こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
みなさんは『遊戯王』という漫画を知っていますか?
カードゲームを題材にした漫画のはずが、闇人格、顔芸などでいつの間にかネタとしても人気でアニメ化もしましたね。
筆者も大好き!
今回は『遊戯王』の登場人物を参考に、精神疾患の1つである解離性障害について解説していこうと思います。
これで解離マスター!
・『遊戯王』が大好きな人
・解離性障害、多重人格についての知識を身に着けたい人
・闇マリクを愛している人
遊戯王とは
『遊☆戯☆王』は、週刊少年ジャンプにて1996年~2004年まで連載された少年漫画です。
主人公・武藤遊戯(闇遊戯)が、マジック&ウィザーズという架空のトレーディングカードゲーム(TCG)を用いていくバトル漫画(最初はカード使ってないんだZE☆)。
TCGを導入してから漫画の人気は爆発し、アニメ化や現実でのカード化、ゲーム化、シリーズ化などのコンテンツ化が進みました。
原作も面白いけどアニメの方が世間的には有名かな?
アニメオリジナルの最終回は泣けるから観るべし!
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アニメでは城之内くんの顔芸や海馬社長のセリフなど見どころ満載ですね!
初代はもちろん、GX、5D’sなどの次作もアツイので是非ご覧ください。
『遊戯王』は観ると元気になれます(当社比)
解離性障害とは
さて、一旦心の病いについて説明します。
解離性障害は、意識や記憶、自分が自分であるという認識(同一性)などの連続性が途切れる状態(解離)を主症状とする精神疾患です。
普通は寝て起きても、昨日の記憶とかあって自分は自分であることも変わらないよね
解離したら別人格になったり、今までの己を忘れてしまうのだ…
「現実逃避で一瞬意識飛んでたわ~」などの解離はある意味誰しもに起こると言えます。
生活に支障が出るかがポイント
解離性障害には4つのカテゴリーがあります。
・解離性遁走(とんそう)
・解離性同一性障害(多重人格障害)
・離人症性障害
ふぅん…分かるように説明しろ
解離性健忘
解離性健忘とは、トラウマ体験のようなショックを受けた後に、自分の名前や所属など重要な個人情報を忘れてしまう状態です。
いわゆる記憶喪失
赤信号は止まる、食事で箸を使う、はさみは切る道具など日常生活で必要な知識や能力は失われず、回復も唐突なことが多いと言われています。
\ 手続き記憶は残りやすい? /
解離性遁走(とんそう)
解離性遁走とは、やはりショッキングな体験から今までの自我同一性を失ってしまい、ある日突然今の生活を投げ出して、新しい自我同一性を獲得して過ごす状態です。
さっきまで会社員の山田さんだった人が突然失踪したと思ったら「私は花屋の田中です。趣味は昔から続けているガーデニングなんですよ」など、名前や性格、今までの個人史が変わって過ごしてしまうような症状。会社員の山田については思い出せない。
今までの自分では耐えられないくらいにショッキングな体験をすると起こると考えられます…。
新しい自我を作って自分を守ろうとしているのかもしれません。
心を守ろうとした結果ってことも…
解離性同一性障害(多重人格障害)
解離性同一性障害はいわゆる多重人格のことで、1人の人間に少なくとも2つ以上の人格が存在し、それらの人格が繰り返しその人の行動や記憶、感情を支配する症状です。
主人格(本来の自分)とは別人格なため、基本的には人格Aと人格Bの意識などは共有されていません。
人格属性は何でもありで、異性や年代が違うこともありえます。
別人格を強調すると解離が深刻になるとも言われているので注意!
離人症性障害
離人症性障害は、自分の意識が自分の身体から抜けて、自分を外から見ているような体験(離人)など自分の身体が自分のものではなくなってしまうような感覚になる症状です。
幽体離脱~のイメージ
現実をきちんと捉える力(現実検討力)は保たれているので、意識ははっきりしているのが怖いところ。
Q:『遊戯王』キャラは多重人格なの?
解離性障害について知ったうえで『遊戯王』に戻ります。
『遊戯王』の登場人物は少し特殊。
・バクラ(闇バクラ)
・マリク(闇マリク)
このように、闇人格として2つ以上の人格を有しているキャラがいますが、闇遊戯や闇バクラの人格は千年アイテム(千年パズル・千年リング)に宿る人格が人間に憑依した形になるので、解離性障害には当てはまりません(文化によっては憑依も解離とする)。
A:多重人格はマリクのみ!
闇マリクから学ぶ解離性障害(多重人格)
上記説明を見た人なら分かると思いますが、闇マリクは解離性同一性障害にあたります。
解離性障害はトラウマのようなショッキングな体験が引き金になることが多いです。
解離することでトラウマ体験から自我の崩壊を守ろうとするんだね…
マリクに解離するような背景があるか見てみましょう。
精神疾患を診るときは、その人の家族背景や生育環境などバックグラウンドを窺うのは鉄則です!
・実姉のイシズ・イシュタール、義兄のリシドがいる
・先祖代々、王(ファラオ)の記憶と千年アイテムを守ってきた墓守の一族
・掟により外に出られない(軟禁)
・10歳の誕生日に実父から焼いた刃物で背中に碑文を刻まれる『墓守の儀礼』を受ける(身体的虐待)
閉塞的で特殊な家庭環境のため、プレッシャーを感じやすく、困っても他者に助けを求めづらい様子からは、ストレスフルな環境・心の持ち主だと推測できます…。
多重人格生まれてもおかしくないトラウマ体験のオンパレード…
・義兄のリシドが半顔に碑文を刻むことで(癒しの刻印)、マリクの苦痛が和らいだが…
・こっそり外の世界に出たのがバレて、義兄リシドが実父から拷問される
→マリク解離+闇マリクに人格交代
・闇マリクが実父を殺害。リシド(心の支え)を見て表マリクに人格交代。気づけば眼前に実父の惨殺死体あり
・実父の死の原因は王(闇遊戯)にあると考え、逆恨み生活スタート
マリクのバックグラウンドや様子を振り返ると…
・マリクの性格は明るく穏やかであったのに対し
闇マリクの性格は残忍で病的な破壊思想の持主…同一性の破綻
・闇マリクが実父を殺害した事実をマリクは知らない…解離
・義兄リシドの存在が人格交代のスイッチ…心の傷により発症
満貫レベルですねもうやめてぇ!
解離性障害には有効な薬物療法は確立されておらず、主人格が死ぬほどつらかった心の傷を癒すためにも精神療法(カウンセリング)が推奨されています。
人格を理解する作業がかなり重要な病気だね…
ちなみに闇マリクは王(ファラオ)との闇のゲームの最中、負けたら人格生贄という賭けの対象にされたマリク(主人格)が義兄リシドに激励され、生きる気持ちを取り戻したと同時に人格交代し、闇マリクの人格が消滅する最期を迎えました。
マリクの場合、義兄リシドの存在や心の支えからの肯定が解離を克服するきっかけにもなれたんですね。
解離は演技ではないので見極めも難しい病気だよ
妄想とは違って新たな人格が継続するやで
おわりに:解離は人格を守る無意識の手段の1つでもある
『遊☆戯☆王』は闇人格という要素を盛り込んだ少年漫画で、登場する敵キャラ・マリクは解離性同一性障害(多重人格)の代表例と言えます。
※筆者が『遊戯王』で一番好きなキャラは闇マリク////
カミングアウトせんでも分かるわ
・解離性遁走(とんそう)…ずっと別人格になりきってしまう
・解離性同一性障害(多重人格障害)…1人に2つ以上の人格があって交代する
・離人症性障害…幽体離脱のような感覚
憑依は文化によるけど、『遊戯王』での解離性障害は(闇)マリクのみ!
闇人格つくりたいなら止めぬ
光と闇の中二が好きなら遊戯王!
毎日観れば初代以外も観れる
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