こんにちは、臨床心理士、公認心理師のしあんです。
『カウンセリング』という言葉は美容や法律相談など多くの現場で使われていますが、心理職の仕事の1つでもあります。
✓心理カウンセリングを受けたことがなくてよく分からない
✓カウンセリングってどんなことするの?
✓カウンセリングの料金・ルールは?
✓カウンセリングって効果あるの?
本記事では心理カウンセリングの枠組みや倫理についてざっくり解説するので、上記に1つでも当てはまる人は是非最後までご覧ください。
クライエントもセラピストも是非!
「カウンセリングに興味があるけどよく分からないからなぁ…」という不安を少しでも解消する手掛かりになると思います。
また、心理士を目指す人や現役心理士は改めてカウンセリングについて振り返り、初心にかえってみましょう。
心理に明確な答えはないと思うけど最低限の枠組みははっきりさせとこう
カウンセリングって閉鎖的すぎて筆者も同業者のカウンセリングはブラックボックス
こんな人におすすめ!
・心理カウンセリングに興味がある人
・カウンセリングを受けてみたいけど不安な人
・心理職目指して勉強中の人
・枠組みや倫理を復習したい心理士
心理カウンセリングとは
心理カウンセリングは、①心の悩みや問題をもつ人(クライエント)に対して、②専門知識や技術をもつカウンセラーが③対話などで支援していくことを指します(枠組みの話に飛びたい人はこちら!)。
平たく言えば専門家による相談支援
クライエントが抱える①「心の悩みや問題」(カウンセリングの内容)は人によってさまざま。
・うつ病や発達障害などの精神疾患の悩み
・人に言いづらい心の悩み(不安なこと、性のことなど)
・学校や職場などへの適応
・友人、家族、恋人などの人間関係
・休職、復職に向けての支援 など
カウンセリング=この話!って決まってなくて、困りごとについて何でも話せるんだね
困りごとについて何でも話していいとはいえ、他人に話すことへの抵抗や話を聞いてくれるのかという不安、抱えている問題が改善していくのか心配など思うことは多いと思います。
(クライエントのこの不安を忘れる心理士は初心にかえろう)
心理カウンセリングは②「専門知識や技術をもつカウンセラー」が行うことが多く、ほとんどのカウンセラー(心理士)は民間資格の臨床心理士や国家資格の公認心理師のどちらかまたは両方を所持しています。
〇〇カウンセラーを名乗るその他民間資格所持者や無資格カウンセラーも無数に存在します。相談は誰にでもできる&ニーズもありますが、心の病気や希死念慮などちゃんと相談したい場合は臨床心理士・公認心理師のカウンセリングをおすすめします
後述しますが、カウンセリングでのクライエントの話には守秘義務があり、有資格者の心理士は人の話をきちんと聴く訓練を十分に受けています。
精神疾患の知識なども勉強しているため、場合によっては話を聞いたうえでアドバイスすることもあり、相談するうえで頼れる要素はあるはずです。
あとは如何に信頼関係を築けるかかも
相談の専門家とはいえ人。相性もあるよな
また、③「対話などで支援」ですが基本は言葉のやり取りで、クライエントに合わせて非言語的なやりとりでも支援を行います。
・子どもと遊ぶプレイセラピー(遊戯療法)
・話すことが苦手、できない場合に絵などを描く芸術療法、箱庭療法、心理検査 など
カウンセリングは言葉がすべてではない
他にも、1対1の個別カウンセリングが主流ですが、夫婦、親子、集団などを対象にしたカウンセリングもあります。
▼ここまでのおさらい
・心理カウンセリングは専門家による相談支援
・話す内容はクライエントの困りごと
・臨床心理士・公認心理師所持者が無難
・カウンセリングは会話がメインだが、遊びや描画などの切り口もあり
・基本的に心理士には安心して話せる要素があるが、信頼関係が重要
カウンセリングの枠組み
カウンセリングで何話してもいいのは分かったけど他にルールはあるの?
カウンセリングを行う施設のルールもありますが、時間・場所・料金の枠組みが基本です。
他にも、暴力なし、接触は基本なしなども。
どの枠もカウンセラー・クライエントの両者を守る枠組みであるため、きちんと守りましょう。
①時間
1回のカウンセリングは30分や50分、カウンセリングの頻度は週1、隔週、月1で何曜日の何時など、時間を決めていることがほとんどです。
カウンセリングは普段話せないことを話せる非日常の時間であるため、日常に戻っていけるためにも時間設定があります。
また、「この時間は自分のこと話してもいいんだ」という安心の意味合いも生まれます。
短すぎは話せず、長すぎは依存心を高めたりクライエントの不利益になりうるよ
②場所
カウンセリングを受けられる場所ですが、精神科・心療内科などの医療機関や、療育センターや学校、職場など公共施設、相談施設などがあります。
日常と非日常を分けて、大切な話をしやすくするためにもカウンセリングは同じ部屋を使って行うことが多いです。
部屋についても、基本はカウンセラーとクライエントの2人きりなので、落ち着いて話せるようにシンプルな机やいす、窓、緑などちょっとした小物などで構成されがちです。
「この場所なら邪魔されず話せる」って安心感も得られそうだね
密室陰キャ
③料金
カウンセリングの多くは保険適応外で、施設によって料金は大きく異なります。
1000円、3000円、5000円、8000円、10000円、12000円etc.
お金がかかることで自分の悩みに真剣に向き合うきっかけになる場合や、カウンセラーとクライエントの線引きになる場合などがあります。
無償と有償では心構えって全然違うと思うけどどう?
お金を払うって物事に価値づけしやすいね
カウンセリングは続けていくことで効果を発揮していくため、1回の料金があまりに高いと継続が難しくなって効果を得られない可能性も…。
料金が高い=優れているとは言い難いかも
▼枠組みのおさらい
・時間…1回30分、50分、毎週、隔週、月1など決める
・場所…同じ部屋で話す
・料金…保険適応外で1000~1万円など幅広い
・カウンセラーやクライエントを守り、話しやすくするなどの効果がある
カウンセリングの意味
カウンセリングを受けたからといって、悩みや不安が一瞬で消え去るなんてことはなかなかないです。
心はそう簡単じゃない
カウンセリングで得られるだろう変化は、薬物療法と違って人との対話から生じうるため、即効性があるとも言い難いです。
受ける側は「不安が消えるんでしょ?」「普通になれるんでしょ?」などカウンセリングに幻想を抱く人が多いため、実際にカウンセリングを受けてみて「思っていたのと違う…」となるかもしれません。
「すぐよくならない=カウンセリング意味ない」につながる考えだと思う
カウンセリングは数回で終わることもあれば何年も続ける場合もあり、「何回で終わります」とは一概に言い切れません。
そもそも人の悩みの内容も程度も違うからゴール設定も違う
どんなカウンセリングでも、初期に「クライエントがどうなりたいか、どうなれたらいいか」という治療目標を話し合い、その治療目標に向かってカウンセリングを進めていくことが多いです。
次から次へと問題を探そうとするのは心理士のエゴかもなので注意
また、カウンセリングではクライエントの嫌な体験を話すことが多くなるため「こんなこと話して意味あるの?つらいだけじゃん」などのネガティブな感情もわきやすいです。
心という概念を扱う以上、変化も感じにくいですが「良くなっている気がしない…」もまた不確定な概念です。
カウンセリングに意味があるのか不安になった場合、カウンセラーに伝えてみることも大切です。
治療目標があいまいな可能性もあるため、お互いに話し合うことで意味を感じられると思われます。
▼カウンセリングで得られる意味の例
・「リストカットを止める」など治療目標へ近づく
・問題行動や症状などの改善や軽減
・気持ちの整理
・物事を客観視する力がつく
・自分について考えられる
・自分で問題解決のための思考ができる
・過去の体験と今を区切ることができる
・人間関係の見直し
・感情のコントロールがしやすくなる など
生きやすくなるための作戦会議ができるイメージかな
▼ここまでのおさらい
・カウンセリングは薬物療法ほど即効性はなく、変化を感じにくい
・継続していくことで少しずつ効果を感じられる
・治療目標を決めて改善に向かい、話し合って終える
・カウンセリングでは感じたことを話してみよう
カウンセリングにおける倫理
カウンセリングは人の大切な悩みや問題を打ち明け、話し合う場であるため、カウンセラーとクライエントの信頼関係が重要になってきます。
そこで、クライエントの安心や安全、利益になるように、カウンセラーが守る倫理があります。
以下で倫理の一例を解説するため、心理士や心理士を目指す人は今一度確認しておきましょう。
カウンセリングに興味のある人は、自らの安心、安全、利益のためにどんな倫理観があるのか目を通してみても良いかもしれません。
「自分はこんなことしない!」は大抵フラグ
原則守秘義務
相談者のプライバシーを守るためにも、カウンセリングで話した内容には原則守秘義務があります。
安心して話せる場じゃないと悩みは打ち明けられないよね
ただし、守秘義務には例外もあります。
・虐待など通告義務のある危険な状態
生命の危険がある場合は、家族や病院など最低限の外部に相談者とのことを共有することがあります。
心身を守るためにね
外部に共有する場合はカウンセラーから「このこと話しても良いですか?」など尋ねられることもあります。
大切な話を外部に漏らされると信頼は一気に崩れてしまうため、心理士の情報管理(カルテ管理、勝手な録画の不可など)は徹底されます。
二重関係の禁止
カウンセラーは家族や友人など、もともと関係のある人と基本的にはカウンセリングを行わず、カウンセリング後にクライエントと友人や恋人になるなど私的な関係をもつことは禁止されています。
感情のコントロールが難しい相手とのカウンセリングは、カウンセラーが十分に機能できず相手を傷つけてしまう可能性も高いです。
稀に交際する話聞くけど…二重関係は…((
また、性的な関係性をもつことも禁止されています。
カウンセラーのことが好きになるという陽性転移を起こすクライエントもいますが、叶いません。
その好意は錯覚かもしれない。関係をもって相談者を傷つけないための線引きでもある
お金を払う関係性でもある。諦めよう
\ 転移・逆転移の復習 /
個人情報の私的利用の禁止
カウンセリングでの関係はあくまでカウンセラーとクライエントの関係なので、個人的な関わりは禁止されています。
キャバ・ホスト(疑似恋愛)じゃありません
・カウンセラーが何か強要してくる
・相談者の連絡先を控えて会いに行く など
人の悩みを聴くということは、とてもシビアな行為です。
カウンセラーとクライエントという関係性を超えて互いの距離感が崩れてしまうだけでも、カウンセリングに大きく影響してしまいます。
互いの安全や悩みの改善のためにも、カウンセリングでの関係性は一定にする倫理があるわけです。
より客観的に、真剣に話を聴くには双方の関係性も大事だね
▼ここまでのおさらい
・秘密と命は守ろう
・人間関係の距離も取ろう
おわりに:カウンセリングでは思ったことを話そう
カウンセリングは密室での話し合いで、クライエントからすれば何が行われているか分からない不安も大きいです。
カウンセラーは、クライエントの心の悩みや問題を聴き、共に改善へと向かうために心理療法の諸理論を学び、サポートします。
クライエントの不安を少しでも軽減し、話し合いをしやすくし、安全性をもたせるためにも、カウンセリングには時間・場所・料金などの枠組みや契約、倫理があり、これらの約束事があるうえで自由が保障されます。
カウンセリングは「受ける」と言いがちですが、カウンセラーとクライエントがお互いに問題改善に向けて取り組むことが重要です。
「カウンセラーに任せればいい」と思っていてはカウンセリングも難航しがち
カウンセリングで感じたことも話し合いつつ、信頼関係を築いて、心の悩みや問題の改善を目指していきましょう。
なるべく対等に話し合えたらいいな
ワイらも日々訓練する。闇を感じたら相談してみてね
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