こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
ついつい周りに合わせてしまって困ること、ありませんか?
✓中華が食べたかったけど洋食に合わせた
✓用もないけど一緒にトイレ行きがち
✓周りが行くから飲み会参加
✓メイクしたいけど男は変と言われてやめる など
長い物には巻かれろって言うし…
周りに合わせられるのは良く言えば協調性があるととれるかもしれません。
ですが、自分の気持ちを押し殺して何でも周りに合わせて辛くなっていたら困りもの…。
今回は、同調(圧力)の心理や対処についてざっくり解説します。
同調してしまう心理や対処について関心ある人は参考にご覧ください。
こんな人におすすめ!
・同調、同調圧力に興味がある人
・いつも周りに合わせやすい人
・周りに合わせないと不安な人
・本当はもう少し自分の気持ちを大事にしたい人
同調とは
同調とは、周りの言動であったり、周りの人や社会からの期待などによって自分の考えや行動を変えることを指します。
『人に合わせるって良く言えば協調で、悪く言えば同調?』と思う人もいるかもしれませんが、協調は『助け合ったり譲り合ったり協力すること』。ただ周りに合わせちゃう同調とは違うぞ
自分の意見、大事にできてるか?
同調は社会心理学の用語で、S. E. アッシュの同調実験が有名。
▼S. E. アッシュの同調実験
問題の線Xと回答の線ABCをいくつか用意して、線Xと同じ長さの線を選んでもらう。
1人で回答するときは全員がほぼ正答できたが、回答者以外全員が誤答するサクラを混ぜると、サクラが多いほど周りに合わせて誤答してしまう人が増えた。
自分だけ違うと不安になるよね
ただ周りに合わせたというより、サクラの誤答に疑問を覚えながらも周りの意見に流されてしまうのがミソ。
また、自分以外の周りの言動が一致するほど同調しやすく、1人でも多数に異を唱えて意見できる人がいれば、同調行動は減るとも言われています。
誰かがはみ出してくれると安心する
\ アッシュは印象形成も /
同調は、①規範的影響と②情報的影響を受けて生じやすくなります。
①規範的影響
規範的影響は、周りから好かれたくて言動を合わせることを指します。
・周りと違うこと言って変に思われたくない
・1人だけ違うからって仲間外れにされたくない
周りと同じであることで安心感を得たり、周りに認められるような感覚になりたくて、表面的に合わせる場合が多め。
▼例
コロナ禍でもソーシャルディスタンスとればマスク不要派だけど、みんなマスクするし、マスクすると「やっぱマスク要るよね~」「マスクしない人は嫌だわ~」と言われるから着用する
\ 一応予備を…/
なんとなく合わせるって無難
②情報的影響
情報的影響は、自分の言動の判断材料が不確かなとき、正しくありたいと思って合わせることを指します。
・とにかく正しい行動をしたい
・大多数の意見は参考になる
周りがやっている言動はおおむね間違ってないだろうと捉えて合わせることが多めです。
▼例
コロナの有効な感染対策は分からないけど…大多数が着用している不織布マスクが正義!
(強要しないように)
規範的影響も情報的影響も、どちらも周りに合わせるという意味では大切な影響です。
こういう影響・心理が悪いと考えるのではなく、当然のことであって、偏りすぎないように気をつけられたらいいですね。
同調圧力(社会的圧力)
同調圧力は、多数派によって少数派の意見を抑えるなど周りから圧をかけて(受けて)同調してしまうことを指します。
・全員でA子を無視
・飲み会と言えば最初は生!
・毎年お盆は親族全員集合がしきたり など
(めんどくs)
圧力がなくても人は他人に流されやすいのに、「決まりだから」などと同調を強いられるのはあまり面白くないですね…。
ちなみに…権威のある人からの指示(命令)に抑え込まれて従うのは服従
同調圧力が強く働くと、ある意味その集団をまとめることができますが…。
「みんなやってる・我慢してるんだからお前もやれよ・我慢しろよ」といった雰囲気の強要をされるのは良い関係とは言い難いかも。
メリットが表面的
むしろ、グループ内の意見が偏ったり少数派がいじめられたりするなど、少数派が抑え込まれるようなデメリットの方が目立ちやすいです。
・周りと違うことをして嫌われたくない
・周りと同じになることで安心したい
・自己主張して揉めるのが面倒だから合わせておきたい
・引っ込み思案や自信のなさで自分の気持ちを表現しづらい など
圧力に負けて同調してしまうことは意外とあるかもしれないし、世渡り上手になれる良さも確かにあります。
ただ、何でもかんでも周りに合わせてばかりいると、ストレスも溜まるし自分の考えも分からなくなるので気をつけたいところですね。
空気読みまくる=良い訳でもないね
同調圧力に打ち克つには
私たちは周りの目を気にしたり自己主張しづらい性格だったり、「そういうもの」と流されて同調しやすいです。
人間関係、学校、職場などいろんな場面で同調圧力はありますが、同調圧力に打ち克つには事前に自分の考えを持っておくことが大切です。
※ちゃんとしたルールは守ろうな
「自分の考えに自信がない」「自分の意見がはっきりしない」とつい周りに流されてしまいがちです。
自分の考えを改めるのはもちろん、考えるだけでは揺らぎそうなら紙やスマホに書いておくのがおすすめ。
普段自分の気持ちってあまり言葉に表さないと思いますが、書くだけでも結構頭スッキリします。
\ 筆者はこのシリーズ好き /
事前に決めるだけでも揺らぎづらくなるね
書くと気持ちに気づきやすいぞ
また、みんなで何かを決めたり話し合ったりするときには「その場で答えを出さない」選択肢もあります。
自分が内心同意し難いことなら同調せずに、こんな対応をしてみても。
・その場でちょっと嫌な顔してみる
・「一旦考えてみるね」と話を持ち帰って検討アピールする
・言えるならNOと言ってみる など
無理に合わせる必要はなし
自分の気持ちを伝えたうえで相手に合わせるのと、何も言えずに嫌われたくないから・自信がないからと同調するのではその後の気持ちは違いますね。
すっきりvsモヤリティ
自分を押し殺して相手に合わせ続ける=好かれるとか自分にとって良いことではありません。
大切なのは自分の気持ちも伝えて、相手の言い分も聞いて、意見をお互いにすり寄せることですね。
【余談】同調圧力を使うにあたっての注意
同調圧力はデメリットの方が多いと本記事では解説しましたが、止めたいことを抑えたり空気やチームワークを良くしたりするのも可能です。
同調圧力は何かを強いるような言い方ではなく、なるべく許容的な言い方で扱う方が使いやすいかと(というか、そもそも押しつけるのがあまりよろしくない…)。
×「みんなであいつを無視しよう!」でいじめや嫌がらせを増長
◎「無視は可哀そうだからやめよう」でいじめや嫌がらせを抑止
×「みんな当然お揃いにするよね?」で息苦しい空気を作る
◎「それぞれ好きなことしよう!」で許容的な空気を作る
「圧力」ですし、行き過ぎると自粛警察のような存在を生みかねません。
正しさを押しつけるやつ~
「正しいことだから何でも言っていい」わけではありません。
どうせ使うなら嫌な風潮を失くしていく方向で使えたらと思いますが、善悪の思想にとらわれると同調圧力はただの強要になってしまいます…。
あくまで強制しないように気をつけましょう。
思いやりを忘れないで
「良かれと思って」はnot思いやり
おわりに:無理に合わせず、自分の気持ちも主張しよう
周りの言動によって自分の言動を変えることを同調といい、私たちは多くの場面で自ら同調したり、同調を強いられています。
同調の背景には大きく2つの影響が考えられます。
周りに好かれたい気持ちも正しくありたい気持ちも社会生活では確かに大切なことですが、それらばかりを気にして周りに合わせ続けるとストレスが溜まってしまいます。
自分の気持ちを持ち、人に伝えることは決して悪いことでも嫌われることでもありません。
むしろお互い気持ち言い合うのが大事なコミュ
思考停止の同調を止めるには、あらかじめ自分の気持ちを少しでもはっきりさせるために書き出してみたり、その場で答えを出さずにやり過ごしてみても◎
顔色窺いすぎるの止めていいんだぜ
納得いくことに同意しよう!
コメント
とても参考になりました。
同調圧力で本音を押し殺すと辛いですもんね。
もっとみんなが自由に生きられるといいなと思います。
マスペル さん
コメント&お読みいただきありがとうございます。
参考になったのであれば幸いです。
圧力を感じる瞬間もありますが、自分の考えももう少し大切にできたらいいなぁと思います。