こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
メンタルヘルスへの関心や需要は年々高まっていますが、心の専門家である心理士は1職場に1人~数名など存在感は決して大きくありません。
心理はまだマイナー!
心理士を認知はしていても、「心理士は職場でどんな立場なの?」「仕事はどんな流れなの?」など謎が多い専門家です。
今回は、臨床心理士・公認心理師の1日の仕事の流れについて、筆者の体験談を紹介します。
あくまで体験談なので一般化はできませんが、心理士を目指す人たちは1つのモデルにしてみてください。
また、一般の方にとって、少しでも心理士について知ってもらえたら幸いです。
今回はメンタルクリニック編で!
\スクールカウンセラー(SC)編はこちら/
こんな人におすすめ!
・心理士を目指している学生や社会人
・心理士の生態が気になる人
・メンタルクリニックでの仕事内容を知りたい人
メンタルクリニックでの心理士の立場
心理士の生息地の1つに、精神科や心療内科のメンタルクリニックがあります。
ちなみに、精神科と心療内科は一見同じように感じる人も多いですが、ざっくり言うと精神科は主に精神症状中心(うつ病や統合失調症など)で、心療内科は身体症状中心(過敏性腸症候群、心身症など)に診る違いがありますよ。
知らない心理士も結構見てきたけどね←
いずれにしろ、主に心の悩みや問題を扱う場所で、臨床心理士や公認心理師、場合によっては資格取得見込みの心理系大学院生や修了生が2、3人前後所属します。
心理士へのプロセスはこちら!
また、心理に理解があったり、規模の大きいクリニックでは10名前後の心理士が所属する場合もあります。
筆者のいたところも10人前後の心理士がいたよ
多すぎィ
職場の規模や、デイケアなどの併設施設や診療科にもよりますが、メンタルクリニックでは心理士は認知されやすく、活動しやすい場だと思います。
理解のない場所だと肩身狭くて、委託業者みたいな立場
また、常勤雇用は少なく、パートや委託契約の心理士が多いため、曜日ごとに心理士の顔ぶれが異なるクリニックも多くあります。
複数の職場を掛けもつ心理士が多いね
メンタルクリニックの規模によって、心理士の業務の他に受付業務も担う場合がありますが、比較的心理士≒メジャーな存在として見てもらえると思います。
1日の仕事の流れ
臨床心理士・公認心理師の仕事は、部屋に引きこもって何かしているけどよく分からないという印象もあります。
引きこもりはよろしくないと言われているけどね…
あくまで一例ですが、筆者がメンタルクリニック勤務時の1日の流れを紹介するので、心理士目指している人や興味のある人の参考になれば幸いです。
9時:就業開始
打刻前に、白衣に着替えたり身支度します。
筆者は常勤だったため、打刻前は軽い清掃もありましたが、非常勤心理士には雑務は特にありませんでした。
コーヒーもすすってた
常勤・非常勤の責任の度合いはやっぱり少し違いますね。
9時や8時半就業開始の場所が多く、他の職種より朝が遅めな印象があって個人的にはありがたポイントです。
9時~9時半:ミーティングなど
多職種(受付事務、看護師、精神保健福祉士、作業療法士など)と連絡事項を確認し合い、1日の大まかな予定や注意事項を共有します。
ミーティング後は、カウンセリングカルテや備品のチェックもします。
ワイは非常勤心理士とお喋り連携してた
9時半~12時半:AM業務(カウンセリングなど)
カウンセリングがメイン業務なので、予約のあるクライエントとカウンセリングをします。
職場によってカウンセリングの時間や料金は異なりますが、筆者のところは1枠30分のカウンセリングで、AMは最大5名とカウンセリングをしました。
カウンセリング予約のない空き時間は、主に新患のインテーク(困り事や生活歴、家族歴などの聴取)、心理検査の実施や初見作成を行うことが多いです。
メンタルクリニックでの心理検査は簡単な質問紙、知能検査(WAIS-Ⅳ、WISC-Ⅳ)、人格検査(ロールシャッハ)はどこでも求められるので、心理士目指す人はしっかり大学院で学んでおきましょう!(その他ももちろんやれる方が良い)
カウンセリングカルテを書くことも重要な業務の1つですが、その扱いは職場によって異なります。
ダラダラ記録書いて空き時間潰す心理士もいたのだ
カウンセリングとカウンセリングの合間の10分とかで書くことが多いかも
また、筆者のメンタルクリニックの場合、心理士の業務外ですが、自立支援や障害者手帳、障害年金などの各種書類作成も担いました。
医療で働くなら書類関連の知識はもつべし
どの業務も基本的にそれぞれの部屋で行うので、外からは何をしているのか分かりにくいですが、だいたいこんな感じに人と話すかPC作業をしていることが多いです。
また、デイケア(精神障害をもつ人が居場所作りや困り事改善のために通所する場所)勤務がある場合は、デイケアのスタッフとして患者さん方と関わる業務もあります。
空き時間は心理士同士でお喋り連携②
12時半~13時半:昼休憩
AM業務が終わり次第休憩に入ります。
職場によっては勉強会を行うところもありますが、筆者のところではなく、心理士同士で軽く困りごとを話し合ったり、雑談したり、黙って過ごしたり自由に休むことが多いです。
昼飯とコーヒー大事
13時半~14時半:雑務
メンタルクリニックの多くは午前と午後の診療時間の空きが長いですが、常勤の場合はPC作業や雑務を行います。
午後診が始まる前に心理検査の所見や書類作成などのやれることを片づけます。
非常勤の場合は昼休憩が長いことが多いです。
雑務しながらお喋り連携③
14時半~18時:PM業務(カウンセリングなど)
午前と同じように、カウンセリングを優先し、空き時間にその他業務を行います。
筆者の場合、午後は最大5、6名とカウンセリングをしました。
1日を通して、最大10、11名とのカウンセリングを行いましたが予約いっぱいは地味に辛いので、業務量の調整をきちんとすることをおすすめしたいです。
仕事の管理は自分でするもの。自分の心は自分で守ろう
雑務しながらお喋り連携④
18時:業務終了
午後の業務がすべて終わったら退勤です。
職場によるとも思いますが、筆者自身や筆者が見てきた心理士も、メンタルクリニック業務で残業している人はほぼ見ません。
時間枠を重視する心理士は労働時間にもうるさい☆
やることやったら帰っちゃう人多い
てか筆者スキあればお喋りしてない?
連携です
心理士同士や多職種との雑談や情報共有、相談などのコミュニケーションを業務と呼ぶかは怪しいですが、円滑な業務を行うためにはお喋り連携して関係性を作ることも重要な活動です。
(心理には心理の大変さはあるけど、世間よりはぬるいかもしれない…)
メンタルクリニック勤務で感じたこと
あくまで筆者自身が感じたことですが、特に心理士を目指す人たちの参考になれば幸いです。
〇比較的働きやすい
〇相談しやすい
△視野があまり広がらない(気がする)
△医師との連携が難しい
表面だけでもいいからコミュ力はやっぱりある方が良いね
〇比較的働きやすい
メンタルクリニックは心を扱う場所であるため、カウンセリングや心理検査を行う臨床心理士や公認心理師は必須で、理解がある場所が多いです。
「心理士?誰それ?」がないので、自分から立場をつくろうと積極的にならなくてもある程度の居場所が保障されている感じ。
心理士が1人しかいないメンタルクリニックもありますが、多くは数名~10名前後の同業者がいるため、単純に安心もします。
心理士は1職場に1人ってところは他所でも多いから、仲間がいるだけでホッとする
また、複数の職場を掛け持ちしたい、家庭の時間も確保したいなどパートスタイルをとりたい人にとって、非常勤枠の多いメンタルクリニックは働きやすい職場とも言えます。
〇相談しやすい
数名の同業者がいることで、心理に関する相談を気軽にしやすいメリットがあります。
・カウンセリングのちょっとした相談
・心理検査の解釈で意見を聞きやすい
・所属する心理士会について聞ける
・他所の職場の情報も聞ける など
たとえばスクールカウンセラーだと1学校に1人という配置も多く「自分がしっかりしないと」というプレッシャーも大きいですが、仲間がいることで心的負担が減ります。
メンタルクリニックによっては大学院の実習先になっていたり、院の先輩(知り合い)がいて、院卒後に入職しやすい良さもあるよ
△視野があまり広がらない(気がする)
メンタルクリニックで扱う心の悩みや問題の多くは、比較的症状の軽い場合が多く、統合失調症や摂食障害、依存症など病理が重い患者を病院に紹介する場合が多いです。
入院設備がなくて対応が難しいことがあるからね
(商売の闇もあるけど…)
また、医師の得意分野で患者が偏ることもあり、幅広く精神疾患への理解を深めるにはいまいち物足りない場所でもあります。
得意分野はできるかもしれないけど、個人の力を成長させるには足りないと思った
その分、他所で働いたり、積極的に勉強してみたり対応策もあるとは思います。
△医師との連携が難しい
メンタルクリニックに限ったことではありませんが、病院組織を抜けて開業した医師との連携は意外と難しいので、のらりくらりとする力はあって損なしです。
ワガママや商売マン、めちゃくちゃな指示する人が多い
自分の意見を言う力も、ご機嫌とる力も大事
同期や周りを見てきて、自己都合退職以外だと、医師と合わずに辞める人を多く見てきました。
医師となるべく平穏な関係を築くためにも、メンタルクリニック入職時はまず医師のアセスメントをおすすめします。
おわりに:しっかり連携すれば働きやすい場所!
メンタルクリニックでの1日の仕事はカウンセリンや心理検査の実施・所見作成がメインで患者対応が基本です。
ある意味やることをやれば1日が終わり、定時退勤も自分が仕事を終えれば十分可能なので、マイペースに働きやすいとも言えます。
だからこそ個人の限界を知り、業務量を自己管理する力は必要
しかし、個人プレーばかりしていては、周りから見て心理士は余計に謎の人になってしまいます。
多職種と連携しないと自分の仕事は円滑にいきづらいですし、連携することでクライエント理解が深まることが多いです。
時間の許す限りはお喋り連携して、職員同士の関係性を良くして見ても良いかもしれません。
あとはとにかく時間や予定管理を徹底しようね!!!
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