こんにちは、臨床心理士・公認心理師のしあんです。
今日は心の専門家である臨床心理士・公認心理師に向いている人・おすすめしない人についてのお話です。
✓人の話を聴く専門家になるには何が必要?
✓打たれ弱いけど心理士目指して大丈夫?
✓話聴いてると自分も潰れない?
このような疑問を解消できるよう、求められる人物像や自身ができる工夫について現役心理士がお答えします。
心理士でなくても『人の相談を聴く』際のポイントとしても見てみてください。
こんな人におすすめ!
・学生で心理学に興味がある人
・社会人で今から心理職も考えている人
・心の専門家の生態が気になる人
・心理士になりたい人
おさらい!心理士の4つのお仕事

臨床心理士・公認心理師といった心の専門家の仕事はざっくり以下の4つです。
① アセスメント…観察や心理検査などで人の様子や病態を見立てる
② カウンセリング…面接や遊びを通して人の話や悩みを聴く
③ 地域援助…心の病気などの知識を世間に広めて予防につなげる
④ 研究…専門性の維持や向上などのため勉強する

(ブログも『③地域援助』になればいいのに…)
心の専門家というと『②カウンセリング』の印象が強いかもしれませんが、雑談や心に関する講演など、心のケアでこまごまと動きます。
心理士は、多くの人の人生に関わり、影響を与えうる仕事がメインです。
カウンセリングは常に加害行為になりうることは覚えておく方が良いでしょう。

こう聞くと責任重い仕事するんだね

せやで。心理士目指すなら頭の片隅に覚えとこう
臨床心理士・公認心理師に求められる人物像や適性とは

では、臨床心理士や公認心理師になるにあたってどんな要素が必要になってくるのかについて補足していきます。
あくまで求められる要素であって、心理士になるための必要条件ではありません(しかも筆者の主観)。
以下に紹介しますが、事前に必要な要素ではなくて、個人的には訓練で身に着けられれば充分と思います。

何事も無理って決めつけるのは心底もったいない
観察する力
人と対面する仕事上、表情や動作、その人にあった出来事などをきちんと見聞きすることが多いため、話を聴くことはもちろんですが観察力も必要です。
ただ見るだけでなく、その人の主張と行動がどれだけかみ合っているかを見たりします。

たとえば「憂うつ」が主訴で「死にたい」「何もやる気しない」「無気力」など言う女性が、笑顔でバリバリメイクで服も髪も整えていたら流石に違和感ありませんか?

イコールとは言わないけど怪しいね
「あれ?なんか変だな」と気付くことでその人への理解が深まることは多いのです。
服装や表情、声のトーンや話すスピード、身振りなど非言語的な要素から情報を得るのは大学院でも訓練します。
コミュニケーション能力
困っている人の悩みを聴くことがメインの仕事なので、ある程度は質問したり会話をしようとしたりする努力が求められます。

場を盛り上げるようなコミュニケーション能力が求められる訳ではありません。
最低限、人と関わることができれば問題ないんじゃないかなと思います。
すぐに自分の経験談を話したり、相手の話に興味を持てずに質問できなかったりすると、聴くことは難しくなります。
コミュニケーション能力は高めるために、院生時には技法を何度も体験して訓練するので、落ち着いて身に着けていきましょう。
✓頷き(うんうん)
✓オウム返し(同じ言葉で返す)
✓開かれた質問(~ってどういうこと?)
✓閉じた質問(Yes / No?)
✓沈黙(気持ちの共有や待つことなど)etc.
沈黙もやりとりの1つなので、「コミュニケーション=話す」ではないことに注意。
人の価値観を聞き入れる力
心理士の仕事はとにかくたくさんの人と出会う特徴上、十人十色の考え方を聴くことになります。
「この人の価値観理解できん!」とぶつかってしまうと悩みの解決に向かいづらいことも…。

他人の価値観・考え方を理解しようとするのが第一歩
人の経験談から得られることもありますが「私も不登校だったから分かります!~なときは~で~~」など心理士の自分語りは基本ご法度(自称心理カウンセラーの謳い文句に多いやつ)。

「いじめられたから気持ち分かるので寄り添います」とか、その共感は自分の経験よがりになってない??その考えは危ういぞ

自分の物差しも持ちつつ、他人の物差しであたかも自分も体験するような理解を目指そう
他人の価値観をすべて受け入れようという訳ではないですが、「あなたはそうやって考えるんだね」と相手の意見を尊重しようとする姿勢は求められやすいです。

また、同じ「トラウマ」という表現でも、その内容や程度は人によって全く異なります。
「トラウマ=つらいんだ」などで片づけずに、出来事に対してその人がどう感じたかを掘り下げる力が大切です。
臨床心理士・公認心理師に向いている人・おすすめしない人

臨床心理士や公認心理師に向いている人についても解説していきますが、正直「私は向いているだろう!人の話きくの得意だし!」とか思っている人は向いていないかもしれません…。

驕っている人ほど実際試験に何度も落ちてたぞ
一応、上記の求められる人物像や適性について備わっていればある程度向いていると言えるかも。
以下は、個人的に向いている人とおすすめしない人の3つの印象を解説します。
〇人の考えに興味がある人VS△人を正したいなど指導したい人
対人の仕事で扱うのは、人の心という目に見えない概念です。
正負を問わず「この人はどう思っているんだろう」と人の考え方に興味をもてる人には向いていると思います。
一方、「そんな歪んだ考え変えてあげるよ!」など人を矯正したい人には向いていないかも。

学派もあるけど基本態度は『支持的』であって『指示的』ではないよ
困り事に対して改善方法を考えることはもちろん大切ですが、早急に答えを出そうとする人に心理士は難しいことも。

学校の先生方は心理の考え方ムズイって人多かったなぁ
〇人と心の距離を保てる人VS△敏感すぎる人
心理職は人の悩みを聴く仕事なのである程度親身に聴ける雰囲気づくりも大事ですが、相手の話にのまれすぎないことも大事です。

人に優しく奉仕するのは仕事ではないのだ
自分の心の健康を保ったうえで仕事をすることは前提なので、きちんと線引きできる方が良いと思います。
人の気持ちに敏感であること自体は良い面でもありますが、敏感すぎると相手の暗い気持ちにあてられて共倒れになる可能性も…。

院生時代、敏感な知人は「心理士向いてないのかな…」って方向転換を考えてました
相手がつらそうだから何時間も話を聞いてあげたり、極力手を貸して代わりにやってあげたり。
相手の要求に応えすぎることは親切でも優しさでもありません。
自分と相手の境界線を保って関わることで、お互いの心を守り、カウンセラーに依存させず相手の自己成長の助けにもなります。
〇やる気のある人VS△資格取ったら満足な人
民間資格である臨床心理士の方でいえることですが、資格は更新制です。
資格更新のためもありますが、やはり人の話をきちんと聴く気のある人には向いていると思います。
資格ホルダーには向いてません(そもそも保持し続けられません)。

資格取っても自己研鑽しないとぶっちゃけ現場で役立てません
おわりに:驕らず人の心を尊重することが大切!

臨床心理士・公認心理師は人と関わるカウンセリングがメインの仕事です。
多くの人の人生や価値観に関わるので精神的な負担は大きいですが、やりがいは抜群。
人の心に興味がある方なら目指してみる価値はあると思います。
心理士に求められるだろう力として以下の3つを挙げますが、心理士を目指す中で身に着けても十分かと。
✓観察する力
✓コミュニケーション能力
✓人の価値観を聞き入れる力
「心理士目指したいけど自分には向いてないのかな」と諦めることはないです。
人の話に口をはさみたくて仕方ない人でも訓練である程度抑えられますし、敏感すぎて暗い気持ちを受け取りやすい方でも公私のメリハリに気を付けられればいいと思います。
そもそも無資格でも人の悩みを聴くことはできます。
好きでも嫌いでも『人に興味がある』人や心に関心がある人は、是非心理学を勉強してみてください。
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