こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
最近ではいろんなところでいろんな人による「カウンセリング」を受けることができます。
・病院やメンタルクリニックで
・学校や施設で
・オンライン上で
・臨床心理士や公認心理師が
・○○心理カウンセラーが
・うつ病経験のあるカウンセラーが など
多くの資格や場所があるからこそ、悩んでいる人にとっては「どういうカウンセラーがいいの?」というのも悩みのタネかと思います。
資格多すぎ問題
そこで、本記事ではカウンセラーの種類と選び方、やめた方が良い場合を紹介します。
・心の悩みを聴いて欲しい相談者(クライエント)はカウンセラーを見抜けるように
・これから心理職を目指している人は自分の姿勢の参考に
・現役心理カウンセラーは自分の在り方の振り返りや戒めに
せっかく勇気を出して&お金を払って相談するのであれば変なカウンセラーは避けるに越したことがないので、参考程度にご覧ください。
こんな人におすすめ!
・カウンセラーに相談してみたい人
・相談中のカウンセラーに違和感がある人
・どんなカウンセラーがいいか分からない人
・カウンセラーを名乗って活動している人
・心理職を目指している人
特に相談したい人向け!
【注意】「カウンセリング」や「カウンセラー」の実態
※大事な前提なのでどうかご覧ください※
そもそも悩みや困り事の相談は誰にでもできることで「カウンセリング」や「カウンセラー」という言葉も誰にでも名乗れるものです。
誰もがカウンセラー()
そのため、ただ「カウンセリング」「カウンセラー」といってもその質は自称レベル~訓練を日々している人までピンキリなのが現状だと知ってください…。
カウンセラーだからといって信用しない方がいいのだ
初っ端からまさかの注意喚起
巷では○○カウンセラーなど無数の民間資格(と自称)が存在します(ありすぎて筆者内ではカオス)。
一般の人からは「有資格者なら安心でしょ?」「実績公開充実してるからセーフでしょ?」と思えるかもしれません。
が、資格といっても数時間の動画視聴で取れるもの~大学院まで専門の勉強や実習をして取れる資格まで幅は広し。
「相談件数1000人」「改善率95%以上」などの実績も根拠も案外アテになりません…。
(大抵マーケティング…)
本来実績として数字は分かりやすいはずが胡散臭く…!
世のカウンセラーが悪いとか専門家最強!とは言いませんが、とにかくカウンセラーはうじゃうじゃいるので相談側も相手をしっかり選びましょう!
筆者の戯れ言(相談相手は選ぼうね)
個人的な見解で言えば、極論困ったときには誰に相談してもいいと思います。
ケースバイケース(困りごとによる)
ただ、誰に相談してもその相談者はあなたにとっては加害者(相談者を刺激する人)にもなり得えます。
困り事や精神症状の改善などを目指すはずが、近年では悲しいことにただカウンセラーに傷つけられてしまうケースも…。
・トラウマをただ掘り起こされてケアしてくれない
・カウンセリングのはずが指示・否定・批判の嵐
・身体接触や性的関係に発展するケースも…!
なので、何度も言いますが相談する側は安心して悩みを話せるカウンセラーを吟味してください。
また、心理職を目指す人たちや現カウンセラーは、今一度自分が対人援助職(を目指す人)でありながら加害者でもあることを肝に銘じるといいかと思います。
人の人生に片足突っ込んで、自分の言葉が良くも悪くも影響を与える自覚をね
ここまで散々「カウンセリング」「カウンセラー」に対する注意を述べてきましたが、「じゃあ一体どんな相手なら比較的安心・信頼できるの?」という疑問に、以下ヒントを散りばめていきます↓↓
カウンセラーの種類
カウンセラーを名乗る人たち(資格)をざっくり紹介します(『やめた方がいいカウンセラー』に飛びたい人はこちら)。
・臨床心理士
・公認心理師
・産業カウンセラー
・○○カウンセラー(民間資格)
・自称カウンセラー(無資格)
・関連専門職(精神保健福祉士など)
・周りの友人 など
先に結論を述べると、正直、心の悩みを話すなら臨床心理士や公認心理師の資格を持っているかを最低限気にするのが比較的安全かと思います。
「=その他を批判」ではないよ!
2つの有資格者でも中には気をつける方がいいケースがあるため、カウンセリングを考えている人は参考にご覧ください。
臨床心理士
臨床心理士は民間資格ですが、その他民間資格と比べても質が保障されて信頼できる心理学の代表資格です。
病院とか公的施設のカウンセラーは大体これ
4年制大学で心理学を学び、さらに資格認定協会が定めた心理系大学院で2年間の専門的な勉強と実習訓練を行い、大学院修了後の資格試験で合格する必要があります。
\ 前座の大学院 /
がっつり専門の勉強と訓練をするよ
資格取得後も質の維持・向上が義務づけられているので、カウンセラーとして日々専門知識の勉強やカウンセリング技術向上のための研鑽もしています。
ちなみに…認定心理士は大学レベルの心理学単位を収めた人を指します(カウンセリング経験も専門的知識も浅い、大学で心理学をかじった証明的な)。
公認心理師
公認心理師はH29年に施行された新しめの資格で、心理系唯一の国家資格です。
基本的には臨床心理士と同様、大学+大学院で心理学に関する必要な単位と実習を経てから資格試験で合格する必要があり、公認心理師も病院や学校など公的施設に生息しています。
国資ならある程度信頼できそう!?
ただし、公認心理師は既存の心理職(公認心理師法で指定されるカリキュラムなしに現場に出ている心理職)の経過措置で、施行後5年(R4年受験まで)は受験資格が緩んでいます
経過措置の制度上、現存する公認心理師の中にはカウンセリングや心理検査などの心理業務を専門してきていない多職種(看護師や教師など)も含まれています(「既存の心理職」とは…)。
この事情は相談側には分からんなぁ…
カウンセリングの視点で言えば、現状では公認心理師のみ取得していても確実に信頼できるわけではないかも、です。
公認心理師は今後の発展に期待したい!
また、国家資格である公認心理師は、秘密保持の義務(守秘義務)で違反した場合に1年以下の懲役または30万円以下の罰金があります。
厳C
臨床心理士も公認心理師も相談業務において倫理規定(相談者と一線超えないようにとか)がありますが、罰則があるのは公認心理師のみかと。
相談者が安心して困り事を話すためにも、倫理規定がきちんとあり・守れるカウンセラーが安全ですね。
ルールガバガバな人には相談しづらいね…
\ ルールのお話 /
産業カウンセラー
産業カウンセラーは、企業など職場で働く人のメンタルヘルスやキャリアの援助、職場環境の改善を行う民間資格です。
養成講座もしくは心理系の大学院で専門的な勉強と実習を経てから資格試験に合格する必要があります。
ちゃんと実習してると安心感あるね
産業カウンセラーの資格のみで活動するというより、臨床心理士や公認心理師とセットで取得している人が多い印象です。
○○カウンセラー(民間資格)
さて、心理系の民間資格の代表格は臨床心理士で、次いで産業カウンセラーといった印象ですが、民間資格はとにかく無数。
▼心理系の民間資格や検定
・認定カウンセラー
・上級心理カウンセラー
・国際認定カウンセラー
・メンタルケア心理士(R)
・メンタルケアカウンセラー(R)
・メンタルヘルス・マネジメント検定 など
(すごそう…!)
これらの民間資格が悪いとは思いません!(むしろ興味をもって資格取得に取り組めるのは素敵)
ただ、内容は自己研鑽だったり知識の幅が狭かったり、カウンセリングをするには基礎心理学や専門的な理論の学びや実践経験が足りないと思われます。
やたら資格を誇示するカウンセラーはただの俺すごいアピーr((
自称カウンセラー(無資格)
自称カウンセラーは文字通り自称で無資格(無資格でもカウンセラー名乗れるからおかしくはないですが注意ゾーン)。
▼自称カウンセラーの一例
・HSPカウンセラー
・(病名)専門カウンセラー
・相談実績300件!
・元(病名)! など
ネット上にめっちゃ生息してる!
なんとなくすごそうに見せてくるんですが、大抵はその人独自の考えをベースにしており、心理学の専門的な知識は乏しいかと…(心理学は科学的根拠に基づく学問なので独自理論のカウンセリングは…)。
ただ、「同じ体験をしているなら分かってくれそう!」「経験者の意見を聞けばよくなれるんじゃないか」と思えるかもしれません。
ある意味カタルシス効果
しかし、同じ悩みや心の病気という共通点があったとしても、状況や症状などの体験は人それぞれ違いますし、カウンセラー側も自分の体験を消化しきれていない(=相談者の話を十分に聴けない)可能性が高いです。
うつ経験ないカウンセラーだってうつの体験に寄り添いまする
「とにかく体験談が聞きたい」「ただ話したい」場合は試す価値もあるかもですが、心の病気などは専門的に学んでいる臨床心理士や公認心理師をおすすめします。
相談者の口コミが掲載されることがありますが、医療広告ガイドラインでは患者の感想の掲載はNGです。カウンセリングは医療行為ではないですが、効果に個人差があることは誇大広告にもなりかねないので、ガイドラインに準ずる方が倫理観はある=信用しやすいかも
倫理って「道端でポイ捨ては止めよう」とか人が守るべきこと
関連専門職
心理の資格所持者以外でも、関連する専門職が(オンラインで)カウンセリングしている場合もあります。
・精神保健福祉士
・社会福祉士
・キャリアコンサルタント など
上記の例でいえばどれも国家資格です。
精神保健福祉士は精神医療の法律に詳しく、社会福祉士は日常生活が難しい人への福祉支援、キャリアコンサルタントは職業選択の助けになります。
心理カウンセリングとは違った視点で、心の病気からの社会復帰などで心強い味方です。
周りの友人
カウンセラーを名乗ることは少ないかもしれませんが、良き相談役として挙げておきます。
正直、信頼できる友人がいるならそれだけで困り事が解消することも。
そーゆー友だちはまじで大切に!!
カウンセリングの効果研究では、心理療法の流派や技法よりも人同士の信頼関係の方が良くなるうえでは影響力があるという結果もあります。
・よく話を聴いてくれる
・共感してくれる
・前向きにさせてくれる
・この人と話したいと思える など
変に価値観を押しつけてきたり説教したり、相談者にとって害あるカウンセラーよりも信頼できる友人に話す方がラクかと。
友人関係良ければ心の健康度高い気がする
ここまでのまとめ
基本的にはカウンセリングの場合、臨床心理士(や公認心理師)の有資格者を選ぶ方が安心しやすいと思います。
ほかと違って心理学に関する専門的な勉強と多くの実習訓練を積んでいて、専門性の維持・向上のために研鑽し、倫理観もしっかりしている援助者の方が、そうでない援助者よりも安心感があるのではないでしょうか。
医学勉強した医者に診てもらうか、医学ちょっとかじった人にみてもらうかみたいな
でも、心理シが絶対だとも思いません(おいいい)。
・ただ愚痴を聴いて欲しい
・友だちとケンカしたなど日常の困り事を相談したい など
オンライン上で相談しやすいカウンセラーや友人の方が敷居が低く、話しやすいこともあると思います。
・うつ病など心の病気の改善を図りたい
・DV対応など話を聴くだけでは難しいこと
・発達障害などの知識を得たい
・自分について知りたくて心理検査に興味がある など
相談内容がより重たくなるようなら、○○カウンセラーよりも心理シとつながる方が適切なカウンセリング・対応が期待できるかと。
怪しい要素があれば要検討で信頼できそうな人を探そう!
やめた方がいいカウンセラー
カウンセラーの実態と種類をざっくり紹介して、臨床心理士・公認心理師の資格を持っているかをチェックするのがいいと伝えましたが、彼らにも「やばそうな人」は残念ながらいます。
筆者もそうならないように戒めます…
精進します…!
筆者的には心理シでもその他カウンセラーでも相談するのは構わないと思っていますが「こんなカウンセラーは怪しい!」要素はあります。
以下に当てはまるようなら、正直そのカウンセラーに傷つけられてしまう可能性があるのでカウンセラー選びの参考にしてみてください。
・倫理観がない
・相談者との境界線を保てない
・自分の体験談を売りにしている
・「幸せ」「愛」など抽象的なことを売りにしている
・性的に危険を感じる
倫理観がない
大事な相談や話をするにはある程度守るべきこと(倫理)が必要です。
・許可なく相談者のこと(困り事や話の経過など)を第三者に開示する
・カウンセラーの宗教やコンテンツなどを押しつける
・個人情報をやたら開示してくる
ほかにもあるけど後述していきます
「こんなことないでしょ」と思えるかもですが、実際見かけるので要注意…。
不必要に自分の話を口外されたら傷つきます。
私的な理由で相談者をコントロールしようとするのは洗脳のようだったり、個人情報を開示しまくって公私混同してしまうと相談者が話しづらくなるなどデメリットにも。
ルールなど守るべきことは相談者に意地悪するのではなく、相談者(とカウンセラー)を守るためにあるのを覚えておきましょう。
ルールガバガバなゲームは危険
相談者との境界線を保てない
カウンセリングは、基本的にカウンセラーと相談者の関係以外にはなり得ません(二重関係の禁止)。
私的な関係・感情をもってしまうと、カウンセラーは適切な介入ができなくなり、相談者は思うように話したいことを話せなくなる恐れがあり、トラブルが増えてしまう可能性もあります。
また、カウンセリングの時間などの枠組みにも意味があるため、枠組みがゆるゆるな場合も要注意。
・決められた相談枠を超えて何時間も相談を受ける
・カウンセラーと友人や恋人になる
・何でも相談者の言うことを聞く など
一見「親身になってくれる良いカウンセラーじゃん!」と思うかもしれません。
が、共依存的な関係を形成してしまい相談者の自立を妨げてしまう危険もあります。
カウンセリングに依存させるのは違うよね
カウンセラーと相談者の関係性は、近すぎず離れすぎず人との距離の保ち方を体感する場でもあります。
良い人≠良い(治療的な)カウンセラーではないと覚えておきましょう。
無限に困り事を探す人もいるけどそれって良い?
重複する内容もありますが、相談関係の境界線やカウンセリングの枠組みを守る大切さも記事化しているので良ければご覧ください。
自分の体験談を売りにしている
自分の体験を前面に推すカウンセラーは一定数見かけますが、個人的にはあまり関わらない方が良いと思います。
・不登校歴があるから気持ち分かります!
・発達障害当事者としてアドバイスします!
・自分の経験をもとにした独自療法で解決します! など
オンラインで多いかも
カウンセラーにこういった経験があるのがいけないというわけではありません(カウンセラーだって人間ですし傷抱えていてもおかしくない)。
『自称カウンセラ一』でも述べましたが、一見「同じ感覚を味わっている人=分かってくれそう」と思えるかもしれません。
が、カウンセラーが自分の問題を客観視できず、相談者の経験と重ねてしまい、冷静に話を聴けない可能性があります。
うつ病=うつ病の名医になれるわけじゃない
特に「自分がこうだったからこうしなさい」とか自分語りが増えるカウンセラーは要注意。
相談者の話(体験)を聴いているのではなく、カウンセラーが自分の気持ちを労わったり押しつけたりしているだけかも…。
相談数をただ実績として推す自称カウンセラーも要注意。「専門的な知識はないけど独学で診察してます」っていう医師みたいなもの…
体験談を共有して落ち着けることもありますが、それを治療とか治すとか言うカウンセラーは避ける方が無難でしょう。
持論を押しつけられるより話を聴いて欲しいンゴ
「幸せ」「愛」など抽象的なことを売りにしている
心理学って科学的な学問なんですが、心を扱うためか抽象的なイメージをもっている人が多いようです。
\ 心理学 is 科学 /
・神様
・スピリチュアル
・ヒーリング
・オーラ
・レイキ
・幸せ、愛、魂 など
こういった系統に走るカウンセラーもいます。
信じるものによって救われる人もいますがエビデンスのある心理学とは別物なので、ごちゃ混ぜになっている場合は避けることをおすすめします。
非科学的といえば、C. G. ユングのコンステレーション(布置:constellation)やシンクロニシティ(共時性:synchronicty)という考えもあり〼。コンステレーションは、1つ1つの星に意味がなくても集まれば星座としてまとまった意味をもつような現象。シンクロニシティは、偶然とは片づけ難い意味のある偶然の一致。
夢に黄金のスカラベが出てきたって話が有名
言ってることがよく分からなかったり、物を売りつけてきたり、命令・誘導してきたりしたら逃げてください。
筆者の偏見が強いかも
性的に危険を感じる
気持ち悪い視線、お触り、付き合うなど…いくら「治療」と言われてもそれは最早気持ち悪いので今 す ぐ 逃 げ て !
実際の被害例があるのが怖いところ…
「相談者との境界線を保てない」でもふれましたが、カウンセラーは相談者と友人や恋人関係にはなりません。
深い話をするうちに相談者がカウンセラーに好意をもって気持ちを打ち明けることは起こりえます(陽性転移)。
その逆で、カウンセラーが相談者に対して何かしら思いをもつこともありますが(逆転移)、性的に迫るのは支援でも治療でもないただの下心でしょう…。
そのカウンセラーが資格を掲げるなら資格団体に通報でもOK(ちゃんとした団体なら然るべき対応もあります)。
\ 人間関係につきもの /
おわりに:甘い言葉に気をつけて、誠実に向き合ってくれる人を探そう
一口にカウンセラーと言ってもいろんなタイプの人がいます。
個人的意見で言えば、信頼して話せる・安心を感じるような相手と出会えればその相手に相談をできたらと思います。
カウンセラー選びに絶対はないですが、専門的な勉強や多くの実践経験、倫理観、日々の研鑽を考慮すれば、臨床心理士・公認心理師の有資格者であることはポイントになると思います。
加えて、下記を避け、最後はその人との相性で相談者を決めてもいいかも。
・倫理観がない
・相談者との境界線を保てない
・自分の体験談を売りにしている
・「幸せ」「愛」など抽象的なことを売りにしている
・性的に危険を感じる
キレイな言葉やそれっぽい言葉、よく分からない資格を列挙する相手は、カウンセリングの技術や知識が乏しいまま我流に関わりかねないので警戒を推奨します…。
傷口えぐるだけえぐってケアせず放置された事例も…!
別に、専門家じゃないけど信頼できる友人に愚痴って話を十分に聴いてもらえるだけでも心はスッキリします。
日常の悩みや相談で本当に最低限の大前提は、あなたの話を最後まで聴いてくれて、カウンセラーの自分語りや考えの押しつけがないことかもしれません。
どんな悩みでも困ったら専門家へお気軽に
コメント