こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
人なら全員がいつか体験する『死』について…。
若いうちは「不安だな、心配だな」といった感覚でしょうが、死を間近に感じると平静を装うことはきっと難しくなります。
今回は、キューブラー・ロスの5段階モデル / 死の受容過程についてざっくり解説します。
心理職を目指す場合は、資格試験で問われることも多く、現場でも必要な知識なのでしっかりインプットしましょう!
そうでなくても、死に対する大まかな心の変化を知ることで、自分の今後や身近な存在への理解を深めることにもつながります。
死にゆく人へのターミナルケアや心の変化に関する記事です。『死』に敏感な人や気持ちに余裕のない人はブラウザバックしてください
考えすぎると怖いから目を瞑るのも大事
こんな人におすすめ!
・死を宣告された人の心の変化に関心がある人
・死への捉え方を考えたい人
・看護職や心理職に興味がある人
・身近に高齢者がいる人
・臨床心理士・公認心理師の資格試験受験者
キューブラー・ロスの5段階モデルとは
キューブラー・ロスはアメリカの精神科医で、終末期の患者へ死に関する心の変化をインタビューしています。
死を目前とした人が死を受け入れるまでのプロセスのことで、キュブラー・ロスの5段階モデルとか死の受容過程と呼ばれたりします。
5段階はこんな感じ。
こういった心の段階モデルでは、必ずこの段階を順序通りにたどるわけではないことを覚えておきましょう。
また、『⑤受容』にたどり着くことが必ず良いというわけでもありません。
段階は思うように進まないかもしれないし、最後までいくとも限りませんが、大まかな流れや心の揺れを理解し、終末期の人の心に寄り添った支援が大切になります。
死や大きな喪失という体験を理解しよう
①否認
死が身近になったとしてもいきなり受け入れることは難しくて、最初はその現実を否認することが多いです。
「そんなばかな?!」
「何かの間違いじゃ…」
「治療は要らないぞ」…
受け入れられないことは決しておかしなことではなく、大きすぎるショックで心が押しつぶされないように防衛機制が働いているとも言えます。
否認で周りから孤立しちゃうことも…
フラれて絶望女性「嘘よ!」
②怒り
否認をしても、頭のどこかで少しずつ死を感じ始め、怒りや悲しみなどいろんな感情が渦巻いてきます。
「なんで自分が」
「あなたはいいよね」
「他の人は生きれるのに」…
怒りを身近な人に向けて攻撃してしまうこともありますが、怒れるということは自分の気持ちに気づきつつあるとも言えます。
怒りの矛先や出し方を考えて発散したいね
フラれた女性「振るなんてあんた何様?!」
③取り引き
死の感覚がどんどん大きくなり否認しづらくなると、死なないようどうにかならないかと考え始めます。
キューブラー・ロスのアメリカ文化だからか、神や宗教など信仰している存在が出てきます。日本人とは感覚が少し違うかも?
「神様、もう悪さしないので生かしてください」
「本当?どうにかならないの?」…
①否認~③取り引きは、次の④抑うつ、⑤受容まで足掻くような苦しい心の変化ですね…。
フラれ女「…言うこと聞くからやり直そ?」
④抑うつ
いくら取り引きをしても叶わなかったり、心身の不調が悪化して死の感覚がより現実味を帯びると、どうにもならないことに絶望し抑うつ的な気分になります…。
「あぁ…どうにもならないんだ」
「死んじゃうんだ…」…
すごく重い…でも当然の変化だね…
フラれ女「あああああBくぅうん」
⑤受容
否認しても怒ってもどうにか交渉しても死は回避できず、抑うつ気分が続くなか、死を受け入れられることがあります。
「あぁ…死ぬのか」
「人は皆終わりがあるもんな」…
受容して心が落ち着く人もいれば、どうにもできない現実を知って心が無となる人も…。
激しい心の動きは収まるのかも
フラれ女「本当に別れたんだ…」「 」
自分たちにできる関わりとは
死がまだ身近でない人にとって、その恐怖を理解したり自分が体験するかのように想像したりするのは難しいことだと思います。
「お前らには気持ちが分からんだろ!」と心を閉ざされることもあります。
だからといって、医療従事者や家族など身近な人が関わりを止めるわけにもいきませんね。
キューブラー・ロスの死の受容過程を知り、たとえば否認が強い人にはむやみに声をかけず、本人が落ち着けるまで見守ることも大切です。
様子見て関わったりそっとしたり
本人がまだ受け入れられていないことを否定すると関係がこじれてしまう可能性が高いです。
こちらで聞けることは聞いて、余裕がなくて相手の主張を聞けないときは一旦距離をとるのもあり。
ただ、患者さんの否認が続いて治療が進まないこともあるので、身体の状態など分かりやすいことから話し合えても良いかもしれません。
気分の落ち込みや死を受容しつつあるときなど、かける言葉がないときは何も言わずにただ寄り添えるのも大切かと。
頭ごなしな、一方的な関わりにならないように気をつけたいね
言葉ばかりにとらわれず、相槌をうって話を聴いたり声音を優しめにしたりなど非言語の関わりから寄り添ってみるのもありです。
おわりに:受容は難しくて強要することでもない
今回解説したキューブラー・ロスの死の受容過程は、死を間近にした人の心の揺れ動きの一例です。
やや分厚いですが、死ぬ瞬間の心に注目したキューブラー・ロス著の本もあります。
国の文化差も感じますが、死の受容過程について詳細もあるので、気になる人はご覧ください。
段階は異なることもあり、必ずしも受容がゴールという訳ではありません。
死は自然の摂理だとしても、頭での理解と実際の体験(になりつつあること)とは別物です。
冷静ではいられないね
大きな衝撃に対して心が揺れ動くのは当然の反応です。
一例としてプロセスを知っておくと、身近な人に寄り添う姿勢をつくりやすくなるかもしれません。
その人の心理に合わせて声をかけたりそっとしたり、傍にいるだけだったり…最期まで尊重できればと思います。
最期こそ人に支えられたいって思った
コメント