こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
発達障害の中でもASDと同じくらいよく耳にするようになったADHD(えーでぃーえいちでぃー)。
早期に診断を受けても「成長すればある程度おさまる」という声も聞きますが、ADHDは大人でも症状に困る人が多い発達障害の1つです。
今回はADHDの具体的な特徴や対応についての一例を紹介していきます。
・多動と衝動性のちがいって何?
・どう対応してあげればいいか分からない など
ただしASD同様、発達障害は1人1人の特性が異なるため、本記事での対応はあくまで一例として参考にしてみてください。
発達障害の概要記事はこちら!
・ADHDについて興味ある人
・忘れ物や集中のしづらさ、気持ちの抑えられなさが多い人
・予備知識の欲しい子育て中のパパママ
・教師や保育士など子どもと関わる職種の人
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ADHD(注意欠如・多動症)の3つの特徴
ADHD(注意欠如・多動症)は、不注意・多動・衝動性の3つの特徴が同世代の子どもや大人と比較して顕著にみられる障害です。
単なる反抗ではないよ
3つの特性すべてが出る人もいれば、どれかが強く出る人もいます。
チェックリストは便利だけど診断が目的じゃないぞ
3つの特性は大体12歳以前から見られ、障害特徴は思春期頃に治まることが多いことから「ADHDは子どもの発達障害」と言われてきましたが、今では大人の発達障害としても認められています。
元気なのかADHDなのか分かりにくいね…
厳密にいえば、2か所以上の環境(家、学校、職場など)で特徴による困り感が見られることも診断材料の1つです。
家だけで多動で外では問題なければ、ADHD以外…?
①不注意
『不注意』は、集中力が続かなかったり、不注意でうっかり忘れることがメインの症状です。
なお以下のような例は、精神疾患の分類と診断の手引きであるDSM-5を元に紹介しています。
診断手引きなので読み物じゃないよ
5~6個以上当てはまるようなら少し懸念があるかもってくらいで
✓人の話を聞いたり読書など、活動に集中できない
✓話しかけられても聞いてないように見られやすい
✓指示されても活動できなかったり、脱線する
✓順序立てた行動ができない
✓整理整頓、時間の管理、締め切りを守るなどが苦手
✓勉強や書類作成など精神的な努力のいる活動ができなかったり、極度に嫌がる
✓物をとにかくなくしたり、忘れ物 / 事が多い
✓気が散りやすい など
のび太みたいなイメージかな
②多動
『多動』は、「じっとしていられない」など落ち着けず動き回ることがメインの症状です。
✓長時間の着席や、とどまることができない
✓子ども…ダメなところでも走り回ったり登ったりする
✓大人…ダメなところでも落ち着かず動き回りたい衝動に駆られる
✓静かに遊んだり余暇を過ごせない
✓とにかくじっとできない
✓喋りすぎる など
(筆者か…?)
多動優位型は、世間でもイメージしやすいADHD像だと思われます。
男児に多く、先生から「元気がありすぎて手に余る」と煙たく勘違いされてしまうことも多いです。
あっけらかんとした側面から友人が多かったりポジティブな面もありますが、困り感が強いと「空気が読めない子」と無視の対象になっては傷つきやすい面も…。
ルフィみたいなイメージかな
ルフィはADHD3つの特性全部ありそう
③衝動性
『衝動性』は、自分の気持ちのコントロールが苦手だったり、欲求を抑えることが苦手がメインの症状です。
✓順番待ちができない
✓子ども…会話やゲームなど人の邪魔ばかりしてしまう
✓大人…人に口出ししすぎたり、横取りしやすい
✓思いつきで行動してしまう
✓イライラを抑えられず手が出やすい など
衝動性優位型は多動と重複しやすいため、多動・衝動型とまとめられやすいです。
喜怒哀楽の切り替えが苦手で幼く見られたり、気持ちを抑えられず自己中に見られたりなど、ADHDの障害特徴であってもやはり勘違いされやすく、2次障害(いじめや自信の低下など)も生じやすい悪循環もあります。
ジャイアンも衝動性強いね
ある程度のカースト上位にいる特性もちは、頼れる親分みたいなポジティブな側面にもなります。
特性をうまくいかしたポジショニングも大切だね
ADHDへの3つの対応
ADHDをはじめ発達障害の特徴は、「一見やれそうなことが苦手、できない」など見られ方として誤解されやすい怖さがあります。
ADHDの人への対応を3つに分けて紹介するので、参考例として見てみてください。
①薬物療法
ADHDの場合、多動や衝動性などを抑える薬物療法が有効です。
薬の利用は市販薬ではなく、精神科や心療内科など医療機関を受診して処方してもらいます。
「薬なんて怖い…」と心配な人もいると思うので、医師と診察でしっかり相談しましょう。
用法・容量守ればかなりラクに過ごせるようにもなるとか
・コンサータ
・ストラテラ
・インチュニブ など
自己判断の中断は止めてね!ワイとの約束!
不注意などの特性上、薬の管理が苦手な人も多いので、子どもなら親が、大人ならパートナーに助けてもらったり、ピルケースで管理するなど工夫も大事ですね。
②本人や周りへの心理教育
何度も確認しますが、ADHDの3つの特性は「不注意・多動・衝動性」です。
・落ち着けない
・我慢できない など
「わがまま」や「怠けているだけ」などの誤解から、先生や上司に何度も怒られたり、目をつけられたり、失敗経験を多く重ねると、自信を失ったりいじめにあう悪循環も…。
これが本人らにとってかなりつらい
特性を本人や周りに理解してもらえるように、知ってもらうことや正しい知識を身に着けることも予防の一環です。
③心理療法
特性を落ち着かせるための薬と並行して、適応的な行動を学習していく心理療法も有効と言われています。
なかでも言葉のやり取り中心のカウンセリングより、実際に好ましい行動を目標に動いていく行動療法が合う人は多いかもしれません。
じっとできたら褒めるとか
衝動的な行動だと、本人の中で良い悪いが分かっていないことも多いため「じっとできればいいんだ」など良いことを強化してあげるのが基本です。
また、言葉で言っても伝わりにくいため、点数化してみたりお菓子のご褒美をあげたり目に見える形にする方が強化はしやすいと思われます。
「叱る」以外のちょっとした嫌な体験やな
タイマーで時間教えてあげたりも◎
ADHDの人は、おもちゃや本、ゲーム、気になる物など目に見える情報が多いと集中しづらくなったり、気持ちを抑えられなくなりやすいため、余計な刺激は取り除いて、ルールや指示はなるべく分かりやすくするなど環境を整えることも大切ですね。
療育センターや医療機関で心理療法を受けることはできますし、子どもなら特別支援学級の利用は検討してみていいと思います。
おわりに:ADHDは「怠け」じゃなくて発達障害の特性
子どもから大人に認められるADHDは発達障害のうちの1つなので、脳の機能障害が原因と考えられています。
・不注意…忘れ物やミスが多いなど
・多動…落ち着けないなど
・衝動性…欲求コントロールがきかないなど
3つの特徴はすべて見られるとは限らず、どれかが突出することが多いです。
一見問題なく見えても「ちょっとしたことができない」と見られては、「怠け」や「わがまま」など誤解を受けやすく、その結果周りから浮いてしまったり、自信を無くしたりなど2次障害が起きやすいのも特徴的。
・まずは誤解を解くためにも本人や周りへの心理教育
・薬物療法(+心理療法の併用)で困り感を抑えていく
「薬はずっと飲み続けるの?」「治らないの?」など不安げな思いもあると思いますが、発達障害は治る・治らないで考えるより「生活上の困難を減らしていくこと」を目標設定する方が改善しやすいのでこういう考え方がおすすめです。
薬は本人の状態と医師の戦略次第なので要相談してね
日常生活への支障が減ったら薬減らしてく人もいるで~
参考資料
子どものADHDについてマンガ要素盛りだくさんで読む&理解しやすい本がこちら。
\ ざっくり理解編 /
発達特性のある子どもへの接し方で困ってしまう場合なら、こちらのマンガもゆるくて読みやすく、接し方のヒントにもなると思うのでおすすめ。
大人のADHDを理解したり生活に活かしやすいポイントを知れるのはこちら。
\ 自己理解向け /
この本は他に『会社の人間関係編』や『上手に働く』編などあるので気になる本のみ見てみてもいいかも。
日常での困り感を減らす工夫をしていこう!
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