せよ
22歳~35歳頃で、就職して社会進出したり、家庭や子をもつイメージ。
教育機関を出たため、職場の人間関係やパートナーなど他者と親密な関係性を築き、維持することが課題で、うまくいかないと社会的に孤立してしまうと考えられます。
自分で人間社会に飛び込む力を育もう
卒業した途端孤独になる人多いしシャレにならん…
他者や社会との親密性が課題なので、対人関係苦手な人は社会人サークルに所属するなど何かしら親密なコミュニティづくりを意識してみましょう。
ぼっち is dead
中年期:自分の存在を後世に伝えていこう
35歳~60歳頃で、子育てや部下育成など下の世代を育てていくイメージ。
後続を生み増やしていくこと(生殖)が課題で、自身が積み上げてきたことを後世に伝えずくすぶってしまう(停滞)と、面倒を見れない堅物のように扱われたり虚しさを感じやすいと考えられます。
(理想の上司 vs 老害…)
自分のことばかり考えて人間関係が硬直してしまうと、後の老年期での後悔が大きくなりがちに。
何かくすぶっているなと感じたら、後続を育てようと目を向けてみてもいいかもしれません。
老年期:「良かったなぁ」と思えればOK
主に60歳以降で、今までの人生を振り返り、総合的にみてある程度の満足を得たり認められるか(統合)が課題で、悔いが多いほど絶望を抱きやすいと考えられます。
老後も人生長いから他の考えも生まれてるよ
「いい人生だったな」と振り返るため、今までの課題を乗り越えていくことも大切ですし、
過去に汚点は誰だってあるので「まぁいいや」という捉え方を身に着けるのも大切ですね。
老害って呼ばれたくないいい
おわりに:理論はあくまで理想。自分のペースで乗り越えよう
エリクソンのライフサイクルは、人が生まれてから死ぬまでを8つの発達段階に分け、それぞれ乗り越える課題と乗り越えられなかったときに訪れる危機をまとめたものです。
各発達段階と課題&危機はこう。
▼発達段階
①乳児期(0歳~1歳半)
②幼児前期(1歳半~3歳)
③幼児後期 / 遊戯期(3歳~6歳)
④学童期(6歳~12歳)
⑤青年期(12歳~22歳)
⑥成人期(22歳~35歳)
⑦中年期(35歳~60歳)
⑧老年期(60歳以降)
▼発達課題と心理社会的危機
①基本的信頼 vs 基本的不信
②自律性 vs 恥・疑惑
③積極性 vs 罪悪感
④勤勉性 vs 劣等感
⑤アイデンティティの達成 vs 拡散
⑥親密性 vs 孤立
⑦生殖 vs 停滞
⑧統合 vs 絶望
エリクソンは特に⑤青年期のアイデンティティの確立を重要視しました。
生を受けて自分の存在を受け入れられるかって超重要
ライフサイクルは課題を乗り越えたら次の課題に進む流れに見えますが、全員同じリズムで同じ過程を辿るわけではなくて、あくまで目安であることを頭に入れておきましょう。
子育てや療育など人の発達で参考になったり、人がどの時期でどんな課題に直面しているかの参考になります。
人の発達にこんな流れがあるんだって知っとこう
発達課題を乗り越えられなくても身体の成長は止まりません。
「もう手遅れだ…」と嘆いたり考え込まずに、今の発達課題に向き合ったり、他者と話して疑似的に成功体験を得たり気持ちを消化させていきましょう。
今から課題回収してっていいんやで!
参考資料
ライフサイクルのみというより、発達心理学全般の入門書として子育てや生涯の考え方を知る手掛かりになる1冊。
図解で広く浅く説明してあるので、心理関係者はもちろん保育士や先生、パパママなど多くの人が読んで理解できます。
個人的に発達心理学苦手なんだけどこれはかなりライトで読みやすい
コメント