こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
今回はいろいろな人が経験があるだろうことについて、心理学的観点から解説していきます。
「大事な仕事の前だけどデスク周りの掃除めちゃくちゃ気合いれたわ」
こんな経験みなさんもあるんじゃないでしょうか。
あるある!!
これは『セルフハンディキャッピング』という心理状態です。
この状態に対する付き合い方まで説明しますので、気になる人・心当たりのある人は参考にご覧ください!
・セルフハンディキャッピングについてもう少し詳しく知りたい方
・心理学の知識に興味がある方
セルフハンディキャッピングとは
セルフハンディキャッピングは、失敗の恐れがあるときに自分の心を守るため言い訳を作り出すことです。
つまり「失敗したけど仕方ないよね」というやつです。
言い訳と言うと悪いことのように聞こえますが、自分を落ち込ませないため、自分をショックから守るために働く心のセーフティネットの役割をもっています。
特に、自分のプライドを守りたいときに無意識に働きやすい心理状態です。
逃げ道を作っておけると安心するよね
耐え難い失敗経験から逃げて自分の気持ちを保つための誰にでも備わっている心的作用なので、「自分は逃げてばかりだ…」などあまり責めすぎないように注意しましょう。
知っておくことで自責も少し減らせるかな
また、セルフハンディキャッピングの考え方には、獲得的セルフハンディキャッピングと主張的セルフハンディキャッピングの2つあります。
自分に言い訳!『獲得的セルフハンディキャッピング』
「やらなきゃいけないことあったけど、整理整頓もしてたから仕方ない」
このような、優先すべきことがあるのに自らハンデを背負って失敗するよう仕向けてしまうことを『獲得的セルフハンディキャッピング』と言います。
ハンデを獲得するドマゾの心理((
ちなみにこの場合、優先すべきテストや仕事などを無事に達成できると「いや~、こんなにハンデ背負ってたのにできちゃったよすごくない?」などと自尊心めちゃくちゃ上がります。
優先すべきことが達成できなかったとしても「本気を出せばできたし!」と思ってプライドを保つことができるようです。
幸せそうな思考だね
周りに言い訳!『主張的セルフハンディキャッピング』
はい、この超ド定番なフレーズのことです(筆者も経験あります)。
自ら評価を下げて予防線を張ることで、実際に行動していなくても口だけで成立するお手軽な手法です。
うまくいかなくても「寝てないから当然だよね」。
うまくいったら「寝てないのにすごいじゃん!」と儲けもので周囲からの自分の評価も上がりやすいです。
ずるいけどあるある
『主張的セルフハンディキャッピング』は評価や印象に影響しやすい特徴があります。
人から嫌われたくないときに「私話すのが苦手で…」とけん制したり、悪い印象を与えたくないときに「大したことではないんですけど…」と謙遜したり。
しかしこれ、やられすぎるとどう思いますか…?
セルフハンディキャッピングの大きなデメリット
セルフハンディキャッピングをすれば確かに自分の自尊心は保たれて、ちょっとした印象操作もできる良さもありますが、デメリットもけっこう大きいので知っておきましょう。
やりすぎるとかえって印象を悪くする
『主張的セルフハンディキャッピング』で特に言えることですが、言い訳ばかりする人ってあまり好意的には見えないですよね。
やりすぎるとその言い訳も信じてもらえなくなり信用も失っていきます。
「またか」って思われるぞ
後回しにする癖がついてしまう
何でも言い訳ばかりしていたら確かに失敗体験を最小限に食い止めることはできますが、何でも後回しにしてしまったり物事にチャレンジしようという意欲がなくなっていってしまいます。
何かをやろうと思えなくなると大きな成功を掴むチャンスも失うことになってしまいます。
これは自分が困るデメリットだな
セルフハンディキャッピングの対策
セルフハンディキャッピングの心的作用は誰しもに備わっていますし、良い面もあるためなくすことは難しいですが、減らしていけるための対策をいくつか紹介します。
まずは自分のプライドを守る心的作用だと理解する
無意識にやってきていることだと思いますが「自分のプライドを守りたい」「周りからの印象を悪くしたくない」といった気持ちから生じやすいことだとまず知っておきましょう。
やりすぎはかえって好ましくないと理解できれば「言い訳ばかり口にするのは止めよう」と思えるのではないでしょうか。
でも本当に眠れてないとかはちゃんと主張してね
もし、周りから良く思われたいという気持ちが強いなら、セルフハンディキャッピングよりも下記記事を参考にしてみてください。
成功のイメージをしてみる
そもそもできなかったときの言い訳を先に用意して自分を守る心的作用なので、「やるべきことができる気がしない」と自信がなく、失敗をイメージしやすいと思われます。
「この仕事はなんだかんだできるはず!」
などと口にしてみたり、達成している自分をイメージしてみることで失敗への不安を少しでも減らすことが大切です。
他人に宣言する必要はないので、各自で達成目標をきちんと持ちましょう。
自己暗示も大事だね
仮に失敗してもその事実を認める
上記2つよりハードルが高いことかもしれませんが「これが今の自分の力か」と自分で認めてあげることも自己理解の上では大事なことです。
自己否定を続けても自信はどんどんなくなる一方ですし、自己成長も止まってしまいがちです…。
うまくいかなかったことを認めてあげることで自分には何が足りなかったかを考えたり、次に活かしやすくなります。
潔く認めることも大事
自分を認めることからは逃げずに踏ん張ろうな
おわりに:いい訳より自分を認める方がカッコいい!
セルフハンディキャッピングは誰にでも備わっている無意識のセーフティネットです。
ですが、言い訳をしすぎると自分の成長を止めることになったり、周りからの印象も悪くなりやすく、本来守りたかった自分を果たしていい感じに守れているのかという点で微妙な結果になりやすいです。
このような対策で言い訳を口にする頻度を減らしていくことも大事です。
「自分って言い訳してばかりだな…」と心当たりのある方は、この知識を是非頭の片隅に置いて「今」の自分を受け入れてみてくださいね。
言い訳よりも堂々としよー!
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